『ゆびさきコネクション』は、2021年にWIN用として、HOOKSOFTから発売されました。
社会人が主人公の恋愛ゲームということで、最近のエロゲの中では珍しくなったタイプの作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・「どうしてこうなった…いいかげん彼女がほしい!」
進学すれば彼女は自然とできると思っていた。それがダメでも……。
大学生になれば彼女が出来て、楽しい学生ライフの本番が始まると、そう信じていた。それも違った……。
社会人になれば大人な恋愛がきっとあるだろうと期待を秘めていた。
そのはずだったのだが……。
社会人になってようやく腰を落ち着かせ始めた頃、無論、そんななんとなくの幻想が実る訳もなく、枯れた生活を嘆いていた主人公は久しぶりに会った後輩の夏歩に叱咤される。
「先輩、素材はいいんだから行動すれば彼女できると思うけど」
それが出来れば苦労しない……。
そう思っていた主人公だったが、夏歩に導かれるように自分から少し動いてみたら美人のお姉さんに褒められたり、新しい出会いがあったり、今までとは違う風が吹き始めるのだった――。
<感想>
私は、HOOKSOFTのデビュー作である『雨あがりの猫たちへ』を、発売に買いに行ったユーザーでした。
途中、あまりプレイしなくなった時期もありましたし、今も熱烈なファンというわけでもないのですが、このブランドの新作が出ると、一度はチェックしています。
私がこのブランドに注目し続けている理由は一つでして、それはこのブランドが、デビュー当初から、トータルでのゲームデザインを意識した作品を作るからです。
まぁ、実際の作品にはいろいろ欠点もあって、あまり高く評価していなかったりするのですが、こういうブランドには頑張ってもらいたいなと思うのです。
そうした理由から、新作が発表されるとサイトを確認し、専ら「ポイント」のところだけ見て、そこで目新しいことをやっているようであれば購入し、そうでなければスルーというような感じでした。
本作も、発表当時に確認したのですが、正直なところ、ポイントを見ただけでは、特に新しく感じず、あまり魅力的に感じられませんでした。
SNSを活用するという特徴はあることはあるのですが、これは本作だけというわけでもないですし、あまり目新しさにはつながらないですからね。
それで一旦はスルーしたのですが、評判が良さげだったので、プレイするに至った次第です。
さて、肝心の中身なのですが、本作の主人公は社会人になります。
といっても、社会人になって、ようやく慣れてきたくらいなので、中身はまだまだ学生に毛が生えた程度です。
そのため、社会人が主人公の大人のエロゲを期待すると、なんだかガキ臭く感じてしまうかもしれませんが、まぁ、社会人になってちょっとの間なんて、そんなもんですからね。
ある意味、リアルと言えるのかもしれません。
主人公がしっかりした大人になりきれていないのであれば本作の意味がなくなるのかと言うと、決してそうではありません。
近年の恋愛エロゲは、高校を舞台にした作品ばかりで、学園描写もうんざりしてきますし、ヒロインも同年代ばかりで多様性に欠けてしまいます。
本作の場合は、ベースとなる舞台自体が異なってきますし、本作のヒロインも、後輩である学生も出てきますが、キャリアウーマンなお姉さまもいて、高校生、大学生、社会人と、年齢や立場の異なる女性が揃っています。
もちろん、その立場に応じた内容になっていて、きちんと区別がなされています。
もっとも、表面上の設定が異なるだけで、中身はほとんど一緒というのでは意味はありません。
私の場合、いかにもエロゲ的という内容に飽き飽きしているので、エロゲ脳に染まったような内容だと、評価が厳しくなります。
ここ数年、世間での評判は良さそうなのに私の評価が低い作品は、テンプレ描写が好きな平均的エロゲユーザー好みかもしれないけれど、そのいかにもエロゲエロゲしたような作りに抵抗がある場合が多いです。
本作は、良くも悪くも普通の恋愛を描いた作品です。
そのため、エロゲエロゲした作品が好きな人だと、地味に見えてしまうかもしれません。
他方で、いかにもなエロゲではなく、リアル風な疑似恋愛、こういう青春時代を過ごしたかったなと思える作品をプレイしたいならば、本作はプレイヤーに刺さってくるのではないでしょうか。
私もプレイしていて、物語にすんなり入っていくことができました。
まぁ、多少甘すぎるきらいがありますし、厳しく言うならば、単にリアル風な雰囲気を出す方向に方向性を変えただけともいえ、必ずしも優れているとまでは言えないので、大きなプラス要素とまでは言えないと思いますけどね。
したがって、恋愛ゲーとして十分楽しめましたが、ストーリーだけで名作と言いきれるほどの内容ではないという印象でした。
また、ゲームデザイン部分のポイントであるメッセージアプリについても、必ずしも活かしきったとはいえなかったように思います。
<評価>
これまでのHOOKSOFTの作品があまり楽しめなかった人、そもそも巷で評判の最近の恋愛ゲーに辟易している人、でもこういう青春時代を過ごしたかったなと思えるような、そんな恋愛ゲーには憧れるというような人には、ぜひともプレイしてもらいたい作品と言えるでしょう。
昔は本作のような作品も時々あったのですが、年々その数は減り、今では絶滅危惧種になってしまいました。
そういう意味では、総体的にも本作の価値は高まるのでしょう。
もっとも、本作ならではという突き抜けた特徴に欠けることから、名作には届かないと考えざるをえないのですが、それでも十分、良作と言える作品だと思いますね。
Last Updated on 2024-08-06 by katan
コメント
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これも含め、やはり昨年のエロゲの売上ランキングって、ここ数年でも異質だと感じました。例年に比べてもテンプレ系があまり売れてない年でしたし
昨年は抜き系とかが上位に来たのは驚きました。2021年はサキュバス学園とコイカツサンシャインの2強ですが、昨年がたまたま大手がいなかっただけなのか、それとも本当に時代が変わったのは不明ですが、ゆずとクロシェットは未だに音沙汰ないですし
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> 暗黒のチノさん
その売上ランキングというのを見ていないので、よく分かりませんが、もともとエロゲの売上ランキングって、操作されてきたものなんですよね。
ヌキゲーが一位であっても、あえて下げときましたというのは、公然の秘密でしたし。
雑誌ランキングとかはその傾向が強いようです。
ショップランキングは、店の傾向もあるので、テンプレ系が強い店もあれば、ヌキゲーが強い店もあるので、どこの集計かでも全然かわってきそうですよね。
そういうのがあるので、私は、売上ランキングに興味がないのですけれど。。。
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>katanさん
リンクは載せませんが、「もっと!孕ませ!炎のおっぱい異世界超エロサキュバス学園!」が1位なのは駿河屋とGetchu.comのデータっぽいですね