『神採りアルケミーマイスター』は2011年にWIN用として、エウシュリーから発売されました。
アイテム合成要素を取り入れたSRPGでした。
<感想>
エウシュリーはRPGやSRPG系のゲームを専門に作るブランドなのですが、今回は基本的にはSRPGになります。
もっとも、普通のSRPGではなく、材料を収集してアイテムを合成し、それを売るという要素も加えられています。
そのため、知らない人向けに簡単に説明しますと、アトリエシリーズをSRPGにして、そこにエロ要素を加えたようなイメージの作品と言えるでしょうか。
そもそもエウシュリー的には、似たようなシステムの『姫狩りダンジョンマイスター』がありまして、本作は言わば後継的な作品になるわけですね。
まぁ、姫狩りは若干微妙なところもあったのですが、私はエウシュリーのRPGよりもSRPGの方が好きなタイプなのです。
というか、幻燐シリーズがかなり好きだったんですよね。
そういうこともあって、エウシュリーのSRPGには期待したくなるのです。
さて、まずは基本となるSRPG部分なのですが、姫狩り同様に極力無駄なクリックをしないよう設計されており、とてもシンプルな構造を採っています。
チュートリアルが丁寧なことも相俟って、初心者が混乱するような要素もありませんし、誰でもすんなりと入っていきやすいと思います。
普段慣れていない人でも入りやすいということで、初心者向けとしても十分配慮されているように思いました。
それでいて、難易度やバランス等もゲーム機のゲーム並にできていますし、アイテム合成及び工房の運営でやりこみ要素やボリュームも結構あるので、やり込み派にも配慮された作りとなっています。
つまり、狭義のゲーム性が結構良く出来ているってことですね。
姫狩りにあった欠点もなくなっていますし、同じブランドの作品としても完成度は高まってきているのでしょう。
このゲーム部分を本当につまらないと思う人は、おそらくほとんどいないでしょうね。
しかしながら、ゲーム機のゲーム並ということは、それらと比べて特に秀でているわけではないってことでもあります。
狭義のゲーム性を求めるならSLGでは一般PCゲーが最高と考えますが、それらの名作と比べるとまだまだのようにも思えるわけで、評価的にはプラスにはならないのかなと。
まぁ、私は狭義のゲーム性にはこだわらない方ですので、細かいバランス云々の論争にはほとんど興味がないです。
SLG系は元来システムにお金を払うものだと思いますが、その中でも1番は総合的なゲームデザインにあると思っています。
本作は確かに完成度は高めてきているのですが、インパクトや新鮮さには欠けていたように感じました。
既存の要素を掛け合わせただけで、そこから化学反応的に新しい何かを感じられれば良かったのですが、結局はこんな感じかと予想した範囲内で収まってしまいましたから。
最近は少しましにはなってきましたが、この部分はエウシュリーの大きな欠点の一つなのでしょうね。
とは言うものの、ゲーム性が全てではないですからね。
ゲーム性が及第点であれば、他に秀でた部分があればそれで良いのです。
つまり、如何にゲーム機のゲームとの差別化を図れるのか、そこが大事なのです。
ただ、ここもエウシュリーの弱い部分なんですよね。
ストーリーは平凡なファンタジー物で、あってもなくても構わないような内容です。
エロさがあるわけでもないですし、アダルトゲームならではの利点がほとんどありません。
単純にゲーム部分にはまれた人は別なのですが、そうでなければ先を進めたいと思える魅力は乏しいでしょう。
グラフィックやキャラも最近は萌え路線に近付いてきたせいで、一般にはウケは良くなったのかもしれませんが、だったら他のADVで良いじゃんって思うわけで、あまり楽しめたとは言えないでしょうね。
幻燐2の頃とかは下手だと言われていましたが、貴重な頭身高めの大人の女性やお姫様も描いてくれてたので、個人的にはかなり満足していました。
分かってはいましたが、1作ごとにこの部分では楽しめなくなっているように思います。
<評価>
総じて、シンプル故にストレスもなく、プレイ中は結構満足して楽しめる作品だとは思います。
多くの人があ~楽しかったって思える作りだとは思いますが、それでいて特に目立つ部分がないので、印象がかなり薄いです。
プレイした時には楽しんだはずなのに、数年後には綺麗サッパリと忘れているタイプのゲームなんですよね。
個人的な感想を言わせてもらうと、幻燐2の頃はゲーム性がほぼ同等ならば、エロがある分だけゲーム機のよりも楽しめるって感じでした。
今はそのエロ方面もストーリーも楽しめないわけですし、グラフィック等は年々差が開く一方ですしね。
今回はまだ楽しめても、次には期待できないなって印象も抱いてしまいました。
普通には楽しめたので元は取れましたが、ストーリーやゲームデザイン等課題も多いわけで、個人的には佳作が精一杯なのかなと。
まぁ、個人的な評価はそんなところですが、私はアダルトゲームも一般物も区別しないで評価します。
これだったら例えば同時期なら、NTWの方が良いやって思うんですよね。
だからどうしても評価が厳しくなるのですが、アダルトゲームに限って見れば、ここまで遊べるのもあまりないでしょう。
そのため、例えば洋ゲーもバリバリやるような、生粋のSLG好きには本作は向かないでしょうが、逆にアダルトゲームしかやらないよって人には、幅広く支持されやすいタイプの作品と言えるのではないでしょうか。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-12-12 by katan
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