『シンフォニック=レイン』は2004年にWIN用として、工画堂スタジオから発売されました。
制作はくろねこさんちーむで、『エンジェリック・コンサート』と『AS~エンジェリックセレナーデ』に続く工画堂スタジオ・ミュージックアドベンチャーシリーズの第三弾になります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
もっとも、そこにミニゲームとしてミュージックアクションパートが加わることが、このシリーズの特徴になります。
とはいうものの、前回までとは異なり、本作ではミュージックアクションパートをとばすことができます。
そのため、より純粋なノベルゲームっぽくなったわけであり、ミニゲームやアクション要素が苦手な人でも本作を楽しむことができるでしょう。
<感想>
まぁ、つまりは私のようなヘタレ向きになったわけですので、この変更は個人的には嬉しくても、作品全体としてはどうだったのでしょうか。
物語とゲーム部分をつなぐ架け橋がミュージックパートであり、それが他のノベルゲーとの違いでもあったわけで、その違いの部分が薄れると他のノベルゲーと変わりなくなってしまいます。
そう考えるとオリジナリティというか、シリーズの存在意義みたいなのは弱まったという見方もありえるでしょうね。
さて、過去作の特徴であったアクションパートが強制でなくなった分、本作ではストーリーが強調されています。
伏線の張られたストーリーや丁寧な描写が、本作の最大の特徴と言えるのでしょう。
このストーリーについては、当時の世間での評判は良かったです。
ただ、展開がとにかく地味なわけでして。
キャラも淡白だし、流れ的にも非常に淡々と進みます。
グラフィックでの変化も乏しいことと相まって、あの緩急も起伏もないだらだら続く日常パートは、私にはとにかく眠かったです。
あれでボリュームを半分以下に抑えてくれれば、少しは印象も違ったんでしょうけど・・・
無駄に長すぎでしたね。
こういう平坦な日常パートって、この時期のノベルゲーには多いので、当時の主流ユーザーには抵抗のない人も多かったのかもしれません。
まぁ、本作は、他のゲームに輪をかけて淡々としているので、少しでも平坦な日常パートに苦手意識がある人にはつらいかもしれませんね。
オチやラストはそれなりに纏めてはきているのでしょうが、途中で凄くだれただけにインパクトが薄れてしまいました。
それと、鬱って評判のわりには大したことがないような・・・
言葉は悪いかもしれませんが所詮は一般ゲーであり、一般ゲーの鬱レベルはこんなもんなのかなと。
アダルトゲームの本当に鬱なのに比べると、衝撃度は数段劣るように思えるのですよ。
とはいえ、それでも1つの作品としてきっちり纏めてきてあるのは確かですし、ストーリーというかオチはシリーズ過去作より上なわけで、最後さえ良ければOKな人には本作は向いているのでしょう。
また、サウンドの岡崎律子さんの遺作となった点でも意味があるかと思います。
<評価>
ストーリー重視派の人からは、過去作より高い評価を受けた本作。
他方で、テーマとゲームとの融合性とかは過去作の方が優れてましたし、作品全体では足りない面もかなり多かったように思いますので、総合では佳作ってところでしょうか。
工画堂スタジオには好きな作品も多いですし、今回のライターはマイメリーメイシリーズの人なので凄く期待したのですが、期待のわりには、個人的にはとても残念な結果に終わってしまった感じでした。
MMMBのようなストーリーでパワードールみたいなゲーム性があれば、文句なしだったんですけどね・・・
普通はそんな高望みはしないのですが、工画堂スタジオなら実現できたかもしれないと思うと、ちょっともったいなく思ってしまうのです。
個人的には上記のような印象の作品ですが、当時、ストーリー重視のユーザーから高い評価を得ていたのも事実です。
刺さる人には刺さる作品だと思いますので、合いそうな人はプレイしてみる価値のある作品だと思いますね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-07-05 by katan
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