『Tonight 終末の夜』は1994年にPC98用として、SWATから発売されました。
同一時間帯の3人の主人公の物語を扱った、一風変わったオムニバスタイプのノベルゲームでした。
<概要>
東京に怪獣「へ36号」が上陸。
日本はこのままでは危ない、それどころか、このまま直進すれば、やがてはアメリカに行ってしまうと。
じゃあ、どうするのか。
アメリカは事前に対処してしまえということで、日本に核攻撃を仕掛けることを決断します。
もちろん、日本の首脳陣は、その決定を受けてトンズラ。
・・・という、もう後がない状況で市民はどうするのか。
例えるなら、核攻撃を目前に控えた最後の晩餐みたいな内容ですね。
主人公は3人いて、それぞれの物語を楽しむことができます。
そのため本作は、3つのストーリーから成るオムニバスとも言えます。
他方で「へ36号」に翻弄される人々の、同一時間帯における物語であることから、「へ36号」を起点とし多角的に捉えた、一種のマルチサイトとも言えるのかもしれません。

内容的には、マラトラマンが登場する特撮っぽいのもあれば、コメディ要素が多い話だったり、エロに興じてみたり、かつての恋人たちの再会というシリアス路線だったりと、シリアスあり笑いありって感じの、オムニバスらしいバラエティに富んだ内容でした。
それぞれの話のボリュームは多くはないので、気付けば終わってしまったというような小粒の作品でしたが、読んでいる分には楽しかったです。
<感想>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
選択肢は2個だったり、4個だったりと結構バラバラですかね。
あまり大きく展開が変わるというわけではないので、一応マルチエンドで分岐はあるものの、読み進めることが中心の作品となるのでしょう。

テキスト欄は普通に下部に表示されるのですが、多くのADVにある3行程度のものではなく、数行ほど多めになっています。
まぁ、行数が少し増えるだけで、今のノベルゲーと一緒ですね。
もう少し説明すると、この手のノベルゲームは当時からすでに存在していたのですが、ノベルゲームだけでなくADVという枠組みで考えても、PC98時代のADVはCGを枠で囲んでいる場合が多かったです。
しかし本作にはCGを囲む枠が存在しませんし、イベントCG表示時は全画面のグラフィックに透過したテキスト欄があり、そこにテキストが表示されるわけでして。
そのため、見た目の上でも、当時の他のADVよりも今のノベルゲーに近い感じでしたね。
余談になりますが、最近は読み進めるだけのノベルゲーばかりになって、それなら画面に表示する文字数も増やしても良さそうなものですが、逆に一文程度で終わる作品も何本も見かけます。
画面全体をテキストで覆うのも無駄だけど、本作くらいの行数を割いても良いと思うのですけどね。
クリック数ばかり増えても疲れるだけですから。
<評価>
いつの時代にも傾向や流行というのはありまして、当然ながらPC98時代のアダルトゲームのADVにも、大雑把な傾向や流行のようなものがありました。
それはストーリーの内容だけでなく、ゲームの構造や見た目にも当てはまります。
例えば大手の作品や今でも有名な知名度の高い作品ですと、ADVは大概コマンド選択式であり、仮にノベルゲーであっても、画像は枠で囲んであるものがほとんどです。
だから有名どころばかりプレイしているような人だと、98時代のゲームってコマンド選択式ばかり、或いは揶揄して総当たりばっかりで、しかもCGを枠で囲んでいるものという印象が強いのではないでしょうか。
まぁ、コマンド選択式や枠で囲む表示方法にも利点はあるし、プレイする側にも、それを良しとする人が多かったから、当時は売れたし知名度も高かったのでしょうけどね。
でも、人の好みは異なるし、もしそれらが嫌であるならば、大手の有名作ではなく中小ブランドのマイナー作を探せば良いのですよ。
今だってあれでしょ、大抵の人は売上と中身の良さは比例しないとか、関係ないって思っているわけでしょ。
そんなの昔だって同じなわけで、昔は一致していたけど今は違うとか言い出す人は、大抵の場合、その昔を知らなかったりしますからね。
だから今も昔も有名どころが苦手ならば、マイナー作をあたるべきなんですね。
レトロゲーを探すにしても、名作と言われる作品の方向性は、今と昔とでは異なるのです。
だから今の名作と呼ばれるタイプのノベルゲーが好きな人は、過去の作品で自分に合った作品を探す場合、過去の名作として有名な作品よりもマイナー作こそ探すべきなのですよ。
そして、この当時のマイナー作を探してみると、本作のようにイベントCGが全画面表示だったり、総当たり無縁のノベルゲーだったりするわけです。
コマンド選択式が合わない、或いは楽しみ方が分らないって人が、98時代のコマンド選択式ADVを名作として有名との理由だけでプレイするのは、はっきり言ってナンセンスであり、当時マイナーだったノベルゲーの方が楽しめると思うのですけどね。
SWATというブランド自体は、比較的マイナーというか、本作が確か4作目だったのですが、過去3作品は非ADVでして。
ADVは本作が最初の作品になります。
もっともXyzと同じ会社の別ブランドだったというか、基本的にはXyzの前身になるブランドでして。
前身と言っても多少被る時期もあり、Xyzとしてのデビュー作の後に本作が出たはずですから、Xyz作品がどういうものかを知っていれば、普通のコマンド選択式ADVにならないことは予想できたのかなと。
総じて楽しかったけれど、小粒な作品でしたからね。
アダルトゲームで怪獣が攻めてきた~なんて特撮系も少ないですし、特撮路線で最後まで突っ切れば、その個性で文句なしに良作以上だったのだけれど、ちょっと違いますからね。
そのため、総合では佳作としておきます。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-10-08 by katan



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