WHITE ALBUM

1998

『WHITE ALBUM (ホワイトアルバム)』は1998年にWIN用として、leaf(リーフ)から発売されました。

ブランド前作から方向性を変えようとした姿勢は好印象でしたが、特にシステム面で、やや空回りに終わってしまった感が否めない作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADV+SLGになります。

『WHITE ALBUM-綴られる冬の想い出-』は様々なかたちの恋愛を描いたラブストーリーです。
主人公は平凡な毎日を送る大学生。
でも人と違うことが一つだけ…。
みんなの注目を集める人気歌手――『森川由綺』。
彼女が恋人なのです。
彼女の人気が高まるほど、二人の会えない時間は増えていきます。
そんな二人はこのままでいられるのでしょうか…?
訪れる冬を背景に、二人は恋のアルバムを刻んでゆきます。
綴られる冬のアルバムは、いつも白く、切なく──

<感想>

他の人と違うのかもしれませんが、私は好きなゲームを作ったブランドと、好きなブランドは必ずしも一致しません。
ここでいう好きなブランドとは、応援したくなるブランドと言い換えても良いかもしれません。
例えばハート電子なんかが良い例で、ほとんどのゲームは作りこみが甘く内容的には凡作レベルだったりします。
でも、前に作ったのとは違うゲームを作ろう、そのために新しくシステムから作り上げようとする姿勢は、とても好きだったのです。
だから文句も言いつつも、毎回買ったりもするわけです。
逆に単発では名作・良作と思った作品があっても、今後は同じことの繰り返しだなと思ったブランドのゲームは、私は次第に買わなくなっていきます。
そのため、冒頭の結論に至るわけです。

さて、ここから本題になるわけですが、私はあまりleafのゲームは高く評価していません。
中には名作と判断したのもあるわけですが、それでも世間一般の評価よりも低い方なんだと思います。
でも、ゲーム単体の評価は芳しくなかったとしても、2001年頃までのleafというブランド自体はわりと好きだったのですよ。
それは冒頭の記載にも関連しますが、leafが、他と違うものを作ろうという変化の姿勢を見せてくれていたからなのです。

周知のように、leafはノベルゲームで名を馳せたブランドです。
『ToHeart』で一気に有名になったわけですから、普通ならまたノベルゲームを作ると考えるでしょう。
それは多くのユーザーも望むことだろうし、作り手としても安全牌なわけですからね。
でも、次の作品である本作は違っていました。
ADVにSLG的要素を混ぜて、中間的なシステムできたのです。
世間では高く評価されているノベルを捨てて、新しいものに挑戦しようとすることは決して楽な選択ではないわけで、それだけにその姿勢にはとても好感を抱くのです。

だからブランドとしては好きとなるわけですが、皮肉にもそれがゲームの評価に繋がるとも言えないわけでして。
まず、その変化したシステム面ですが、これって世間の流れ的には逆行しているわけです。
つまり、世間的には最初は恋愛SLGが流行り、その後にほとんど恋愛ADVになっています。
その過渡期には中間的なシステムのも多々あるわけで、ノベルから転じた本作のシステムは世間とは逆の流れになるわけですね。
まぁ、流れ自体はどうでもいいのですが、この「中間的なスタイルのゲームが既に巷にある」ということが問題なわけです。
つまり、leafとしては新しい試みなのかもしれないけれど、周囲を見渡すと、むしろ後発になるということなのです。
そして、こういう形式的としては後発になるのですから、後発ならそれなりに練り込んで来いよって話になるわけですね。
しかし本作は、イベント発生がランダムであったり、ストーリーの前後の整合性に難があったりして、システム的に問題があったわけでして。
斬新な試みだったのなら多少は許せます。
しかし、本作は後発なだけに、もう少し何とかならなかったのかなと思っちゃうのです。

ストーリーとしては、主人公にはアイドルの彼女がいまして、そこから浮気だの三角関係とかに発展するわけで、巷では痛い系の作品という認識なのでしょうか。
まぁ、これは普通に面白かったのかなと。
一人のヒロインをメインとして注目するあたりは、何とも98年の作品っぽいですね。
当時の先端ともいえるわけで、ここはさすがにリーフの面目躍如といったところでしょうか。
ただ、痛いと言われるわりには大したこともなく、もう少し深く切り込んでくれれば良かったようにも思いますけどね。
決して悪くないけど長所とまでは言い切れない感じで、普通に楽しめるけど可もなく不可もなくってところでしょうか。

<評価>

総合的には、これが普通のノベルゲームであったならば、良作と言えたように思います。
しかしシステムが足を引っ張ったので、その分の影響で佳作ってところでしょうか。

変えようとした姿勢は好きなのだけれど、変わった姿がイマイチだったということで、応援したかっただけに何だか複雑な気分の作品でもありましたね。

ランク:C(佳作)


WHITE ALBUM 初回版

Last Updated on 2024-05-11 by katan

コメント

  1. SECRET: 0
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    最近win98でプレイしたんですが、やっぱりシステムが酷いですよね。
    数字を扱わないのでSLGパートに殆ど意味がなくて、その上セーブ&リセットのマイクロマネジメントを要求されるので頭がおかしくなりそうでした。
    エロゲーメーカーの提供する"ゲーム"パートが崩れてるのは良くある事だけど、せめて難易度を抑えて欲しかったです。
    アートワークに他に代えがたい魅力があるとは思うのですが。

  2. SECRET: 0
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    >メイスンさん
    そうなんですよね。
    リーフは、PC98時代にRPGも作ったことのあるブランドなのに、なんでこれでGOサインが出てしまったのか、理解に苦しみます。
    魅力的な部分もある作品だっただけに、余計にも、もったいなかったですね。

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