『海と雪のシアンブルー』は2021年にWIN用として、CUBEから発売されました。
学校生活における卒業前の時期にスポットを当てた作品になります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・僕たちの ふつうの話――この物語では、誰も死なない、大きな事件が起きたりしない。
ただ、祝福されるべき出会いと別れがあるだけ。
『卒業』
受験や卒業を間近に控え、様々な「別離」を控えた男子学生を主人公に据え、彼の心情や、周りを彩るヒロインたちとの関係を詳細に描き出すことで、家族愛、友情、恋愛など、何気ない日常の愛しさを伝える物語です。
ユーザーにとっても、大人達から護られていた存在から一歩羽ばたく直前の、期待と寂しさが綯い交ぜになったようなあの頃を回顧させながら、あの時経験した思い出や経験できなかった思い出を、主人公と共有していきます。
スタッフはCUBE作品でお馴染みの兼清みわ・双葉亮一コンビを筆頭に揃え、高水準のストーリーやHシーンを備えた作品となります。
<感想>
本作は、学園恋愛ものという、広い括りでは定番ジャンルなのですが、細かくみると、卒業前の数か月間だけを扱っている作品であり、その独特の雰囲気が漂う時期に着目した作品になります。
もう30年近く前になりますが、まだ恋愛ゲーというジャンルすら浸透していなかった時代に、卒業直前の独特の雰囲気と悲恋を描ききった作品がありました。
その作品に強烈な衝撃を受けた私としては、それ以来、こういう特定の時期に絞った作品は好きだったりします。
さて、実際にプレイしてみた印象ですが、これは多くのプレイヤーが似た様な印象を受けるのではないでしょうか。
この時期特有の雰囲気はそれなりに出ているけれど、それ以上でもそれ以下でもなく、ストーリーらしきストーリーがないと。
だから、卒業間近の雰囲気という点だけを求めた人であれば、それなりに楽しめるのだけれど、そうでない場合には、もの足りなさの方が目立ってしまう作品なのだと思います。
プレイし終わってから思うのは、卒業前に絞っているから、だから普通の話しかないというような説明は、これはある種の逃げでしかないわけで、もう少しやりようはあったんじゃないかなと思うわけでして。
その辺は、どうしてももの足りなさにつながってしまいます。
では、私が本作を楽しめなかったかとなると、そうでもなかったりします。
上記のとおり、最低限の雰囲気は出ていると思いますし、キャラやテキストは私にあっていたものですから。
ちなみに、お気に入りのキャラは菜畑いなばです。
<評価>
総合では佳作としておきます。
テキストやキャラを楽しめましたので、私自身は楽しめました。
もっとも、本作には盛り上がるストーリーとかありませんので、テキストやキャラが合わなかった人だと、まるで楽しめないだろうなと思います。
そういう意味では、わりと好き嫌いが分かれるタイプかもしれませんね。
しかも極端な高得点が出にくいにもかかわらず、極端な低得点は出やすいということで、平均点とかは低くなりがちなタイプではないでしょうか。
そのため、悪い作品であるかのように誤解されやすいように思いますが、テキストさえ合えば、テンプレな恋愛ものよりは、よっぽど楽しめるように思いますので、少し毛色の異なる作品がやってみたいというのであれば、検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
Last Updated on 2024-04-24 by katan