『ワイルドアームズ』は1996年にPS用として、SCEから発売されました。
<感想>
丁寧に作られた作品というのは、それだけで多くの人に適合するのであり、万人が楽しむことができます。
特に初心者にすすめる場合にはそういうゲームが望ましいわけですが、この年にRPGの中から何か1本を選べと言われれば、間違いなくこの作品を選ぶように思うわけで、それくらいバランスの取れたRPGが、この『ワイルドアームズ』でした。
さて、具体的に中身を見ていきますと、まずはグラフィックですね。
グラフィックは基本的にはSFC時代の延長から抜けきっていないのですが、戦闘がポリゴンによる3D戦闘でした。
これはFF7より先になることから、ゲーム機のRPGとしては初の試みだったはずです。
RPG初ということを重視すれば、プラスにもなりえたでしょう。
もっとも、アクション系とか、他ジャンルでもっと優れたポリゴンによる戦闘がありましたので、個人的にはプラスになりきれないって感じでしたけど。
次にストーリーですが、基本的にはSFC時代のRPGの作りを踏襲しつつ、そこに西部劇風+SFという独自の味付けをすることで、他にはない魅力を醸しだし、高い評価を生む要因になりました。
ここはね、主人公の位置付けをどう捉えるかでも、印象が異なってくると思うのですよ。
昔のプレイヤーはRPGの主人公≒プレイヤーと思う人が多く、その影響もあってか主人公は話さないことがほとんどでした。
確かに、自由度や戦闘重視のRPGとか、自分でキャラを作り上げるRPGではそれで良いのだと思います。
しかし、ストーリー重視で1人のキャラとして作られている主人公の場合、全く話さないのはかえって違和感があるように思います。
SFCオンリーで来たような人には気にならなかったみたいですが、他の機種で主人公が自分の感情をぶつける素晴らしいRPGをやってしまうと、主人公が話さない本作は、ストーリー的に物足りなく感じてしまうのです。
本作は西部劇風ということで、RPGの枠内ではマンネリを避けることには成功しています。
しかし、西部劇風の作品が他にないわけでもないし、その中でも長所と言えるほどには優れていなかったように思いました。
また本作の特徴として、フィールドやダンジョンでの謎解きが挙げられます。
この部分がいい加減なRPGも多いだけに、魅力的に感じた人もいたのではないでしょうか。
他にもバランスとかも問題はないですし、本作は本当に穴がなく細部まで気が配られているんですよね。
だから初心者でも安心して楽しむことが出来るのです。
ただ、謎解きにしても同時期のADVの方が優れていましたし、バランスの良いRPGは他にもありますからね。
決してマイナスにはなりえないものの、プラスにもならないのかなと思うわけでして。
<評価>
総じておよそ欠点のないRPGで、誰がプレイしても良作と感じる類の作品ではないでしょうか。
いわゆる万人向けってやつなのだと思います。
しかしながら、一杯ゲームをやってきている人にとって、この部分は他には負けないと感じられる長所もまたなかったわけで、私の基準では良作が精一杯ってなってしまうのです。
良い作品ではあるのですが、全方位に配慮しすぎて、かえって小さくまとまってしまった感じで、もう一押しが足らなかったわけで、非常に惜しかったですね。
もっとも、私の基準ではこうなったというだけであって、致命的な欠点を減点していく方式であれば、かなりの高得点になりうる作品だとは思いますね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-11-14 by katan
コメント
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懐かしいですね。
当時、PSのRPGで唯一最後まで飽きずにプレイした作品です。クリア後のやり込み要素もそれなりにあって楽しめました。
特筆すべきはOPのアニメーションと劇中のBGMでしょうか。廃盤になったサントラを探し求めたのもいい思い出です。
その後の続編はやってませんが金子彰史×なるけみちこ×麻生かほ里がWAシリーズの代名詞になりましたね。初代だけなぜか渡辺真知子さんでしたけど、あのED曲は今でもよく聴きます。
金子彰史さんは「戦姫絶唱シンフォギア」のシリーズ構成をされていますが、すべてにおいてダサすぎて、逆にそこが見所になっています。
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これは万人に好かれやすいタイプでしたね。
おっしゃるように、サウンドもとても良かったです。
金子彰史さんは「戦姫絶唱シンフォギア」にかかわっていたのですか、知りませんでした。
チェック漏れで見ていなかったのですが、何か気になってきたので途中、というかもう終盤ですが見てみたいですね。
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クオリティそのものはいい方かもしれませんが、いかんせん、変にまとまった作品になってしまった感じのゲームという気はしました。(後半になるにつれ西部劇から離れていった展開など)
もっとも、ソニーの性質上、そうせざるを得ない事情があったのは想像に難くないのですが。
TBしたいと思います。
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どっかで書いはずなのだけど肝心の自分の記事に書き忘れていたのですが(そもそもこの記事書いたのもかなり前ですし)、ワイルドアームズは西部劇ではなく西部劇風って表現されることが多いように、結局は荒野を舞台にしたファンタジー作品なんですよね。だから万人向けではあったのだけど、濃いものを求める人には中途半端にまとまった作品に感じてしまったと。
あとは以前サフィアさんのところに書かせてもらったコメントの繰り返しになるので省略しますが、1つ補足するならば、ソニーがPSにもRPGはあるんだよって売ることを目的として作ったのは、どっちかというとアークザラッドシリーズだったと思います。それと比べればワイルドアームズはしがらみが少なくもっと自由に人を選んでも濃い作品にできたと思うのですが、結果的に売れたアーク2の方が癖の強い作品になって、あまり売れなかったWAの方が万人向けな仕上がりになったわけで、何とも皮肉な感じがしましたね。