『闘神都市2』は1994年にPC98用として、アリスソフトから発売されました。
『鬼畜王ランス』と双璧をなすアリスソフトの代表作であり、PC98を代表するRPGでした。
<概要>
西の横綱と呼ばれたアリスソフトのPC98時代の最高傑作は、迷うことなく『闘神都市2』と断言して良いかと思います。
当時、そのストーリーにはただただ圧倒されました。
ゲームをクリアした時には、もうコンシューマーのRPGには戻れないなって思うくらいに。
ストーリー概略は以下の通り。
シードと葉月は、葉月の父親が営む瑞原道場の門下生にして、相思相愛の幼なじみ。
葉月は強者ぞろいの瑞原道場でも、高弟として他の門下生に稽古をつけるほどの腕前であったが、シードは生来の気の弱さが災いしているのか、はたまた才能がないのか、いくら稽古に励んでも芽の出る気配すらない。
葉月の父は娘の気持ちを慮りつつも道場主という立場から、跡継ぎとなるべき娘婿としてはシードを認められずにいた。
そんなある日、師範はシードに「次の闘神大会に出場し、見事優勝すればお前を葉月の婿として認めよう。
それが叶わなければ、葉月はビルナスと娶らせ、二人に道場を継がせる」と最後通告を突きつける。
<ストーリー>
闘神大会はパートナーを連れて参加し、試合に勝てば相手のパートナーを自由にできます(ここら辺が、アダルトゲームっぽいですねw)。
闘神大会を勝ち進むことを目的とする点では、1作目と共通します。
しかし、前作の『闘神都市』は比較的明るい雰囲気であり、勝ってご褒美のHモードに突入~って軽いノリも含んだ作品でした。
一方の『闘神都市2』ではそうではなく、「パートナー=愛する女性」を命を懸けて守り通すって構造になっています。
当然ながらシード君は、自分の目的を譲ることはできません。
しかし、対戦相手にも、何かしらのやむにやまれぬ事情があるわけでして。
故に両者の想いがぶつかり合うイベントは、必然的に重いものばかりとなってしまいます。
途中のサブイベントにしてもそうです。
ゲーム中、二者択一の行動を迫られる場面が幾つかありますが、自分が楽に勝ち進むためには悪人に徹したほうが楽なんですよ。
でもね、そうすると悲劇にあう人が出てくるわけでして・・・
本作をプレイをしていて常に付きまとっていたのは、罪悪感でした。
その胃が痛むような罪悪感にさいなまれながらも、譲れない想いを胸に抱え、シードは勝ちあがっていきます。
度重なる死闘の果てに、ついにシード君は優勝。
そして葉月ちゃんと結ばれます。
しかし、この後からが本番なんですよね、実は・・・
このゲームは、ここからが圧巻なんですよ。
優勝はしたものの、シードは主催者に監禁されてしまいます。
ネタバレ回避で上手くかけませんが、シードはそれからも闘い続けます。
今度は悪人の立場として・・・
その展開もまた、非常に重い。
とにかく、イベントがシリアスで重いんですね。
終始やむを得ないと思いつつも、罪悪感がつきまとう。
単なる勧善懲悪ではなく、キャラそれぞれの思惑が錯綜し、どの考えも納得できるからこそ、余計にも行動がつらくなるのです。
この悪い流れを断ち切りエンディングへと収束させてくれるのは、やはりというか葉月ちゃんでした。
<キャラ>
この『闘神都市2』の魅力は、重くシリアスなストーリーだけでなく、葉月ちゃんというキャラの可愛さにもあるでしょう。
瑞原道場の道場主の娘で、かなりの剣豪。
それでいて相思相愛のシードの事だけを想い続ける。
何があってもシードだけを一途に見続けるその健気さに、心を奪われたファンも多いのではないでしょうか。
これ以上の幼馴染キャラはいないのではとすら思いますよ。
しかもボクっ子で(これでボクっ子属性に目覚めましたw)、可愛いだけじゃなく無茶苦茶強い。
シードは優勝後、表向きは行方不明になります。
でも諦めきれない彼女は、シードの後を追うべく、なんと翌年の闘神大会に戦士として出場。
そして優勝してしまいますからね。
単に可愛いだけでなく、強い。
それは肉体面だけでなく、精神的にも。
存在自体が強いんです。
プレイヤーにとって彼女の一途な想いは、重いストーリーの連続の中にあるオアシスみたいなものでした。
98時代最強のヒロインと言って過言ではないとすら思いますね。
キャラ繋がりでもう一つ。
これだけ完璧な葉月。
しかし、本作には、彼女と人気を二分するキャラが出てきます。
やった人なら当然わかるでしょうけど、クライアのことです。
直接体験するのが一番なんで、詳しくは書きません。
でも、あのイベントは衝撃的でした。
きっと、涙した人も多いでしょう。
(それと同時に、新たな属性に目覚めた変態紳士さんたちも多いでしょうw)
いずれにしろ、ストーリーと共に葉月とクライアの存在は、何年経っても私の中で色褪せることはないのです。
