『月ノ光 太陽ノ影』は2006年にWIN用として、アロマリエから発売されました。
同ブランドのデビュー作であり、ようやく真の意味でアダルトゲームらしい乙女ゲーが出たと思った作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・主人公は咲永学園に通う学生。
親同士の約束で決められていた許嫁がいる。幼い頃の写真しか知らないその人は、学園で主人公が一目惚れをした先輩その人だった。
そんな運命的な出会いを経て付き合うようになったものの、先輩は一年間のイギリス留学へ行ってしまう。
深い関係にありながら、かえって許嫁と言う誓約が壁となり、先輩の心が理解出来なくなった主人公。
やがてイギリスの先輩からの連絡も途絶え、いよいよ主人公の心は揺らぎ始める。
先輩は本当に私の事が好きなのだろうか、このままでいいのだろうか…。
周囲には、自分に真っ直ぐな想いを寄せる幼なじみ、大人の魅力で頼りがいのある先生、危険な香りのするバイト先の先輩が……
堪えられないほどの寂しさを隠しきれないあなた。
一途な愛を貫くか、他の愛に溺れるか。
<感想>
本作は女性向けの、いわゆる18禁乙女ゲームになります。
「ホンの少し黒い香りのする、甘いだけではない18禁乙女ゲーム」、というキャッチコピーだけあり、ようやくアダルトゲームらしい乙女ゲームが出てきたって感じでしたね。
同時に品質的にも、男性向けやBLゲーなどの、他分野に追いついたと思わせる作品でもありました。
18禁の女性向けの作品と言っても、例えばBLゲーなんかは、ゼロ年代前半には既に男性向けエロゲを超える作品が登場していました。
しかし乙女ゲーとなると、そもそも18禁乙女ゲー自体、元祖が2003年と遅いこともあって、一段劣って見えていたんですよね。
内容的には甘い恋愛もので、最後にちょこっと軽めのHシーンがあって、システムも遅れているって類の作品ばかりというイメージでした。
まぁ、中には部分的には良いものがあったとしても、それでもやっぱりどこかしら欠けている作品ばかりという印象で。
だからBLより乙女ゲーの方が好きな私も、ゼロ年代前半まではBLゲーの方が記憶に残っているのです。
18禁乙女ゲーに対し、そうした偏見がなくなったのはいつかとなると、おそらく2006年頃の作品からであり、その象徴が本作なのだと思います。
ストーリーは、基本的には恋愛ものなんですけどね。
シナリオライターが、この分野で今では凄く有名な丸木文華さんなので、最後まで一気に楽しく読めます。
そして恋愛ものであるものの、決して甘いだけの内容ではなく、上記のように少し黒いのです。
これがまぁ何というか、男性プレイヤーと女性プレイヤーでは、また違った部分で衝撃を受けるのかなと。
本作は現実的な、女性の厭らしい部分をもしっかり描ききった作品なので、男性向けエロゲの女性キャラ、すなわち脳内お花畑で男性に都合の良い存在として作られた女性ですね、そんなキャラばかりを見てきた男性プレイヤーだと、本作の女性にちょっと衝撃を受けると思います。
逆に女性プレイヤーですと、中には、こんなん普通じゃんっ、私と変わらないよって思う方もいると思います。
(その場合、男性向けエロゲをプレイすると、何この女性キャラありえないと、そのファンタジーっぷりに驚かれるでしょうがw)
女性プレイヤーの場合には、主人公の心情・行動とかにはさほど驚かないのだろうけれど、今度はHシーンとかで驚かされるのかなと。
道具を使ったり、薬を使っての強姦まがいの行為とか、3Pであるとか、今の過激化した乙女ゲーでは珍しくもないかもだけど、当時はこんなハードな内容の乙女ゲーはなかったと思うので、それだけに衝撃的だったと。
しかもタイトルにあるように、主人公や各キャラに二面性があり、男性キャラが主人公を激しく攻めるルートもあれば、女性である主人公の方が上位に立って男性の方が受けみたいになったりと、その点でも多彩なんですよね。
甘い恋愛ゲーしかプレイしてこなかった清い淑女には、これはちょっと過激だったでしょう。
余談ですが、男性ゲーマーの場合、そもそもHシーンで野郎の姿が映るのを嫌う人も多いです。
でもマゾ向けゲーでは、虐められる野郎の姿が映ってナンボですから、マゾ向けゲームを好んでプレイする人の中に、野郎の姿を描かれることに抵抗のある人はいないはずなんですよね。
だから男性向けのマゾ向けゲーを楽しめる人は、私は絶対に乙女ゲーとも相性が良いと思うのですよ。
特に本作のように、女性である主人公が上位に立って、男性キャラを攻める展開のある作品なんかだと、絶対に楽しめると思うんですよね。
<評価>
というわけで、ようやく内容的にアダルトっぽさを感じられる作品が、18禁乙女ゲーにも出てきたと。
それでいて本作は、グラフィックも良かったですし、システム周りも不足していなかったわけでして。
もちろん肝心のシナリオも十分な質を有していましたし。
したがって、何かしら劣って見えることの多かった乙女ゲームの中にあって、本作は欠点のない総合力の高い作品だったのです。
ただ、少しボリュームが少なすぎた感は否めないでしょうか。
まぁ無駄に長いよりは良いのですが、価格を考えるとちょっと物足りなさを感じてしまいます。
総合では良作としておきますが、ボリュームがもう少しあれば、名作扱いだったでしょうね。
そのため、限りなく名作に近い良作だと思ってください。
私の場合は尖った部分を重視する傾向があるので、同年の別の作品を名作扱いしています。
でも総合力は本作の方が上だと思いますので、総合力・完成度を重視する人に対しては、この時期の乙女ゲーとしては迷うことなく本作をすすめますね。
Last Updated on 2026-02-22 by katan


