『や・く・そ・く』は1997年にPC98用として、メイビーソフトから発売されました。
影崎夕那さんの絵が可愛く、またその見せ方にも特徴のある作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
主人公・狭山悠一は、不幸が取り柄(?)の大学生。
幼少の折り、海難事故で両親を亡くした上に、記憶を失ってしまっている。
しかし、彼の生活は、ミズキと名乗る女のコの登場によって一変する。
さらに、彼の周囲には、後輩である遊美、お姉さん的な存在の秋穂といった女性がおり、彼女たちは、主人公との「過去のやくそく」を果たしに迫ってくる。
その「やくそく」とは…?
<感想>
まずゲームジャンルについてですが、ノベルゲームになります。
もはや選択肢ですらないような一択が続き、それに場所移動が加わりますので、若干変則的ですけどね。
まぁ今のユーザーだと少し変わった印象を受けるかもしれませんが、一択の選択肢も場所移動の選択も、この頃のノベルゲーでは時々見かけましたので、当時のユーザーなら違和感も抱かなかったでしょう。
本作は萌え+エロといいますか、つまりはエロの濃い恋愛ものになります。
今風にいえば、イチャラブゲーともなるでしょうか。
恋愛ゲーは当時すでに多数発売されていましたし、それらと比べてストーリーが良いわけでもないのですが、本作ほど射精描写の濃い恋愛作品は珍しく、その点で特色を有していたように思います。
<グラフィック>
本作の原画は、影崎夕那さんになります。
当時人気だったこともありますが、個人的にこの頃の影崎さんの絵は大好きで、出た作品は見境なく手を出していたように思います。
そんな感じだったので、キャラももちろん満足なのだけれど、実は、それ以外の観点からも特徴を有した作品でもありました。
本作は夢魔のミズキが来るところから始まり、主人公と共に外に出るのですが、一緒に行動しているということで、脇に並んで振り返るような感じの立ち絵になっています。
この場合は、キャラの立ち絵もアップ気味で、近くにいることが伝わってきます。
違う場面では、アップの立ち絵と引いた立ち絵が重なり、画面を通じて奥行きを感じられるというか、
全体的に平面の画像内において、遠近感を出すことを意識した作りになっているように感じました。
エロゲの立ち絵は、本作から20年近く経った今でも、キャラが横並びにずら~っと並べられているだけで、キャラの位置関係が考慮されていないものも多いです。
それを考えると本作は、地味なところが良く出来ていたように思いますし、その点で非常に印象深い作品でした。
また、キャラの表情も良く変わりますし、その点でも満足度が高い作品でした。
<評価>
これ、テキストやストーリーにしか興味のない人だと、あまり楽しめないでしょう。
しかし影崎夕那さんの絵で、表情変化も豊かで、画面内の遠近も意識した構図など、グラフィックに関しては見所の多い作品でもあり、画面を見ているだけで楽しいのですよ。
そういう意味では、なるほど~と思いながら、予想外に楽しめた作品でしたし、今プレイしても得るものがある作品だと思います。
総合でも良作といえるでしょう。
私の場合は絵の使い方に感心した作品でしたが、メイビーの作風が好きならば、さらに楽しめる作品だと思いますね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-12-10 by katan
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