『タクティクスオウガ』は1995年にSFC用として、クエストから発売されました。
ゲーム自体はかなり好きだけど、信者は大嫌いな作品でしたw
<感想>
90年代前半の国民機であったSFC。
そのSFCの非アクション系の最高傑作は何かと聞かれたら、私は『FF5』と答えるでしょう。
ただ、『FF5』はSFCの中期の作品です。
今やって一番面白いSFCの作品は何かと聞かれたら、やっぱり後期の名作になりますよね。
そして、その問いには『タクティクスオウガ』と答えるでしょう。
いまだに熱狂的なファンも多く、SFCの代表作であると同時にS・RPGの代表作でもありますからね。
SFCを持っていたら、これは絶対に外せない一本でしょう。
本作が高い支持を受けたのには、当然幾つかの理由があります。
1つ目はストーリーです。
民族紛争をも織り交ぜた重厚で長大なストーリーは、それまでのSFC作品では見られないものでした。
明るい話が好きな人にはどうかなって気もしますが、個人的には好みのど真ん中に近いストーリーで、凄く楽しめましたね。
2つ目はシステムです。
本作はSRPGなのですが、途中の選択次第でストーリーが分岐しました。
その自分の選択次第で展開が変わるシステムや、高低差をいかしたバトル等、これまでのSRPGにはなかった様々な新要素が導入されていました。
3つ目はグラフィックです。
SFC時代までのグラフィックといえばドット絵ですが、本作のグラフィックもまたとても緻密に描かれており、非常に高い評価を得ていましたね。
他にもやりこみ要素も満載でボリュームも十分でした。
何であれ最高傑作と噂される作品の多くは幾つもの長所を持っていますが、本作もまたほぼ全ての項目で他のSFCのゲームを圧倒しているんですよね。
私の友人でも本作を絶賛している人がいましたが、それも十分納得できる素晴らしい作品でした。
以上のように、ほぼ全ての項目で他作品を上回っているので、文句なしに名作と呼べる作品ではあるでしょう。
ただ、あまりに絶賛されすぎてるのでね、私が感じた違和感について書いていきたいかと思います。
まずはストーリー。
確かに、SFCレベルでは他を圧倒する存在感でした。
しかし、当時はPCで優れたゲームが多かったですからね、PCではもっと重くて衝撃的なストーリーの作品もありましたし。
そのため、私は絶賛するにしても「SFCにしては」とか、「家庭用ゲーム機」としてはと限定を付けざるを得ないんですよね。
それと、ストーリーや世界観自体は私の好みのど真ん中です。
ただ、主観的に私が好きなのと、客観的に優れているのとはまた違います。
ファンタジーの肝はいかに独特な世界観を構築できるかですが、本作の世界観は典型的な商業ファンタジーの亜流の域を出ていないでしょう。
この当時は商業ファンタジーを好む人は多かった(私もその1人)ですが、意外と本当のファンタジー作品を読む人とかは少なかったです。
そういう生粋のファンタジー好きの観点からは、本作はそれ程評価できる内容でもないんですよね。
こういう書き方をしたら、以前に怒りだしたおっさんがいたので、少し書き方を変えた方が良いのかもしれませんけどね。
でも。書き方を変えたところで結局は同じで、既存のファンタジー世界を元に俺ならこう書くって感じで、同人っぽさが見え隠れしています。
確かに私の好みのど真ん中ではあったのだけれど、言い換えれば想定の範囲内でもあるわけでして。
こんな世界観があったのかというような衝撃はなく、その点で一段劣ってしまうのでしょう。
本来なら好きな作品に文句をつけるのは気持ちの良いことではないけれど、ハイファンタジーに詳しい人とかからそういう意見があって、そこに私みたいなのが、でもそれでも好きなんだよって、反論するケースになるはずなのですけどね。
ネット上では妙に絶賛する声が多いので、あべこべになってしまいました。
いや、当時はそれなりに指摘もあったかな?
