アルテミス

1991

『ARTEMIS(アルテミス)』は1991年にPC98用として、バーディーソフトから発売されました。

本作のような、ヒロインたちの間に挟まれ、どちらかを選ばなければならない主人公という構図の作品は、そういえばいつから増えだしたのでしょうね。

<概要>

ゲームジャンルは、コマンド選択式ADVになります。

あらすじ・・・
舞台となるのは、中世ファンタジー世界。
主人公のイングは、戦友と旅をしている最中に、蛇女に襲われます。
そこで主人公は戦友を見捨てて逃げてしまい、罪悪感に苛まれます。
そのイングを癒してくれたのがルーナという少女だったのですが、ルーナの村では女の子が行方不明になる事件が多発しており、あるとき、ルーナも行方不明になってしまいます。
そこでイングはルーナを救うべく、村人が近寄らない洞窟へと向かうことになります。

<グラフィック>

バーディーソフトは、90年前後に非常に勢いのあったブランドであり、根強いファンも多いです。
特徴としては、当時最高峰のグラフィックが挙げられ、本作においてもグラフィックは非常に高水準でした。

演出という観点からは、目パチ口パクがあり、場面によってはカットインも用いられていました。
他にも、話すキャラに応じてテキストの色も変更されていました。

ただ、キャラデザ自体は好みだったものの、本作に関して言うならば、原画は若干安定性を欠いていたところもあったように思います。

全体としては高水準ではあったものの、同様のことはバーディーソフトの同時期の他作品でも言えますので、本作ならではの要素とまでは言えず、名作を基礎付ける明確な特徴とは言えないのでしょう。

<ゲームデザイン>

ゲームジャンルは、上記の通りコマンド選択式ADVになります。
基本的に汎用コマンドタイプではあるものの、コマンドの数自体は少なめであり、なおかつ場面に応じて増減するタイプでした。

そのようなタイプのコマンド選択式の場合、つまり後期コマンド選択式に多いタイプの場合ですと、全てのコマンドを試さなければならない、いわゆる総当たり式の作品も多く見られます。
しかしながら本作は、どちらかというと前期コマンド選択式の流れも濃く、総当たりしなくとも考えて必要なコマンドさえ試せば、それで先に進むこともできました。

以上のような、ちょっとオーソドックスなタイプとは異なる、少し変則的な組み合わせであったことから、結果的には比較的サクサク進みやすい構造だったと言えるでしょう。
このような構造は、コマンド選択式が好きな人には好まれないでしょうが、逆にコマンド選択式が苦手だったり、あまり良い印象を抱いていないような人の方が、ストレスなく楽しめるように思います。

<感想>

本作の場合、不満があるとすれば、それはストーリーの弱さにあるのだと思います。
破綻しているとか、そういうわけではないのですが、ファンタジーRPGの一つのエピソードを切り出しただけともいえ、また深みにも欠けることから、面白いというほどでもなかったですから。

ただ、今ふと思ったのは、本作のような作品って、いつから増えたんだろうなってことなんです。
CSの有名どころだと、翌1992年にドラクエ5が発売され、ビアンカかフローラかで悩んだユーザーも多かったでしょう。
本作でイングは、ヒロインのルーナを助けに洞窟に潜っていくのですが、その洞窟の中でエリュティアというエルフの女性と出会います。
その後、無事にルーナを助け出すのですが、ルーナは普通の村人でしかありません。
他方で、エリュティアは世界の命運を託されており、主人公はエリュティアを助けるために一緒に旅に出ようとしますが、そうなると一般人のルーナを連れていくことはできません。
まぁ、本作には分岐はないので、結末は一つしかないのですが、ストーリーとしては、ルーナとエリュティアの間で揺れ動く主人公の姿が描かれているわけです。

同じ年のダブルヒロインの有名どころとしては、『ナイキ』の存在が挙げられるでしょう。
また、一人のヒロインを選んだ場合に、他のヒロインはどうなるのかという問題提起をした作品としては、『トワイライトゾーン3』(1989年)が挙げられます。
別に統計をとったり詳しく調べたわけでもないので、単なる私の思いつきでしかないのだけれど、なんかこの時期、つまり90年前後には、二人のヒロインに挟まれる主人公という構図が目立つように思いまして。
その辺は、何か増えるキッカケのようなものはあったんですかね。
今まであまり意識してこなかったのだけれど、調べると少し面白いのかなと思ったりも。

なお、本作に関しては、私個人はストーリーが面白いとは思わなかったものの、それはあくまでも個人の感想でして。
本作の構造を客観的に把握するならば、明らかにストーリー重視の構造とはいえるのでしょう。

また、主人公の姿がハッキリ描かれていることで、80年代的ADVのようなプレイヤーの分身たる主人公ではなく、より読み物に近い構図だったのも特徴といえるのでしょう。
そう考えると、構造的には、当時のADVよりも、今のノベルゲーの方に近い作品であり、当時としては、少し異質な作品だったといえるのかもしれませんね。

<評価>

バーディソフトは、この年、他にも良い作品を発売しており、本作の優先度は低めになってしまいます。
そうした観点から、当初は佳作相当かと考えました。

しかし、グラフィック等に観るべきところはありますし、今になって考えるキッカケも与えられた作品でもあり、見所のある作品だったと言えるのかもしれません。
その点を再評価し、総合ではギリギリ良作と判断します。

ランク:B-(良作)


アルテミス

Last Updated on 2024-08-21 by katan

コメント

タイトルとURLをコピーしました