あの、素晴らしい をもう一度

1999

『あの、素晴らしい をもう一度』は1999年にX68000用として、満開製作所から発売されました。

制作は後の自転車創業になります。
ANOSにより、ストーリーとシステムの一体化が素晴らしい作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
「これから記憶が無くなったとしても恐く無いよ。あなたが覚えていてさえくれるのなら」
『未来の無い』少女が言う。
毎日をくり返し、積み重ねて行く事が未来であるのなら、彼女にはまさにその『未来』が無かった。
『前向性健忘』
別名『くり返し病』とも呼ばれるそれは、記憶も未来も新しく気付いた気持ちさえも無かった事にしていく呪い。
「人は間違ったらやり直すべきだ。だが繰り返すべきじゃない。
そんな事が本人の意思と無関係に起こっていい筈が無い」
『過去の無い』男が言う。
そして2人は互いに欠けた『過去』と『未来』を取り戻すべく旅に出る。
自分達のいる世界が既に『くり返しの世界』となってしまっている事さえ気付かないまま……

<感想>

ゲーム雑誌等で新作の発売予定表を見ていた時、なんか昔の名曲に似た名前の作品があるなぁ~って思いまして。
ただ、良く見てみたら、あろうことかX68000専用・・・
最初、一体何の冗談かと思いましたよ。

どうやら本作は、市販のX68000用ソフトでは最後なのだそうです。
むしろ本作の前の作品は、一体何年前になるのでしょう。
99年にもなって、よくX68000で出す気になったものだと、不思議で仕方ないソフトでした。
発売後、店頭で実物を見かけることもあり、ずっと気にはなっていたのですが、もうこの頃には本体を処分してしまっていましたからね。
これは諦めるしかないかと思っていたら、2002年にWindows移植版が発売されました。
私はそれで無事遊べるようになったわけですが、たぶん同じような経験をした人は他にも少なからずいたのではないでしょうか。

そういうわけで、発売元こそ違うものの、本作は実質的に自転車創業の作品の第1弾となります。
自転車創業といえば、今ではすっかり「ANOS」で有名ですよね。
ちなみに「ANOS」とは、Advanced Novel Operation Systemの略であり、このシステムによって過去の任意の地点に戻ることが出来ます。
つまり、バックログで任意の位置に遡り、それを駆使することでゲームを攻略していくわけです。
簡単に言えば、『YU-NO』のADMSのノベル版ですね。

なお、ANOSと、ダンジョンを自ら切り開いていくようなADMSとは、表面上は似ていても、理念的には全然異なります。
そのため、単純に同じように扱うのは、本当は良くないのかもしれません。
特にゲームシステムの分析が主目的の場合は、きちんと分けて考えるべきなのでしょうが、ここでは、時空をまたぐという、大雑把な傾向が似ている程度に捉えてください。
いずれにしろ、もう一度ADMSみたいなのを体験したいって思ってた私には、これは嬉しかったですね。

そもそも『YU-NO』のADMSが評価された背景には、もちろんそのゲーム性もありますが、それ以上にシステムとストーリーの一体感が高かったことが挙げられます。
これは、物語をその媒体で表現することの必然性を示すものであり、私も非常に重視する要素だったりします。
自転車創業の作るゲームには、その多くにANOSが搭載されますが、ANOSというシステムとストーリーとの一体感という意味では、おそらく本作が一番だと言えるでしょう。
その点では、自転車創業作品の中でも一番ポイントが高いです。

そうなると、本来ならば絶賛といきたいところでもありますが、なかなかそう上手くいかないわけでして。
まずはグラフィックやサウンドについてですが、これが同人の域から抜け出ていない感じで、結構ショボかったりします。

次に、システムとストーリーの一体感は良いとしても、基本的にストーリーそのものの魅力が足らなかったかなと思います。
ボリュームもなかったですしね。
たまにストーリーが良いとの評判もありますが、それは一体感を高く評価しているのであって、物語自体の面白さはさほどでもないと思うのですよ。

それと、ANOSはその後進化して独自の面白さを追求していきますが、本作の時点ではまだまだ未熟なものでした。
処女作ということで、ある程度は仕方ないのかもしれないですが、本作だけですと、ちょっと便利なノベルゲーの域を出ていないとも考えられます。

<評価>

総合では良作と判断します。

上記のとおり、発想は良かったけれど、全ての面で荒削りすぎた作品というのが、本作に対する率直な感想となるでしょうか。
まぁ、本作自体は良作止まりとはなりましたが、今後は化けそうな、名作になりうる可能性を秘めた原石を発見した気分になれました。
以後、私は自転車創業の作品を追いかけていくわけで、本作自体は名作でなくとも、そういう気分にさせてくれるゲームだったのです。

ちなみに、自転車創業の作品に関しては、システム的に化けたのは次の『空の浮動産』だし、それを受けた『ロストカラーズ』が現時点の最高傑作だと考えます。
そうなると荒削りな本作を今からプレイする意味があるかは疑問ですが、前述のようにストーリーとシステムの一体感はこれが一番でして。
今でも結構根強いファンがいるのも、そこら辺に理由があるのだと思います。
したがって、ストーリーとシステムの一体感に興味のある人は、本作から手を出してみるのも良いかもですね。
記念すべき第1弾でもあるわけですから、最初の作品から自転車創業を追ってみるのも良いかと思いますよ。
表向きはノベルゲーなのですが、その根っこには、昔ながらのADVの魂が宿されています。
歯応えのあるADVをやりたいって人には、ぜひとも自転車創業のゲームはやってもらいたいものですね。

ランク:B(良作)


あの、素晴らしい  をもう一度/再装版

Last Updated on 2024-07-17 by katan

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