私より年配の層からは厳しい指摘もあったけど、近年は引退しちゃって批判意見が目立ちにくくなっただけかもしれませんね。
次に、システムです。
これまた確かにいろいろ導入されてはいます。
ただ、他の作品とは別格と言えるほどに特別とまでは思えないわけでして。
そこで、この違和感はどこから生ずるのかと、少し考えました。
答えは単純で、これまた機種に依存する話です。
よく考えれば、意外とSFCってSLGやSRPGの良い作品ってないんですよね。
だからこそ、TOは余計にも別格に見えてくるんです。
でも、これまた当時のPC98には、たくさんのSLGやSRPGがありました。
だから私には、それ程特殊には見えなかったんでしょう。
もっとも、本当に画期的だったら話は別ですが、他作品同様に、結局はマイナーチェンジの域を出ていない気がしてね。
加えて、トレーニングとかも面倒くさかったですし。
確かに、本編内で上手く調整すればトレーニングは不要ですが、そもそもその調整が面倒くさくって。
まぁ、ここは個人の好みも大きいですけど、でもそれでもこのゲームバランスが最高ってことはありえないでしょう。
他にも弓が強すぎたりと、むしろゲームバランス面ではかなり課題が残っていると思います。
私は結構大雑把なのでこれでも楽しめましたし、ゲームバランスも数ある要素の中の1つでしかないので、あまり点に影響しませんけどね。
しかし、ゲームバランスに強くこだわるSLGの玄人も多数いるでしょうし、そういう人には、このゲームは支持されないでしょうね。
根本的に、SLGの中でもライトユーザー向けなのでしょう。
それと、本作が絶賛される最大の要因ともなっている分岐要素。
これも、結局は大きく3つしかないわけでして。
しかも1つはチグハグなので、実質的には2つだったりします。
当時PC98では、マルチストーリーマルチエンディングのADVが盛んでした。
それと比べると、どうしても中途半端な感じが否めませんでしたね。
例えば、戦闘要素のあるADVってのもありますが、ADVに戦闘要素があるよってだけで絶賛する人は少ないでしょう。
ゲームに戦闘を求めるのなら、RPGやSLGの方が優れているのが多いからです。
同様に、この要素に関してはADVの方が優秀でしたからね、単に2つのルートがあるからってだけで最高とまで言う気にはなれないのです。
また、グラフィックに関して、ドット絵もSFCとしては最高レベルでしょう。
ただ、やっぱりドット絵はPCの画面の方が映えるんですよね。
ファルコムとかの作品の方が私はよく出来ていたと思うので、これまた限定付きでの褒め方になってしまいます。
それと、ぶっちゃけこの年にグラフィック云々を言うならば、次世代機で遊んでた方が良かったですしね。
さらに、高低差を立体的に見せているのですが、私にはあれがやたらと見辛かったです。
ゲーム内での高低差の「効果」という点だけならば、何も実際に立体的に見せる必要はなかったでしょう。
これまでだって地形の特殊効果のあるゲームはありましたしね。
そのため、どうしても見た目重視の結果としか思えないわけで、そこにはFF7のCGのマップが綺麗だけど見辛いって言われるのと同様の批判が当てはまるかと思いますね。
そういうわけですので、本作は好きだし素晴らしい名作だとは思いますが、ほとんどの項目で「SFCの中では」と限定した上での長所なわけです。
それ故、私は本作を最高の作品とまでは思えません。
野球で例えると国内(SFC内)では3冠を狙えるのだけれど、メジャー(全機種内)では良い位置にはいるものの何もタイトルが取れない。
本作は、何かそんなイメージなんですよね。
作品にもいろいろあって、他人の意見を見ることで、そうか、このゲームにはこんな魅力もあったのかと気付かされることも多いです。
そんな場合は自分の見る目のなさを反省すると共に、再評価してランクを上げる場合もあります。
でも、当然ながら逆の場合もあるわけでして。
本作は主観的には好きだったので、当初は甘めに傑作と考えていました。
しかし信者の発言を見るたびに、あれっ?それは違うよなと疑念を抱くことが増え、再評価のたびに点数が下がっていきます。
その違いは、結局は「SFCの中では」という部分につきるのでしょう。
まぁ、今回は少々辛くなりましたが、それも非常に高いレベルでの話です。
点数で本作を超えるSFC作品はFF5しかありません。
名作には間違いないので、多くの人にプレイしてもらいたいですね。
ただ、最後に1点だけ。
オリジナルのSFC版やSS版は良いですが、PS版だけはやめて欲しいかなと。
行動のたびにロードが入ってイライラしますからね、
とてもじゃないけどファン以外は遊べたものじゃないと思うんですよね。
ランク:A(名作)
Last Updated on 2024-10-28 by katan
コメント
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このゲームは名作として有名ですが不思議なことにSLG好きの私が
