雪神一雫

2004

『雪神一雫』は2004年にWIN用として、雨傘日傘事務所から発売されました。
同サークルの初期の作品であり、粗削りながらも、後につながる片鱗を見せた作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・とある母娘との生活を綴ったノベルゲームです。
10年以上前に主人公の前から姿を消した女性が、ある日突然娘を連れて彼の前に現れました。
その母娘との生活の中で、主人公は彼女らの微妙な異変に気が付きます。
大らかで穏やかな物腰の母と、少し無口な娘。
彼女らに感じた異変が形になって現れた時、主人公に出来ることは…。

<感想>

雨傘日傘事務所は、最近はあまりゲームを作らなくなってしまいましたが、
『ヴィザルの日記』(2010)は屈指の名作なので、ぜひともプレイしてもらいたい作品です。
『黒曜鏡の魔獣』(2006)から~『ヴィザルの日記』あたりが、サークルとして最も勢いのあった時期となるでしょうか。
この時期の作品は、基本的にどれもアタリだと思って良いです。

これらの作品の特徴としては、優れたストーリーに、燃える展開、卓越したキャラ描写、それらを効果的にみせる演出の良さが挙げられます。
本作は2004年の作品であり、ハッキリ言ってグラフィックは貧相です。
演出とかもまだまだですし、後の作品のような燃える展開もありません。
したがって、後の作品に見られるそうした部分を期待するのであれば、本作はプレイする必要はないように思います。

他方で、キャラの描写とかは優れていますし、読んでいて良いなと思わせるテキストは、この頃から既に片鱗を見せています。
『ヴィザルの日記』をプレイして、じ~んときたような人、派手なバトルや演出がなくても、このサークルの作品は、何気ない描写が凄く好きなんだよなって人であれば、本作を楽しめる可能性は高まるのではないでしょうか。

なお、本作は、画面下部にテキストが表示される形式と、画面全体にテキストが表示される形式とが併用されています。
ゼロ年代前半までは時々見かけたように思いますが、そういえば、近年はあまり見かけなくなりましたね。
あまり上手くない原画に、こうした構造も相まって、余計にも本作はテキストを読むことが主であるという作品になっているのです。

<評価>

光る部分はありますし、刺さる人には刺さる作品だと思いますが、テキスト以外は弱いことから、総合では佳作とします。

このサークルの『黒曜鏡の魔獣』以降の作品は、ぜひともプレイしてもらいたいと思っています。
特に『ヴィザルの日記』ですね。
そのうえで、このサークルの原点みたいなものに興味を抱いたならば、
本作も検討してみて良いように思いますね。

ランク:C-(佳作)


DL版

Last Updated on 2024-04-18 by katan

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