『美しき獲物たちの学園』は1998年にWIN用として、Minkから発売されました。
SとMなお嬢様たちを描いた、ザッピングアドベンチャーになります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
特徴として挙げられるのは、ザッピングできる点になるでしょうか。
あらすじ・・・聖レイセーヌ学園。
そこは高貴な歴史に彩られた、上流階級の子息・子女たちが集う名門中の名門である。
そんな誰もが羨む理想の学園で、平凡な家庭に育った純真な美少女‘明日菜’と大富豪の令嬢にして学園の最高実力者‘由利香’が出会う。
二人の出会いは学園に黒い欲望の渦を生み、やがて周りの人々をも巻き込んで凄惨な狂気の世界を広げていく…。
なお、2008年にリメイク版だかが出ているようですが、そちらのタイトルは『美学 YURIKA&ASUNA』になっています。
<ゲームデザイン>
上記のように、基本はノベル系ADVになります。
そこにザッピング要素が加わるわけですね。
そもそもザッピングを特徴に挙げたADVは、90年代後半からゼロ年代前半にかけて、結構発売されたようにも思います。
ただ、後の時代になるほど、誤った用い方が増えているようでして。
複数視点のマルチサイトの作品というだけで、ザッピングADVなんて言い出す作品も結構ありましたからね。
ザッピングはそもそもゲーム用語として生まれたわけではないし、視点が複数あることが肝なのではなく、(視点等を)切り替えることができることこそがザッピングの肝であるはずなんですけどね。
だから任意に視点を切り替えることのできないゲームは、ザッピングものとは言えないのですよ。
そんな勘違いのゲームが後に増えていく中にあって、本作は98年とまだ比較的早い時期だったからか、ある意味とても忠実なザッピングゲーでした。
本作には主人公が二人いるのですが、この二人の片方の視点で物語を進行しつつ、いつでもユーザーの好きなタイミングで他方にザッピングできたのです。
上記のように2人の視点がありますので、本作はマルチサイトと言えますし、片方の行為がもう片方にも及ぶということで、マルチフラグメントの要素もあります。
これらは密接に絡むことも多く、だからこそ混同されがちなのですが、本作も全部混ざり合った作品と言えるのでしょう。
その中で、じゃあ一体何が中心になるのかというと、他のゲームの多くが制限されたザッピングでしかないのに対し、本作は完全に自由にザッピングできるわけですから、ザッピングこそが中心と言えるでしょう。
同系統の他ゲームとの違いはこの点にあると言えますので、やっぱりザッピングゲーと言うのが相応しいのでしょうね。
中途半端なザッピングゲーが多い中で、完全にやり遂げたということもあり、本作に対しては相対的には好印象です。
ただ、自由にザッピングできるものの、あまりに自由すぎて、時にシナリオが飛んでしまうこともあり、まだまだ改善の余地はあったということでしょうね。
<感想>
舞台は上流階級の子供らが集う学園であり、主人公の一人は大富豪の令嬢にして学園の最高実力者「由利香」で、もう一人は平凡な家庭に育った「明日菜」になります。
構造はシンプルであり、由利香がSで明日菜がMになります。
SでもMでも楽しめる内容であり、大雑把にはレズないし陵辱ものに入るってところでしょうか。
ただ舞台の特殊性であるとか、グラフィックの影響もあり、耽美なちょっと他のゲームとは異なった雰囲気に仕上がっています。
<評価>
ストーリーが特別優れているわけではないし、システム面も改善の余地は大いに残っているので、必ずしも絶賛できる作品ではないのでしょう。
しかしド派手で周りから明らかに浮きまくっているパッケージに始まり(パッケージが3種あり、特に由利香パッケージが目立ったw)、耽美にSとMを描いた雰囲気に自由なザッピングと、オンリーワン的な作品だったことも間違いなく、総合でも良作とします。
ランク:B-(良作)
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Last Updated on 2024-12-29 by katan