新体操(仮)

2001

『新体操(仮)』は2001年にWIN用として、ぱんだはうすから発売されました。

『夜勤病棟』の原画で注目を浴びたZATOUさんが原画ということで、雑誌広告の段階から目立っていた作品ですね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
淫具(手具)用いて少女の美を競う淫らな体操――「闇の新体操」。
体育教師・戸黒肉助(35歳/主人公)は、そんな実現不可能で正気の沙汰ではないスポーツを、自分の勤める白河学園に広めようと、闇の新体操会と呼ばれる謎の組織から「秘密計画書」を入手した。
しかし、その計画書の存在を、理事長の孫娘・白川トモミに知られてしまった。
クビを覚悟していた肉助だったが、トモミから意外な答えが返ってきた。
それは新体操部に所属する羽丘みくを調教し、メチャクチャにしてくれたら、今回の件は見逃してくれる、というものだった。選択の余地はない。
肉助は、学園内で絶大な権力を持つトモミと手を組み、その類稀な精力を駆使して「闇の新体操」を現実のものとしようと奔走し始めるが……。

<感想>

いわゆる抜きゲーとか、陵辱ゲーとか、そういうエロ特化の作品があります。
しかし、可愛いヒロインとか原画とかって、大作とか恋愛ゲーとかに使われてしまい、陵辱ゲーの原画って、ちょっと可愛さが足りなかったり、妙に塗りが濃すぎたりして、ヒロインの魅力が欠けていた時代がありました。
そのため、大作恋愛ゲーのヒロインとして何ら遜色ないようなヒロインを陵辱する、それはエロゲユーザーの悲願でもありました。
読んでいてピンとこない人もいるかもしれませんが、かつてそういう時代もあったのです。

1999年に発売された『夜勤病棟』は、恋愛ゲーのヒロインとして十分通用しそうなヒロインで、内容は陵辱ゲーでした。
『夜勤病棟』が発売された時、私は、遂にこういう時代が来たのかと、とても興奮した記憶があります。
これは私個人だけの感想ではありません。
実際に、『夜勤病棟』は非常に売れました。
2000年の売上でも、上位に入っていましたしね。
それだけのインパクトがあったのです。
その後、陵辱ゲーのヒロインの質が向上していきましたので、当時を知らない人が、『夜勤病棟』をプレイしても、何が良いのか分からないでしょうが、そういう過去があるのです。
そして、その『夜勤病棟』の原画を務めていたのがZATOUさんで、ZATOUさんが『夜勤病棟』の次に原画を務めたのが本作になります。

『夜勤病棟』の時より、キャラが幼くなった印象であり、少し崩したようなデザインになっているので、一般受けという観点からは少し外れた印象を受けます。
他方、本作では塗りも特徴的であり、ZATOUさんの個性はより強調された感があり、とにかく目だったのは確かでした。
個人的には、こういう原画の個性を発揮したデザインは、それこそエロを重視しない大作系に用いた方が良いかなと思います。
確かに本作のグラフィックは、とても味があって、原画家の個性は存分に発揮されているのですが、これでエロく感じられるのかとなると、どうしても首を傾げざるをえません。

また、本作は、陵辱ゲーのはずなのですが、エロ重視という観点からは妙にノリも軽いし、エロが濃いというわけでもなく、少しものたりなさを感じてしまいます。
ではダメな作品かというと、そうでもないわけでして。
主人公が、とても味があって良いキャラなのです。
同時期で例えるならば、エルフの〇作シリーズみたいな感じです。
メインヒロインであるトモミは、とても気が強く反抗的です。
そんなトモミと主人公との掛け合いは、読んでいてとても面白かったのです。
エロとか関係なしに、ずっとこの2人の会話を見ていたい、そう思わせる作品でした。

そういう意味では、『夜勤病棟』繋がりでエロを求めた人だと、もの足りなく感じやすかったでしょうね。
他方で、『夜勤病棟』はミンクの作品であるのに対し、本作は、ぱんだはうすの作品です。
ぱんだはうすは、一般受けとは異なる、どこかずれた作品とか多いので、ぱんだはうすの新作と分かってプレイしたならば、楽しめる可能性は高くなるように思います。

<評価>

総合では佳作と言えるでしょうか。

レオタード目的とか、エロ目的とか、そういう部分だけに期待して本作をプレイすると、いろいろもの足りなさを感じてしまうでしょう。
他方で、あまり偏った思い込みをせずに始めてみると、あるいは、ぱんだはうすの作品なのだから、絶対予想の斜め上の作品に違いないくらいの感覚でプレイすると、主人公とトモミの会話が楽しく感じられるという、そんな作品なのだと思いますね。

ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2025-02-25 by katan

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