MY MERRY MAY (マイ・メリー・メイ)

2002

『MY MERRY MAY (マイ・メリー・メイ)』は、2002年にDC用としてKIDから発売されました。

シリーズ2作品の中の1作目になります。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
全寮制高校「津久見高校」に通う「渡良瀬 恭介」は、退屈ながらも穏やかな学生生活を過ごしていた。
高校生になってから二度目のゴールデンウィークを迎えるも、特にする事もなく暇を持て余していた彼のもとに、アメリカにいる父親から大きな荷物が届く。
それは父と兄がアメリカで研究開発している、甲種人型人工生命体「レプリス」(の女性型)が収められたカプセルだった。
思わぬ贈り物に、恭介はこれから始まる彼女との楽しい生活を想像しつつ、カプセルに組み込まれた起動装置を作動させる。
だが起動処理の終了を目前にして起こった落雷によって、処理は中断。
程なくして装置は復旧し処理は終了したかに見えたが、目覚めた彼女は突然、赤子のごとく泣き出してしまう。
思いもよらぬ事態に戸惑いつつ、どうにか彼女を落ち着かせたものの、これからの事を思い、頭を抱える恭介…。
こうして、人間の子供のような振る舞いを見せる、人ならざる少女をめぐる慌ただしくも楽しい五月が始まったのだった。

<感想>

私がこれまでにプレイしてきたノベルゲームの中で、2001年以降に最も高い点をつけた作品が、『マイ・メリー・メイビー(MMMb)』(2003年)になります。
そして、そのMMMbの前作にあたる作品が、今回紹介する『マイ・メリー・メイ(MMM)』なのです。

MMMとMMMbは直接的な繋がりがありますので、MMMをやらないとMMMbの内容が理解できません。
したがって、MMMbを楽しむために、まず先にMMMをクリアする必要があります。
MMMの一番の特徴は、まずはそこになるのでしょう。

本作は、ジャンルは恋愛物っぽいですが、テーマとしてはSFになります。
作中に出てくるレプリスという人工生命体の存在意義について、本作及び続編で語られるわけでして。
設定には少しあらもありますので、生粋のSF好きや、またリアリティ重視派には少しあわないかもしれません。
ただ、SF設定を基にした泣きゲーとでも言いましょうか。
シリーズの持つ魅力が少々のあらをはるかに上回っていました。
実際、私がkey作品以外でプレイして泣いたのは、続編のMMMbだけですしね。
MMMbの感想っぽくなってますが、両者は切り離せないのでご容赦下さい。

本作に限って言うならば、端的に言えば鬱ゲーでもあるのでしょう。
鬱ゲーないし泣きゲーは、ゼロ年代前半の流行りでもあったジャンルです。
鬱ゲーと言っても、必ずしも1つではなく、様々なタイプが存在します。
どんどん不幸な出来事が降りかかってくるタイプの作品は、作っている方も作りやすいのか、数も多いのですが、そういう類はご都合主義の不幸版にすぎず、私は評価に値するとは思いません。

だから私は、この当時流行った鬱ゲーに辛口な傾向があるのですが、本作は違いました。
本作の場合、キッカケは主人公とヒロインの本当に些細なすれ違いです。
そこからボタンを掛け違えていくように少しずつズレが生じていき、鬱な方向に進んでいっています。
突発的な不幸とは違うから、お涙頂戴的に加えられた不幸や鬱と違って必然性があります。
なるほど、こういう類の鬱ゲーなら十分にありだな~って、そんな風に再認識した作品でもありましたね。

<サウンド>

それと、特徴という意味では、もう一つ大きな特徴があります。
それは声優というか、特に松岡由貴さんの存在ですね。

声優さんの頑張っている作品というのは、フルボイスが当たり前な今では、それだけでも大きな武器になりうるのでしょう。
だから声優にこだわるプレイヤーがいることも理解はできるのですが、私自身は、個々の声優には、それほどこだわらない方でして。
だから最近の声優さんの名前も、それほど詳しくなかったりします。

その私が、久しぶりに覚えた名前でしたからね。
それだけ、印象が強烈だったということです。
アニメ的には、ハルヒの鶴屋さんといえば分かる人も多いかと思いますが、この方の演技は本当に上手いですね。
本作でも2役をこなしてますが、彼女の存在がなければ、本作の魅力は半減したでしょう。
その見事な演技のおかげで、終始だれずに楽しめた気がします。

<グラフィック等>

それに加えて、グラフィック部分も良かったです。
目パチ口パク、立ち絵の細かな動き、声優さんの活躍。
グラフィックやサウンドでのプレイヤーに対する訴えかけが、このゲームはとても優れていました。
決して新しい技術ではないけれど、他がやらなくなるとこれはこれで新鮮に感じるものですしね。
このゲームをやった後に同時期のアダルトゲームに戻ると、何か物足りなく感じてしまいます。

操作面でのシステム周りも、とにかく丁寧に作られていましたね。

キャラも好みなキャラが多かったです。
たえさんや、みさおちゃんは、モロに刺さりました。
MMMは、近年では珍しいくらいに私に刺さったキャラが多かったです。
そのため、私個人としては大満足なんですけどね。
もしかしたら、裏を返せば90年代的萌えというか、新世紀型の萌えとは少しずれているのかもしれません。
ここら辺は個人の主観にかなり依存するので、ちょっと自信ないですけどね。
なお、一部凄く違和感のあるキャラもいましたが・・・まぁ、他の魅力の方が断然上まわっていたということでw

<評価>

総じて、どの要素も高水準なノベルゲームでした。
総合でも十分に名作といえるでしょう。

なお、現在はMMMとMMMbとがセットになって、『マイ・メリー・メイ・ウィズビー』の名前で売られています。
低価格なのに1本でMMM+MMMb+オマケ追加分が楽しめるのです。
凄くお得ですね。
MMMbは、現時点でノベルゲーの最高峰にある作品の一つですし、これは、ぜひともやってもらいたいですね。

ランク:A(名作)


PS2ソフトMy Merry May with be

Last Updated on 2025-03-23 by katan

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