面白さを理解できなかったゲームです
かなり初期で放棄しましたがw
もう一度挑戦すべきと思ってるんですが
ちなみに伝説のオウガバトルもダメでした
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>>京さん
京さんは確かCIVとかが好きなんでしたよね。
私の印象では、生粋のSLG好きでTOを絶賛する人はまず見かけないですね。
あまりSLGの経験がないとか、SFCオンリーで遊んできたような人に絶賛する人が多い気がします。
基本的に松野作品はアイデアは凄く良いのですが、狭義のゲーム性(バランスとか遊びやすさとか)はイマイチだったりします。
あまりSLGをやってない人や、やっていても狭義のゲーム性よりもゲームデザインを重視する人(私もそうかな)は大丈夫なんですけどね。
生粋のSLG好きの人は狭義のゲーム性を徹底的に重視する人が多いですか
ら、松野作品がそれ程良いと思えないのではないでしょうか。
CIVやフロンティアユニバースのような、緻密に計算しつくされたゲームを好む人には、TOは大味すぎると思うんですよね。
他には、トレーニングみたいな育成要素が中途半端に加わった点も、SLG好きの観点からはだれる感じがして逆にマイナスだったかなと思います。
SLG好きにはTOより初代FE路線の方が性に合うでしょう。
これが逆にFFTになるとかなりRPGに近いノリになるし、アビリティを覚えるという細かな目標が出来てだれないかと思いますけど。
まぁ、おそらくゲーム部分だけで最高と言う人はそんなにいないでしょう。
オウガバトルよりTOの方が人気が高い点からも、ストーリーの評価があったからこその人気だと思います。
この点は…京さんなら分かるかと思いますが、94~95年はPCゲームでストーリーの優れたのが一杯ありましたからね。
なので個人的には、限定付きの褒め方になっちゃうんですよね。
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実は私はゲームは98年頃は凄いやりまくってたんですが
やりすぎて飽きてしまい、それ以後のゲームはあまり知りませんし
それ以前も有名所しか知りませんw
だからゲームを知ってるようで知らない部分もあります
ちょうどセガ・サターンを買ってギャルゲーブームが起きた頃ですねw
フロンティアユニバースは始めて知りました
管理人さんからゲーム性は低いとか否定的な見解が出るとは思いませんでした。
TOはファミ通でずっと人気投票で高い投票を得ていたので気になる作品でしたね
何でそんな人気が高いんだろうかとw
僕が好きなSLGは以前書いたかもしれませんが
CIV(歴史が好きで2ちゃんで知りました)
ギレンの野望(ガンダムに詳しくないと面白くないけど、めちゃくちゃはまりました)、
信長の野望天翔記(敵が強くて他のシリーズより良かった)
大航海時代(探索できて楽しい)
太閤立志伝(ゲームの自由度が高い、チマチマやる部分はムカツク)、
戦国史(外交面が好きでした)
あたりですかね、ほかに知らないゲームも多々あると思います
有名所でダメだったのは
スーパーロボット大戦(ザコ敵すら油断してるとやられる。非常に長く精神的に疲れる、爽快感が無い)
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>>京さん
好みを見ていると、戦略系SLGが好きで戦術系SLGが合わないって感じなんですかね。
SLGって簡単に一括りにされることが多いけど、戦略系・戦術系・ミニスケープ(箱庭系)・育成系・経営系と、一杯種類がありますからね。
SLGが好きっていってる人でも、全部が好きって人は稀だと思います。
私は『キャピタリズム2』とかの経営SLGも好きですが、戦略系や戦術系が好きでコアなSLGファンでも、経営物はチマチマしてて嫌って人も多いです。
なので、SLGって詳しくジャンルと好みを吟味しないと、自分で遊ぶにしろ他人に勧めるにしろ難しいものがありますね。
CIV系ならば、直系派生版の『アルファケンタウリ』(SMAC)なんかが、性に合いそうかなとは思いますけど。
TOに関してはそういう意見もあるってことですね。
私は何だかんだで好きだから名作だと思っていますが、やっぱり否定的な意見はそれなりに見てきました。
そして否定的なことをいう人ほど、玄人っぽいコアな人が多いんですよね。
本質的な部分で松野作品は玄人ウケする作品ではないのだと思います。
私は結構ミーハーだから楽しめたのだと思っていますし。
基本的に普段私は褒める方向で書いてますが、結局完璧な作品なんてないわけで、全ての作品についてどういう方向性でも書けるわけです。
TOが全く知られてなかったら褒めちぎって終わらせておくんですが、盲目的に褒める意見が多いのでちょっと天邪鬼っぽくなってしまいました。