バレンタイン・キッス ~バースデイズ2~

1996

『バレンタイン・キッス ~バースデイズ2~』は、1996年にPC98用として、シルキーズから発売されました。

近年では珍しい恋愛双六ゲーム、『バースデイズ』の続編になります。

<概要>

ゲームジャンルはTBLというか、双六ゲームですね。
恋愛を扱ったSLGが恋愛SLGならば、本作は恋愛双六となるのでしょうか。

基本システムは前作同様なのですが、前作が誕生日までだったのに対して、今作ではタイトルにあるようにバレンタインデーが最終日となります。

<総論>

育成SLGのシステムに恋愛ストーリーを絡め、恋愛+(育成)SLG=恋愛SLGとして成功したことは、多くの人の記憶に残っていることかと思います。

一本が成功すると似たような恋愛SLGが増えるものですが、何も恋愛ものとSLGを必ず組み合わせなければならない理由はありません。
恋愛+RPGの恋愛RPGが96年頃に出てきたように、他ジャンルと恋愛モノを組み合わせようという試みは何度もあります。
そして、そうした試みの一つが、ボードゲームと恋愛を絡めた初代『バースデイ』だったのでしょう。

本作はそのシリーズ2作目であり、さいころを振って、マス目代わりにカレンダーを進めて、プレゼントを購入したり、女の子とデートしたりする作品になります。

シルキーズは93年末の『河原崎家の一族』以降、特に94年には後世にまで名の残る、非常に良質な作品を立て続けに発売します。
しかしながら翌95年は、作品数こそ多いものの、ハズレ作品もありましたし、楽しめる作品にしても、94年の作品に比べると地味で小粒な作品ばかりでした。
そうしてシルキーズへの大きな期待が薄らぎ始めた96年に発売されたのが、本作と『ビ・ヨンド』だったんですよね。

<感想>

さて、前作のキャラはとても可愛いって感じだったのですが、今作は可愛いのはもちろんありつつも、前作と比べると綺麗になったなという印象です。
この辺は好みの問題でもあるのですが、綺麗と可愛いを兼ね備えたキャラデザということで、個人的には本作の方が好きですかね。
目パチとかもありましたし、グラフィックは良かったと思います。

ただ、キャラでもなく背景でもなく、それでも広い意味ではグラフィックの範疇に入るのかもしれませんが、前作はUIが斬新で印象的だったんですよね。
しかし本作は、基本的には前作を踏襲しているものの、UIが前作より地味にマイナーチェンジされまして。
前作の持つ魅力とかオシャレさとかが失われたようで、その点は少しものたりなかったです。

また、前作はヒロインの数も多かったのですが、本作では4人に減っています。
その代わり、ヒロインごとのストーリー性が増し、攻略においてもフラグをたてるとか、双六よりもADV的観点が強くなりました。
したがって、前作がADV要素のあるTBLだとするならば、本作はADVとしての比重が高まることにより、TBL+ADVとも言えるような内容になったのです。

ここも、ジャンル自体に変化が生じているとも言えることから、必ずしもどっちが良いと断言できるわけでもなく、好みの問題と言わざるをえないですかね。
攻略で力技ができなくなり、戦略性が増し、ヒロインのストーリー性も増しているわけですから、当然本作の方が良いという人もいるでしょう。

でも、シナリオを読みたければ別のゲームをやるし、TBLというランダム性のあるジャンルでは、ストーリーをじっくり楽しむことと相性が良いとは思えません。
たくさんのキャラと気軽に接することのできる前作の方が、個人的には相対的に独自性を感じられたように思います。

<評価>

『バースデイ』が初代同級生ならば、本作が同級生2という位置付けになるのでしょうね。

上記のように私は、前作の方が独自性を感じられたので、前作の方が良かったと思っています。
もっとも、どこに重点を置くかで評価はかわりうる作品だと思いますし、本作のような作品は他にはないだけに、貴重な作品だと思いますね。

ランク:C(佳作)


バレンタイン・キッス

Last Updated on 2024-11-22 by katan

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