『終のステラ』は2022年にWIN用として、Keyから発売されました。
田中ロミオ氏がシナリオを手がけた、ロープライスの一般向けノベルゲーになります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・地球が、すでに人類の世界ではなくなってから久しい。
世界はシンギュラリティを起こした機械群に支配され、人々はその片隅で、息を潜めて生き長らえていた。
運び屋‘‘ジュード’’の元に、依頼が舞い込む。
それはシンギュラリティ機械群の影響を受けない、 少女型アンドロイド‘‘フィリア’’を輸送して欲しいというものだった。
世間知らずなフィリアの行動に嫌気がさしながらも、ジュードは旅を始める。
時には略奪を繰り返す人間から逃げ、時には機械群が闊歩する危険地帯を通り抜け、輸送依頼を果たそうとする。
少女は何度も人間になりたいと口にする。
遥か空の先に辿り着けば、アンドロイドは人間になれると言うのだが……?
<感想>
本作は、いわゆるビジュアルノベルタイプの作品になります。
つまり、画面下部にテキスト欄があるのではなく、画面上にテキストが表示されるタイプの作品ですね。
ビジュアルノベルの場合、画面全体になんの工夫もなくテキストが表示され、かつ立ち絵の動き重視だったりすると、作品としては最悪になってしまします。
まぁ、初期のビジュアルノベルは、そういうのが結構多かったんですけどね。
本作の場合、一枚絵を重視した構造になっていますし、テキストの表示も、無意味に全体に表示するのではなく、グラフィックを意識した構造になっていますので、情報量を多くできるというビジュアルノベルの利点を活かしつつ、ビジュアルノベルの問題点を解消できているといえるでしょう。
一枚絵の出来も良いので、グラフィックに関しては及第点以上だと思います。
世界設定やストーリーについては、わりとありがちですね。
それでも、例えば、フルプライス作品としてボリュームがあり、十分な肉付けがなされていれば、独自の世界観に至っていたかもしれません。
しかし、本作は、ロープライスの作品であり、ボリュームについても価格相当分くらいしかありません。
そのため、ダイジェスト的な最低限の要素しかなく、本作ならではという域には達していないのでしょう。
また、選択肢や分岐等もなく、1本道の作品ですので、ゲームとしてのプラスアルファもありません。
したがって、本作は、1冊で完結するタイプのラノベを読んでいるような、そんな印象となってしまいます。
あとはライターの文章が好きか否かで、楽しめるかどうかが分かれてくるのではないでしょうか。
<評価>
グラフィックは綺麗ですし、キャラも悪くないので、普通には楽しめる作品だと思います。
とはいえ、あえて本作をプレイする価値があるかとなると、どうしても疑問を抱いてしまいます。
結局のところ、ライターのファンなら楽しめるけれど、そうでなければ楽しめない作品かもしれませんね。
Keyでこの題材となると、二番煎じのような印象になってしまいがちで、個人的にはマイナスな印象にしかならないですし、あえてプレイする必要もなかったかなという点を重視すると、正直なところ、凡作もありえるかなと思います。
ただ、本作のラスト、結構好きなんですよね。
その分だけ加点して、総合でも佳作とします。
決して悪い作品ではないのですが、ゲームとして、この題材を扱うのであれば、そしてKeyの作品として出すのであれば、
もう少しプラスアルファが欲しかったように思いますね。
Last Updated on 2024-04-20 by katan