『エルフ大人の缶詰』は2000年にWIN用として、elfから発売されました。
windowsでYU-NOをプレイするならこれしかないってことで、注目された作品でもありますね。
<概要>
CDより一回り大きい直径130mm、高さ105mmの円柱形の缶に、幾つかの過去のゲームやグッズが収録されたセット作品になります。
収録内容は以下の通り。
・エルフclassics(復刻版ゲームCD)1枚
収録タイトルは『シャングリラ』(1991)、『シャングリラ2』(1993) 、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(1996)
・エルフbest collection(音楽CD)1枚
・役に立つ大人のマル秘セット 1組(ピンクローター 1個 単三乾電池 2個 ローション 1個)
・・・最強の中古対策かw
・ワーズ・ワース テレホンカード 1枚
・臭作 キャラクター携帯ストラップ 1個
・エルフ2001年カレンダー 1組
(1,2月 ドラゴンナイト 、3,4月 シャングリラ 、5,6月 同級生、7,8月 遺作、9,10月 下級生、11,12月 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO)
<感想>
文字通り外装は缶詰なので、再度蓋をすることはできず、開けたらそれまで。
中身のグッズとの兼ね合いもあり、一度開けたら非常に売りにくい商品でもあります。
携帯ストラップは5種類の中からランダムに1種が封入されており、ちなみに私は栗原朝美でした。
キャラ的には好きだったので良いのだけれど、流石にこれは使えないよなと。
でも、いまだに捨てずに持っていたりします。
本作発売当時は、まだDE・JAマルチパックが発売されていなかったですし、YU-NOはDE・JA3のようなものという印象もあったくらいなので、YU-NOと組ませるならDE・JAだろうと、何故にシャングリラなんだという意見はよく見かけたような。
個人的にも同意見で、どういう基準で選んだのかなと思ったり。
シャングリラを再プレイする気はあまりなかったので、目当ては専らYU-NOの存在にありました。
発売前は、これでPC-98を処分できると思った人も、少なからずいたのではないでしょうか。
しかしながら、この期待は残念な結果に終わってしまいました。
一つは、当時の倫理基準に従った変更により、一部のセリフが伏字になってしまったことですね。
伏字解除パッチなるものも非公式に出回ったのですが、個人的にはあまり伏字にされたこと自体は重要ではないのかなと。
というのも、既プレイの人は分かりきっていますので、全く問題ないでしょう。
問題は未プレイの人なのですが、容易に推測できる部分ばかりですので、伏字だから意味が分からないとか支障が出るということはないと思います。
プレイするのは18歳以上ばかりなわけですから、これくらいなら分かるでしょ。
むしろ一番の問題はサウンド。
収録内容を一応確認と思って調べてみたのだけれど、誰だあのウィキペディアを書いたのは?
「PC-9801版等と内容・音楽面でほとんど変わりはないが」・・・って、いやいや大ありだろうと。
ステレオがモノラルに変更されたと言っていた人がいたり、音と絵が微妙にずれているとか言っている人もいて、その全部が正しいのかは分からないのですけどね。
サウンドの技術的側面に関しては、私は疎いものですから。
でも逆に、そんなサウンドの細かな違いに疎いはずの私ですら気付いてしまうほど、サウンドが明らかに劣化しているのですよ。
いつの間にやらストーリーだのADMSだのが先行してしまった感があるけれど、YU-NOは決して一点の特徴だけで評価された作品ではありません。
多くの特徴・魅力があり、それぞれの部分、あるいは全体を評価する人が集まることで、その後の人気を得ていったわけです。
どうしても剣乃(菅野)作品としての印象が強い作品ではありますが、同時にFM音源を最大に活かしきった梅本竜作品の傑作でもあるのです。
例えばkeyの作品に感動した、涙したという人は大勢いますが、初見で折戸さんのサウンドを全部カットしてプレイして、それでサウンドありの場合と同じだけの感動を得られるでしょうか。
ジブリ映画も久石譲さんの音楽があってこそ。
感動する物語ではサウンドはとても大事になってきますし、サウンド次第で感じ方も変わってくるのです。
そのことを痛感させられた作品でしたね。
名画の模写やコピーを見せられた気分。
例えるならば、そんなところでしょうか。
美術館に飾られている名画の本物と、教科書にコピーされた印刷物。
機械でコピーしているのだから、構図などに違いはありません。
でも、得られるものは雲泥の差です。
この復刻版をプレイしたときに湧き上がった感情は、教科書に印刷されたコピーを見たときと同じような感情でした。
これはYU-NOであってYU-NOではない。
(とは言え、劣化コピーであり別物ではないので、別物になってしまったサターン版よりは好きなのですけれど。。。)
なお、単なる私の記憶の美化の問題かもしれませんから、即座にPC-98の実機を起動させました。
やっぱ復刻版とは違うんですよね。
私には感覚的に全然違ってみえたという程度しか書けないので、その辺をきちんと技術的に説明してくださる方がいれば良いのですけれど。
繰り返しますが、サウンドについては素人同然の私ですら、全然違うと感じてしまうほどなのです。
そういうこともあって、結局98版のYU-NOは手放せないままです。
今はオリジナルを知らない人が増えているので、目に見えやすい伏字云々が問題にされやすいのかなと思いますけどね。
しかしネット上とかでも、確か当時最も問題にされやすかったのは、サウンドだったように思います。
これはパッチでどうこうとか推測でカバーできるというものではありません。
缶詰版は論外と言う人がいるならば、それは98版のサウンドに魅了された人なのであり、私もまたその中の一人であるということなのでしょう。
中の人たちのいざこざがありましたから、それでわざと劣化させた移植版を出したんだろとか邪推もしがちですが、いずれにしろ完全な移植版がプレイできなかったことだけは、ただ単純に残念としか言いようがありませんね。
<評価>
新作がないので、いつものランク表示はなし。
限定品ということでエルフファンとしては買わざるを得ないって部分もありましたが、正直なところ買う必要性はなかったのかなと。
あぁ、でもサターン版よりは雰囲気は出ているから、少しはマシなのかな。
でも、もっときちんとやれただろと思うだけに、エルフに対する不満が最大限にまで高まった商品でもありましたね。
Last Updated on 2025-01-23 by katan
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