『対ノ日 -in the latter half of the 90’s-』は、2005年にWIN用として、inspireから発売されました。
現在は、『フォークロア』とセットで、「PHASE2」としても発売されています。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
夏に気付いたあの日。僕の初めてのひと。
大学の為に上京した篤は、古いアパートの隣部屋に住む美雪を知る。
年上の、そして普通の女性。異性に幼い篤の、時折夢に見ていた女。
自分の想いに戸惑い悩む篤。その気持ちを、静かに感じ取っていく美雪。
夏の予感と共に、二人はいつしか身体を重ねていた。
けれどもそれが、お互いの想いの重なりを意味する迄には、あと少しの、なにかが欠けていた。
<感想>
inspireの作品は、ゼロ年代以降のテンプレな恋愛ゲーとは、一線を画しています。
ライターの文体に惹かれ、ファンになる人がいるのも、分かるように思います。
まぁ、80年代や90年代半ばまでの作品を知っている人だと、あまり魅力を感じないかもしれませんけどね。
ゼロ年代以降にエロゲデビューした人で、恋愛というジャンルは好きなんだけれど、エロゲ的恋愛ものには疑問があるような人ほど、このブランドの作品が刺さりやすいようにも思います。
そして本作は、隣に住む年上の女性に恋する大学生を描くという、とてもシンプルな構造です。
それだけに、余計なものが削ぎ落され、純粋にライターのテキストを堪能する作りになっており、ライターのファンであればあるほど、満足できるように思います。
問題は、ファンでない場合です。
本作は、とても短いです。
設定自体はごくありふれたものであり、そこからどのように展開し掘り下げていくかで、独自性が生まれ、面白さが増していくのでしょう。
実際、序盤は雰囲気良く進むことから、これは期待できるかもと思ったものでした。
しかし、二人の物語はまだまだこれからあるはずなのに、あっさりとすぐに終わってしまいます。
他のエロゲでいえば、「起」が終わったくらいのところで、本作は終わってしまいます。
さすがにこれは短いなと。
まぁそれでも、他の部分に魅力があれば、それはそれで満足できたと思います。
確かに、主人公の心情に合わせて部分的に強調するなど、演出も考えているのだろうとは思います。
ただ、なんていうのかな・・・
フィギュアスケートでいうならば、指先の表現には細心の注意を払っていて、確かにその部分は玄人を唸らせる凄さもあるのだけれど、その凄い演技をリンクの中央だけでずっとやっていて、スケーターとしては根本が間違っているみたいな、なんかそんな感じでして。
本作も演出に気を配っているし、部分的にセンスの良さも感じるけれど、ゲームとしてはちょっとずれているなと思うわけです。
なお、その辺の不満というか、こうした方が良いのにというのは、後の『フォークロア』では改善されています。
というわけで、他の要素のプラスアルファが乏しいことから、どうしても評価の対象がテキストだけになってしまいます。
そのテキストは、確かに並のエロゲよりは良いのですが、こういう構造だと比較対象に小説等も含まれてしまい、そうなると普通の範疇におさまってしまうのです。
<評価>
総合ではギリギリ佳作としておきます。
ストーリー、グラフィック、その他等、テキスト以外の全てが平凡な作品でした。
つまりテキストだけを楽しむ作品であり、ライターの文章が読みたいという人のための作品といえます。
私自身は、ゲーム全体で評価するタイプですので、本作に対する満足度は低かったです。
主観的に判断すれば凡作なのですが、こういう人には向いているなというのがありますので、1ランクアップで良いのかなと。
そういうわけで、同ブランドの他の作品をプレイして、この人のテキストが好きだなとか、また読みたいなと思った場合には、プレイしてみて良いように思います。
まぁ、上記のとおり、今は「PHASE2」に2作同梱されており、価格も1作辺りだとラノベより安くなりますので、割とお得だと思います。
また、単品の方が高いので、気を付けてください。
というわけで、ある意味一点特化なので好き嫌い分かれますが、最近じっくりテキストを味わえる作品やってないなという人は、検討してみる価値は十分あると思いますね。
Last Updated on 2026-02-15 by katan




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