『タンテイセブン』は2017年にWIN用として、Digital Cuteから発売されました。
期待していたのですが、事前の不安要素の方が勝ってしまいましたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・僕らが、すべてを暴いてみせる。
――おれの名前はヒババンゴ。われながらひでえ名前だ。
この名前のせいで、ガキのころからイジラレ系一直線な人生だった。――そんな蛮悟には仲間がいる。幼なじみ「かすみ」。親友「零士」。
その妹「まりや」。みな浅草の「言問学園」に通う●校生。
そんな彼らが結成した部活が「超妍」。
超常現象を研究するサークルだ。
ちなみに「妍」はかすみの誤字。
このおバカな彼女がサークルの牽引役だ。
部員の頭数を確保し正式な部活動に昇格すべく、「超妍」こと「超常現象研究会」は超常現象の探求に突き進む。
自分たちの城=部室をゲットするために立ち上げたサークル「超常現象研究会」略して「超妍」。
しかし状況は甘くない。
部員数が揃わなければ公認が得られず、部室はライバルに奪われてしまうのだ。
部活動を積み重ね懸命に勢いを盛り上げる主人公と幼なじみ。
そして集まってくる個性的な仲間たち。
そんな彼ら超妍の行くところには不可思議な事件が発生する。
<感想>
話題になったので、今更書くまでもないでしょうが、本作は発売当初からバグまみれの報告がありました。
私は、バグがあっても最終的に遊べるようになれば、評価にはあまり影響させない方です。
ネットの普及した今なら、最初はクリアできなくても、数日もすればネットでパッチが用意されますしね。
昔なんて、クリアできねぇ~って思ったら1か月後に修正ディスクができたとか、そんなのもありましたからね~
元々PCゲーなんて、その辺に寛容な人でないと、やってられない分野なんですよね。
しかしまぁ、一般的にはバグには厳しい人も多いし、特にゲーム機感覚で誰でもPCを買えるようになってからは、特にそういう人が増えてたので、そういう人には核地雷級の作品だったと言えるのでしょう。
昔のエロゲブランドでいうと、例えばシーズウェアなんかが思い浮かびますが、バグで信頼を失って、潰れたブランドもありました。
エロゲというと、グラフィックやストーリーやキャラばかり注目されますが、何だかんだでやっぱり「ゲーム」なわけですから、一番大事なのはプログラムなんですよね。
プログラムが駄目なブランドは、バグにより信頼を失い、最悪の場合にはブランド解散にまで追い込まれます。
そしてプログラマーが優秀であれば、単なる読むだけのノベルではなく、そこに必要に応じたゲーム性を加えることもできるでしょうし、ノベルであっても効果的な演出を加えることによって、物語をより効果的に見せることができます。
初期のエルフだって、蛭田さんのアイデアを現実化できたのは、後にタムタムの代表となる金尾さんという優秀な方がいたからですし、優れたプログラマーを用意できるかが大事なんだよなと、なんかそういうことを改めて痛感した作品でした。
さて、私は本作に期待していたのですが、それはまぁ、当然といえば当然といえるわけでして。
本作のシナリオ担当である嘘屋佐々木酒人さんは、これまでにも何本も名作を作っています。
だから古くからのユーザーであれば多くの人が知っているだろうし、というか、古くからのユーザーで知らない人はいないでしょう。
また、Digital Cuteも独自の演出を用いて新作に期待が持て、現にブランド前作の『ちんくる★ツインクル フェスティバル!』も、とても面白かったです。
加えて、今回は探偵ものでしたから、これは期待をせざるをえないのでしょう。
ただ、内心では、日に日に不安の方が強くなっていったわけでして。
というのも、本作に対する世間での注目が結構高くなっていったのは、正直予想外だったのです。
嘘屋さんは、目立って活躍したのは昔のことになりますし、今でも優れた作品を作ることもあるのですが、方向性としてはマイナージャンルで活躍している人ですので、最近のユーザーだと嘘屋さんを知らなくても不思議ではないのです。
またDigital Cuteも、知っている人は知っているでしょうが、決して大手ブランドではないですからね。
だから、なんでこんなに前人気あるの?と不思議に思いましたし、それが私の不安につながっていたのです。
「不安」・・・これはどういうことかといいますと、上記のとおり嘘屋さんは、90年代半ばのPC98の時代から今日まで、幾つもの名作を作っています。
しかし、その割には、現在の知名度は決して高いとはいえず、現在では知る人ぞ知るという印象でもあります。
その理由はいくつか挙げられるのでしょうが、今回に絡んだ話だけをしますと、嘘屋さんの作品は、ニッチなマイナージャンルで事前の注目が低く、プレイする人が少なそうな作品においては、非常に良い作品を作りあげてくることもあるのですが、逆に売れ筋の原画で一般受けしそうなジャンルの作品など、事前の注目度が高い作品では、作品内に何かしらの地雷要素が含まれ、盛大に爆死する傾向が強いのです。
見てわかるとおり、その原因の全てが嘘屋さんにあるというわけではないのですが、結果論として、過去の作品をみるとそういう傾向であったということですね。
だから有名どころしかプレイしていないユーザーには、ハズレライターにしか思われていないのではないでしょうか。
嘘屋さんというのは、例えるならば、スラム街でのストリートファイトなら無敵なんだけれど、TV中継される制限の厳しい公式戦に出すと全然力を出せない格闘家みたいな、そんなイメージなのです。
今作は探偵もので、一般受けするジャンルです。
そのため、注目度が上がれば上がるほど、私は不安になっていきましたし、そして案の定、悪い意味で予想が的中してしまいました。
なお、本作はバグで進まないこともそうですが、それを除いたとしても、演出がくどくて使いどころが練られていないとか、ストーリーも詰め切れていないとか、全体的に作品として完成していないのです。
これでは、評価のしようがないでしょう。
<評価>
見てのとおり、全部が全部、嘘屋さんの責任ではないのですけどね。
問題のほとんどはプログラム部分にあったわけですし。
ただ、結果としては、注目度の高い作品で外すという傾向は、今回も当てはまってしまいました。
マニアックな誰も注目しないような作品では、本当に良い仕事もするんですけどね、
注目されていた作品だと何でこうなっちゃうのかなぁ・・・
何とも残念でした。
ランク:E-(駄作)
Last Updated on 2024-08-15 by katan
コメント
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嘘屋さんに対する「スラム街でのストリートファイトなら無敵だけど~」って例えが上手くて笑ってしまいましたw
注目されている作品の場合、発売前は何だか良さそうな感じなのに、いざ発売するとコケるという、嘘屋作品における謎の法則が出来上がってますねw
今年は「桜花裁き」もあり、推理ADVの流れに乗ってくれると期待しただけに、残念な結果でした。
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> 今年は「桜花裁き」もあり、推理ADVの流れに乗ってくれると期待しただけに、残念な結果でした。
推理ADV復活の兆しがあっただけに、期待した人も多かったんでしょうね。
私自身も、その一人ではありますが。
それだけに何とも残念でしたね。