『肢体を洗う』は2002年にWIN用として、シルキーズから発売されました。
死体洗いを題材にした珍しい作品であり、なんともシルキーズらしい作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
商品紹介・・・
ホルマリンの香りがあなたをエロスの世界へと誘惑する。
貧乏浪人生である八坂は、医者になりたいという一心から、ある大学付属病院の事務局でバイトをしながら浪人生活を送っていた。
しかし突然、女副院長・露崎千草からバイトの解雇を言い渡されてしまう。
突然の出来事に打ちひしがれる主人公。
そんな彼に彼女は病院に残るための唯一の手段を提示してくる。
彼女が代わりに用意してくれた仕事とは……
俗に「死体洗い」と言われる仕事だった。
あなたは、作者が実体験を元に著述するこの作品をプレイすることによって、狂愕の世界を知ることになるだろう。
――日常、垣間見ることができない「死体洗い」という仕事を通じ「日常から非日常に放り込まれた主人公の精神的な変遷」
――それが『肢体を洗う』だ。
<感想>
大学の付属病院でバイトをしていた主人公が与えられた仕事は、なんと死体洗い。
こんなゲームは今までなかったですね。
何でもライターの実体験を元にしているそうで、噂でしか聞いたことのない世界をゲームとは言え体験できるってのは、それだけでも素晴らしいことです。
実験的な作品の多いシルキーズらしい作品と言えるでしょう。
さて、この作品の場合、良くも悪くも特徴と言えるのがグラフィックになると思います。
題材が題材だけに、それなりにインパクトのあるCGもありますので、耐性のない人には少しきついかもしれません。
エロとグロとはまた方向性が異なりますので、エロだけを求める人にも、使えないCGが多いという印象になりかねないでしょう。
他方、猟奇やグロ専門でそういうのが好きでたまらない人だと楽しめる可能性は高まります。
もっとも、本作の場合、フィクションとしての猟奇やグロというより、題材に即したCGということになりますので、派手さを求める人には刺さらないかもしれません。
そういうわけで、一部の人には凄く刺さるグラフィックかと思いますが、結構人を選ぶように思います。
とはいえ、グラフィックに関しては、基本的には及第点以上であり、上記の話というのは、それ以上のプラスがあると言えるかの議論ということになります。
本作の場合、問題があるとすれば、それはストーリーの方なのでしょう。
本作は、内容的にはホラーや狂気を扱った作品になります。
このストーリーがいまいちパッとしなかったわけで、良くも悪くも普通でしかなかったのです。
それと後半から薬物要素が強まってきて、あまり死体洗いを活かしたものではなくなってしまいました。
せっかく死体洗いという他にないを題材にとりあげているのだから、もっとそれを活かしたストーリーにしてもらいたかったです。
<評価>
総合的には佳作としておきます。
珍しい題材で私好みですし、グラフィックも良かったのですが、それが活かしきれていないのでは価値も半減してしまいます。
あとは死体洗いの描写という個別の部分に、一体どれだけの価値を見出せるかでしょうね。
個人的にはストーリーとの密接な関連性を見出せない部分に、ネット上にある画像とのそれ程大きな違いまでは見出せなかったので、こういう判断になりました。
しかし、もちろんここに大きな価値を見出す人もいるでしょうし、そうなれば当然良作以上に感じられる人も出てくるでしょう。
それだけの珍しさを兼ね備えていた作品ではあったわけで、だからこそ逆に勿体無くも感じた作品でした。
Last Updated on 2024-07-05 by katan
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