<感想>
かように、ストーリー及びキャラは最高だったのですが、若干補足しておきます。
本作は2とありますが、闘神大会等の設定だけが同じで、1との物語的な関連性はありません。
そのため、前作をプレイせずに、本作だけのプレイでも全く問題はないでしょう。
それと絶賛したストーリーですが、一つだけ注意点があります。
それは基本的な流れが1作目の『闘神都市』と同じということです。
もちろん、テーマや雰囲気は全然違いますけどね。
とはいえ、序盤の流れが似てるという点で、インパクトは若干弱まるかもしれません。
まぁ、全然違ってたら違ってたで、今度は続編を名乗る意味ねぇ~ってなりかねないですから、これは難癖に近いかもしれませんけどね。
グラフィック及びサウンドも充実していました。
当時の最高レベルにあるのは間違いないでしょうね。
パッケージの絵も凄く好きでしたね。
<ゲームデザイン>
ゲームシステムは、ダンジョンに潜るタイプのダンジョンRPGです。
プレイヤーが扱うのはシード一人なので、戦闘自体は極めてシンプルです。
でも、ロード時間が長くてストレスのたまるRPGよりは、ずっと良いでしょう。
誰だって雑魚相手に時間をかけたくないですよね。
『闘神都市2』は雑魚相手なら、わずか数秒で終わります。
何とも快適でしたよ。
RPGにもいろいろな方向性がありえるわけで、必ずしも全てのRPGが重厚なシステムであるべきとは思いません。
個人的にはストーリー重視のRPGの戦闘は、これでOKな気がします。
あまり戦闘に時間をかけすぎてしまうと、ストーリーをしっかりと堪能できなくなってしまいますから。
ストーリー重視なら歯応えよりも、ストーリーを阻害しないような快適さの方が大事だと思うのです。
本作はその点で、十分機能していたと言えるでしょう。
また戦闘・育成部分はシンプルでしたけれど、ダンジョンの探索部分や、やりこみの要素は非常に良く出来てました。
ボリューム面でも文句なしです。
したがって、ゲーム部分を総合的に見れば、RPGファンでも十分に満足できる出来に仕上がっていたと思います。
<評価>
総合でも文句なしに名作といえるでしょう。
当時このゲームは、私にとって、アリスの最高傑作なだけでなく、全RPGの中でもNO1のゲームでした。
これほどのゲームに出会えたことに感謝しつつ、できれば多くの人に知ってもらいたいと思った一本でした。
ランク:S-(傑作)
Last Updated on 2024-11-19 by katan
コメント
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葉月の魅力にメロメロになった一人です。
雑誌の写真に一目惚れして購入し
オープニングの時点で完全にやられました。
今でも私の中では最高のヒロインです。
ゲームとしても非常に良くできていて
美少女ゲームにのめり込ませた名作ですね。
私もこの作品に出会えて良かったです。
当然3にも期待してますよ♪
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>>わふわふさん
葉月は本当に最高でした。
ああいう幼馴染が欲しかったですw
ゲームの出来は素晴らしかったですよね。
RPGのストーリーでは、今でも1,2を争うほどだと思ってます。
3の発売日が待ち遠しいですね。
葉月とシードの関係が微笑ましい純愛ものストーリーでした。
波乱すぎる展開が二人には待っていましたが。
負かせた相手のパートナーを一晩好きにできるという
なかなかハードな設定と第二部のストーリー展開があるので
純粋な純愛ものとしては楽しめませんが今の世代の方も楽しめる重厚な内容になっているので遊べる機会が有る方は是非遊んで頂きたい作品ですね。
今年の年末で発売から30年!が経ちますが
今現在登場する人物を思い返すとセレーナやビルナス目線……もはや葉月の親目線でこのゲームのストーリーを見てしまい冒頭の感想の思いになります。
余談になりますが、コメントで触れられているシリーズ続編の3はOPが流れるところまでは2を超える勢いが有ったのですが
勿体ない作品になってしまいました。戦闘システムも2とは違うものを探求したもののむしろ2と比べて雑魚戦のサクサク感や戦闘の緊張感の減少等マイナス面が目立ってしまいましたね。
>灰の風来人さん
今年でもう30年になるんですね。
時が経つのは本当に早いです。
今プレイすると、確かに親目線みたいになってしまうかもですね~
闘神3は、OPが流れるところは本当に良かったと思います。
ただ、前作やライターの過去作が凄すぎたため、皆さん期待値が高くなりすぎて、辛口になってしまうんですよね。