『禁忌 ~TABOO~』は1995年にPC98用として、アップルパイから発売されました。
良くも悪くも話題性に富んだ作品で、聖典として崇められる可能性もあっただけに惜しい作品でした。
<感想>
私は、調教SLGの元祖と言われる作品として、以前『SEEK』を紹介したことがあります。
女の子を調教するSLGの実質的な元祖として、特に本格SM調教ものとしては、今でも『SEEK』だと思っています。
でも、字面的に調教SLGと表記される作品としては、この『禁忌』の方がわずかに先になります。
ちなみに、ADVも含めると、調教・育成系のアダルトゲームは、実は80年代に既にあります。
もし私の過去記事により、実質面だけでなく、字面的にも『SEEK』が一番最初と誤解させていたのでしたら、そこは私の記載の仕方が悪かったと言わざるを得ないのでしょう。
そういうわけで、あらためて本作は、調教SLGとなります。
もっとも、これをSLGとして意識してプレイした人が、一体どれだけいるかが謎なわけでして。
マイナーで知られる機会がないままに埋もれたならともかく、本作はかなり有名だったはずです。
それでも調教SLGの元祖みたいないわれ方をしなかったのには、やっぱりそれ相応の理由があるからなんですね。
本作に関与した時間、それはパッケージを開けてからアンインストールするまでとすると、最も費やした時間は1に音声を聞いている時間であり、2にインストールにかかった時間、そして3にプレイヤーの関与した時間となります。
人によっては1と2が入れ替わるでしょうね。
このゲームはいろんな意味で話題になった作品でもありましたが、その一つにボリュームの多さがありました。
インストール後の容量は50Mを超え、PC98のアダルトゲームの中でも1・2を争うくらい多かったのですよ。
それでディスク枚数の多い98ゲーの話題にも良くでてきやすいのですが、それは展開後の容量が多いだけなんですね。
かなり圧縮されていたみたいで、フロッピーの枚数的には実は10枚ちょっとくらいだったのです。
だから枚数が最多なわけではないのですよ。
とは言え、本来なら大容量を少ない枚数に収めたわけですから、褒められるべきところでもあったのでしょう。
しかし、無理な圧縮が災いしたのか、インストールがとても厄介だったわけでして。
2時間とかはざらで、環境によっては半日を費やしたという話もあるくらいです。
最近はまたインストールに時間がかかるゲームも増えだしていますが、相対的にみれば当時の中では別格でした。
そのため、ほぼ全てのプレイヤーの第一印象が、イナストールなげぇ~うぜぇ~だったはずです。
では、それだけ容量を使った理由は何かというと、そのほとんどが音声だったんですね。
今も昔も音声は容量を食いますから、仕方ないのかもしれません。
ただ、ここで更なる難関が待っていまして、フルボイスで遊べるからラッキーとはならなかったのです。
どうやら環境次第ではまともに聞けるという話もあるのですが、そうでないと乱れて聞き辛かったんですね。
加えて、音声があるかわりにテキスト表示はなく、しかも音声をカットすることができませんでした。
つまりプレイヤーが何かやると、延々と聞き取りにくい音声を聞かされる羽目になるわけです。
それ故に、早々にプレイを諦めた人はインストール時間が最長になるでしょうし、我慢して耐えてプレイした人の場合は音声を聞く時間が最長となるわけです。
それでいてゲーム部分はパターンも少なくスカスカでしたからね。
一応調教SLGとしての体裁は整っているのですが、ゲームとしての面白さは全く感じられなかったわけでして。
だからやたらインストールに時間がかかったとか、延々と音声を聞かされ続けたゲームとの印象は残っても、調教SLGを遊んだんだって印象がほとんど残らないゲームだったのです。
まぁ、古いクソゲーを今更語ってどうするよってのがありますので、私は基本的に、古いものであまり酷い内容のゲームはここでは扱っていません。
だからここに掲載されている分の平均だけを見ると、レトロ系が高く見えることもあるかと思いますが、それは単に扱っていないだけであって、昔のアダルトゲームも酷いのはとことん酷かったわけです。
そして本作も、その中の1つということですね。
でも、あの当時はそれはそれでネタにして、何とか元を取るくらいには楽しもうとしたものでした。
本作も、話題やネタにはこと欠かないので語られやすいですし、人々の記憶に残っているという意味では、空気のような存在感のゲームよりはよっぽど幸せなのかもしれません。
評価としては、やっぱりこれは酷いだろということで厳しくなっていますが、ネタになれたこともあって、主観的には別に嫌いではないゲームではあったんですよね。
ランク:D-(凡作)
Last Updated on 2024-10-24 by katan
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