『続初恋物語~修学旅行~』は1997年にPC-FX用として、徳間書店から発売されました。
幼馴染の可愛い女の子。
この属性を嫌いな男はいるのでしょうか。
<幼馴染>
恋愛ゲームに出てくるヒロインの中には、数多くの幼馴染キャラがいると思います。
幼馴染に焦点を当てた幼馴染ゲーも幾つか存在しますが、その中でも最強の幼馴染ゲーといって真っ先に頭に浮かんでくるのが、この『続初恋物語』なのです。
いわゆるギャルゲーの多くには、ゲームの期間が短期間に設定してあります。
その場合、もしヒロインが幼馴染だったとしても、幼馴染であるという他のヒロインと異なる特権的な要素は、近所に住んでいてすぐ会えるくらいなものです。
でも、単に近所に住んでるだけが幼馴染の特徴ではありません。
幼馴染っていうのは、主人公の傍で生活していた年月の間、それだけ多くの時間を主人公と共有してきたわけです。
その女の子は誰よりも長く、自分の事を見てくれていた存在なのですよ。
この、長い時間を共に過ごしてきたって感覚。
それをゲーム内で表現できてた例って、はたしてどれだけあるでしょうか?
<感想>
『続初恋物語』は、4つの時代から成り立ちます。
具体的には、小学校・中学校・高校・大学時代ですね。
そして主人公は全ての年代で、さまざまなタイプのヒロインらとの初恋を経験します。
その間、幼馴染の祐花は、主人公の恋愛成就のために常に陰からサポートしてくれます。
主人公の事が好きなのに、その気持ちを押し殺して、健気に主人公の初恋を応援し続ける。
・・・何とも健気じゃないですか。
というか、祐花ちゃんにつらい思いをさせ続けてる主人公がKYすぎです。。。
各時代には数人のヒロインがいまして、全ての年代での初恋を経験することで、初めて祐花ちゃんが攻略対象になります。
この意味がわかりますか。
祐花ちゃんが絶えず主人公を想い応援し続けてくれた姿を、ずっとプレイヤーは見続けてきているのです。
長いプレイ時間の果てに、ようやく結ばれる主人公と幼馴染の女の子。
最も近くにいたはずなのに、とても遠かった道のり。
クリア時には、年月という名の重みがきっと伝わってくるでしょう。
幼馴染は、いつの時代も最高の存在なのです。
<グラフィック他>
さて、一番の魅力は上述の通りですが、他にも特徴はありまして、キャラデザに『吸血姫美夕』で有名な垣野内成美さんを起用し、総勢12人の魅力的なヒロインが待ってくれています。
口パク等もありますし、振り返りながら話しかけてくるシーン等、いまのノベルゲーよりも高度なことをしていたりもします。
また、ボイス入りに加え、ヒロイン全員に専用の挿入歌が用意されてます。
自分も全部は見ていないので詳しくは分かりませんが、450種類を超えるイベント、250を超えるエンディングだそうです。
ここまでで分かるように、ボリュームは半端じゃありません。
CD4枚組は、97年当時では最高クラスに属しますよね。
※同年のFF7は3枚です。
<ゲームデザイン>
時代は4つ用意されていますが、サブタイトルにもあるように、個々の時代では修学旅行という短期間が舞台となります。
修学旅行というだけあって全国各地を訪れるわけですが、これがまた多彩なんですね。
大学時代には海外(デンマーク)にまで行ってますから。
この観光地のグラフィックがまた綺麗だし、説明もしっかりしているんです。
修学旅行体験・観光ゲームとしても満足できるでしょう。
ゲームのコンセプト、グラフィック、サウンド、ボリューム。
どれも素晴らしいです。
ただ、ただね・・・発売の時代が悪かったかなぁ~
ここまで一切触れなかったゲームの基本システム、ここに問題があるのです。
当時、ときメモの人気もあって、恋愛系のゲームは育成SLGばっかだったんですよね。
このゲームも、それにならって育成SLGなんです。
これが、ぶっちゃけだるかったです。
あまり出来が良くない上、ボリュームがありますからね。
攻略本があっても、根気がないと疲れてきます。
これに耐えられた人には傑作なんですが、そうでないと凡作って感じる人も出てくるでしょうね。
そのため、このゲームは結構評価は分かれるかと思います。
※補足すると、本作のオリジナル版はPC-FX版になりますので、オリジナル版でプレイした人は少なかったでしょう。
後にSSやPSにも移植されていますが、その頃には育成SLGが下火になってきていて、恋愛ゲームの主戦場はノベル系のADVに移っていく頃でした。
そのため、本作は時代の流れに沿っていないことから、埋もれるべくして埋もれていったとも言えるのでしょう。
もう少し後、ノベル全盛期の頃に発売されたなら、きっと本作もノベルADVとして発売されたでしょう。
そうしたら歴史的傑作として語り継がれたかも知れないのにと思うと、何だか勿体無い気もしますね。
<評価>
上記のとおり欠点もありますが、それ以上に長所がたくさんありますので、総合でも十分名作といえるでしょう。
最近は幼馴染は負けヒロインになることも増えてきています。
しかしそれは、アニメやゲームでは、幼馴染の魅力を表現しきれないから、そのような立ち位置になっていっただけなのかもしれません。
だからこそ、幼馴染属性のある人には、ぜひとも本作をプレイしてもらいたいなぁ~
クリアした人には分かるはず。
これは全て祐花ちゃんのためのゲームだと。
例え別の子を攻略してても、絶えず祐花ちゃんが絡んできますしね。
ここまで幼馴染の存在に徹底的に拘った作品は、もうきっと、目にすることはないのでしょうから・・・
ランク:A(名作)
Last Updated on 2024-12-08 by katan
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