『ユキイロサイン』は2021年にWIN用として、Wonder Foolから発売されました。
『アオナツライン』の原画&シナリオによる作品ということで、注目された作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
――ただ1つの季節を巡る日々の物語――
日本有数の豪雪地域にして日本有数の低い人口密度を誇る南逢瀬町。
数十年ぶりの早い降雪に、何かが変わる予感がした。
だけど、本当に変わって欲しいのかは、本人にも分からない。
今年もあと2か月程度に迫った冬。
羽染宗冬の日常は、友人たちと共にあった。
ぶっきらぼうで、物静かで、わりとおっかないけど、根は優しい幼馴染み、勿来美玖。
ロシアからやって来た臆病なお調子者留学生、スヴェトラーナ・グルチェンコ(愛称:スヴェ)。
都会から転校してきた、完璧に忘れ去られていた元幼馴染み高萩香子。
最もよき理解者で、最も近しい幼馴染み、薄広中。
これは日常という名の奇跡に彩られた、決して長くはない時間の、決して軽くはない時間の物語。
これからとこれまでのためのひと冬。
<感想>
『アオナツライン』の冬バージョンかと期待した人も多かったでしょう。
ただ、結論から先に言ってしまうと、『アオナツライン』が好きであればあるほど、本作が物足りなくなってしまうように思います。
体験版だけの方も含め、プレイした人の多くが感じると思うのですが、ゲーム開始時には、これは大当たりかと期待させるほど、本作は凄く良い雰囲気で始まります。
その良い雰囲気のまま最後まで行けば良かったのですが、終盤にいくほどトーンダウンしてしまう感じでして。
そのため、どこかものたりない印象を受けてしまいます。
本作は、群像劇のスタイルをとっています。
簡単に言ってしまえば、群像劇スタイルの、恋愛系の、雰囲気ゲーって感じですね。
それ以外は、ごく普通の作品だと思います。
群像劇にすることで良くなる作品があるのも確かです。
しかし、本作の場合、群像劇にするには、個々のヒロインのドラマ性が足りなかったように思います。
こういう作品の場合は、主人公1人の視点からシンプルに進んだ方が、私は良かったのではないかと考えます。
まぁ、主人公は主人公で印象が薄いので、逆に主人公を廃して、ヒロインだけで再構成しても良いかもしれません。
いずれにしても、本作はとても中途半端な構造に感じます。
<評価>
プレイ開始時のワクワク感はありますし、普通に楽しむことはできます。
ただ、終盤に行くに従い、尻すぼみになっていくというだけで。
したがって、総合では佳作とします。
グラフィックやサウンドは良かっただけに、もったいない作品でしたね。
同時に、『アオナツライン』は良く出来ていた作品だったのかなと、あらためて思った作品でした。
本作を検討している人で『アオナツライン』も未プレイであれば、まずは『アオナツライン』をおすすめします。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-08-06 by katan