濃縮ANGEL120%

1995

『濃縮ANGEL120%』は1995年にPC98用として、カクテルソフトから発売されました。

1993年に発売された『ANGEL』の続編であり、本作も見どころのある作品でしたね。

<ANGEL>

そもそも『ANGEL』は、成年漫画家である遊人さんの代表作の1つでして。
それをアダルトゲーム化したのが、93年に発売された『ANGEL』になります。

本作は、その続編になりますが、主人公の康介と、幼馴染でヒロインの静香ちゃん以外のキャラはかわっていますし、1話完結型ですので、前作はプレイしなくても大丈夫です。

ただ、原作である漫画の方は、読んでみても良いかもしれませんね。
遊人さんは、当時は非常に有名な方でしたし、あの頃のピンク系の看板とか、どれもこれも遊人さんの絵柄に似せたものばかりでしたから、知っていて損はないと思います。
また、個人的にも遊人さんの作品の中では、『ANGEL』が一番好きです。

<感想>

さて、原作ありの作品をゲーム化した場合、大抵はつまらなかったり、無難に仕上げていたりすることが多く、ファン以外は楽しめないことも多いです。
そのため、本作についても、原作ファン以外は注目しにくいかなと思います。
しかし、このシリーズに関しては、小粒な作品ではあるものの、結構見どころも多いシリーズといえるわけでして。

例えば前作の『ANGEL』。
この初代『ANGEL』は3話構成でしたが、3話ともゲームデザインが異なっていたのです。
そして、この作品には、田所さんが参加していました。
田所さんがいたからか、その中の1つは、簡易的ではあるものの、SM調教SLGになっていたのです。
後の1995年に『SEEK』が発売され、初のSM調教SLGとして高い注目と評価を得ましたが、その予兆が既にこの時にあったということですね。

本作は、既に田所さんは退社した後の作品のはずですが、複数話による構成と、エピソードによりゲームデザインが異なるという、前作の特徴は踏襲されています。

具体的にみてみると、本作には2つのエピソードが含まれています。
1つ目は、「静香のアルバム」というエピソードで、これは、康介が、育子という女の子から、妹の弥生を探してほしいと頼まれ、静香と一緒に捜査を開始するのですが、肝心の康介が誘拐犯扱いされてしまったことから、真犯人を捕まえようと奮起するという内容になっています。

このエピソードは、コマンド選択式ADVになっています。
ゲームデザインは普通なのですが、横向きの立ち絵があったり、カットインがあったりと、演出等が良く出来ていました。

2つ目は、「納涼怪談」というエピソードで、これは、1枚の心霊写真から、康介が美人幽霊を探そうとし、騒動に巻き込まれるというものになります。

このエピソードは、ポイント&クリック式ADVになっています。
つまり、画面をクリックして進めるタイプの作品ですね。
そしてこのエピソードには、実はちょっと変わっているなと思ったことが、1点ありまして。
そもそもPC98時代の作品って、特に大手の作品ほどグラフィック部分とテキスト部分が分離していて、枠で囲まれていることが多かったです。
それは本作も同様に見えるのですが、グラフィック欄の欄外の部分、掲載した画像だと、右下に生首だけの写真があると思いますが、それをクリックすることもあるんですよね。

だからどうしたと言われればそれまでなのですが、こういう形式の作品は珍しく、一瞬、おやっと思ったものです。

<評価>

総じて、随所に工夫が凝らされており、プレイしていて楽しい作品でした。

ただ、前作と比べると、どうしても本作の方が1ランク下かなと思いますので、総合では佳作としておきます。

ランク:C(佳作)


Last Updated on 2024-11-02 by katan

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