あした出逢った少女

2003

『あした出逢った少女』は2003年にWIN用として、MOONSTONEから発売されました。

絵とタイトルだと分かりにくいけれど、ストーリー性の強いミステリーものになります。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・夏
近くにカルデラ湖を控え、自然に囲まれた田舎の村――「高千穂」村。
その高千穂村において、主人公は、ぼんやりと空を見上げていた自分に気付く。
――――記憶喪失
過去に関する記憶が失われてしまっていた。
奇妙な事に、昼間だというのに、空が、夕暮れと日の出を合わせたような、おかしな色に見えた。
従姉だという女性に連れられ、主人公は、「橘高」家にて居候する事になる。
その家には、美しい4人の姉妹が居た。ひとときの、穏やかな日常。
――やがて、悲しい事件が幕を開けた

<感想>

序盤は田舎ものとして進みつつ、途中で殺人事件が発生してからは、サスペンスものとして進んでいくことになります。

特徴的なのは、過去と現在が交互に描かれ、過去と現在が交錯しながら次第に真相へとたどり着くという構造なのでしょう。

この試み自体は面白いと思うし、この手のジャンルがかなり減っただけにね、純粋にストーリーで楽しませるミステリーがあるってだけでも、十分有りがたいものです。

ただ、今よりも当時の方が、もっと私は厳しかったわけでして。
まず、過去と現在を交互に描くのは良いのですが、似たような展開で何度も場面が変わっていきますので、無駄に分かりにくくなっています。
そういや、『水夏』のときにも視点変更について不満が残ったんだよな・・・
『水夏』は複数ライターだったので、もしかしたらもう一人のライターの方かもしれないのだけれど、いずれにしろ本作にも分かりにくさは残ったわけで、もう少し工夫はできたんじゃないかなと思ってしまいます。
テキストの文体とかは個人的に合うのだけれど、基本的にライターとしての技量が伴っていなかったのでしょうね。

それと、途中までは面白かったと言えるし、広げた風呂敷を強引にでもたたもうという姿勢はうかがえるものの、オチが強引なために最後で盛り下がってしまいます。
結末を大事にする人とは相性の悪い作品でもあるでしょう。

<グラフィック>

今は萌え絵ばっかになってからも長いので、当時ほど気にならなくなっているのですが、当時は萌え絵とストーリーがマッチしていないのが、やたらと気になったものでした。
本作も全然合っていないですからね。

単純に雰囲気に合っていないというのもありますが、例えば猟奇的な殺人があったとしても、萌え絵でキャラに萌えさせるのと両立させようとする意思が伝われば、萌え絵でも構わないのでしょう。
しかし本作はストーリーのためのキャラであり、もちろん完全なストーリー重視ならそれで構わないのですが、アダルトゲームでこの絵を使って、それでこのキャラ軽視ともとれる展開かと思うと、余計にもミスマッチな感じが強くなってしまいます。

<評価>

個々の要素・場面などを抜き出してみると良い感じだし、ちょっと匙加減を変えたり、もう少し練り込めば、驚くほど面白く変化したかもしれません。
化ける可能性はあったと思いますし。
だからストーリー重視のサスペンスものを探しているのであれば、一応おすすめできるとも思います。

ただ、当時の私には絵やストーリーなどの全体のバランスがとにかくチグハグで、どういう方向に持っていきたかったのかが伝わってこない、中途半端な作品に見えてしまったんですよね。
そのため、総合でも凡作とします。

雰囲気の良いゲームというのは、当初は、雰囲気は良いのにストーリーはいまいちという場合に使われることが多かったです。
もっとも、肯定的に解釈するのならば、設定や絵や音がマッチしていたということでもあるのでしょう。
設定に合わせた絵がきちんと用いられていた時代ならば、それは当たり前の話だったのかもしれません。
雰囲気ゲーという言葉が広まり出した時期は正確には覚えていませんが、本作のような設定と絵がマッチしていない作品が増えたからこそ、逆にマッチしている作品が、雰囲気の良さとして相対的に目立つようになったのだと、そんな風にも思えてくるのです。

ランク:D(凡作)


あした出逢った少女

Last Updated on 2025-08-20 by katan

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