SEXFRIEND ~セックスフレンド~

2003

『SEXFRIEND ~セックスフレンド~』は2003年にWIN用として、CODEPINKから発売されました。

キリヤマ太一さんの描くキャラが魅力的な、恋愛系でありつつも、エロの濃い作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
『あのさ……エッチしない?』
尽生学園の2年所属の高辺智宏(主人公)は、ひょんなコトから、軽口をたたき合う程度の仲だったクラスメートの早瀬美奈と放課後の教室で初体験してしまう。
『明日の放課後も、わたし、ヒマなんだなぁ』
と言う早瀬の意味深なコトバにふらふらと誘われて、次の日の放課後も教室で待ってしまう高辺。そして期待通り現れる早瀬。
1年以上接していたのに、全く知らなかった早瀬の姿に動揺し、かつ、初めて知った女のカラダに溺れてしまう高辺。
それからというもの、そのまま早瀬とずるずると関係を続けてしまう。
『こーゆー関係って、昔から言うじゃん。えっと、ほら………』
『セックスフレンドってさ』
自称美人保健教諭の妙子先生(他人から見ても美人)や、少々思いこみの激しい図書委員の野々宮華緒梨も巻き込んで、毎日エッチエッチの日々が始まる。
でも、肝心の早瀬が何を考えているのか、高辺にはサッパリ判らない。
悩める青年を導くように、白衣の女教師は優しく囁く。
『せっかちさんね。そんなコトは知りたければ知れるし、知る気がなければ知らないままのモノよ』
夏休みまでの約1ヶ月間で、高辺と早瀬の関係はどう変わっていくのだろうか、それとも何も変わらないのだろうか?

<感想>

ゲームには、こうあるべきというものはないはずなのですが、エロゲの場合、意外と傾向ってのは偏っているものでして。
ダーク系のアダルトゲームは陵辱物にしろ鬼畜物にしろ、Hシーンが濃かったりそれがストーリーと切り離せない物が多いです。
でも、恋愛中心のゲームって、Hシーンが薄かったり少なかったり、該当シーンを削ってすぐに家庭用ゲーム機に移植できちゃうようなのが非常に多かったりします。
もちろん、それでも面白いのも多いわけですが、だったら最初から一般向けでも良くね?って疑問も残ってしまいますよね。
Hシーンが濃くて、かつそれがストーリーの根幹と切り離せない恋愛物、そういうのが当然あって然るべきでしょうし、それこそがアダルトゲームっていうものでしょう。

本作は、タイトル通り主人公とヒロインがセックスフレンドという関係で、そこからの恋愛が描かれた作品であります。
作中では濃いHシーンが繰り返されますし、もちろんそれがストーリーと密接に関連しています。
これこそがアダルトゲームにおける恋愛物と言えるのでしょう。

もちろん、こういう作品が以前になかったわけではありません。
むしろ昔の方がそういうのは一杯あったでしょうね。
しかし、2000年以降ノベル全盛時代を迎え、2002年頃から属性重視やテーマ重視の傾向が強まってからは、Hシーンの存在価値の薄いゲームが非常に増えました。
その傾向はいまだに続いていますよね。
そうした状況下にあっての本作の登場なわけですからね、温故知新といいますか、これはこれで十分に存在意義があるように思うのです。

さて、そういうわけですので、意義や総論的な観点からは素晴らしい作品だと思いますし、私好みの設定でもあります。
ただ、問題は、各論的な実際の中身の方なんですよね。

テキストも決して悪くはないのですが、ストーリーがHメインで進行することも相まって、どうにも単調でして。
丁寧とは言えるのかもしれませんが、続きが気になるとか、ぐいぐい引き込まれるような類の魅力が少し欠けているように思えました。

もっとも、これが純粋なノベル系のADVであったならば、まだましだったのかもしれません。
本作は、基本的にはノベル系のADVなのですが、Hシーンで調教SLGっぽい構成をとっており、調教ADV的な側面をかなり強くしていました。
これがまた、あまりひねりがないものだから、何度も同じようなことを繰り返させられましたし、単調で飽き安いのです。

このストーリーに違うシステムとか、逆にこのシステムに違うストーリーだったら大丈夫だったのかもしれませんが、このストーリーとこのシステムの食い合わせが非常に拙かったのです。
片方だけなら耐えられても、相乗効果で、より一層だるく感じられてしまいましたから。
もちろん俺は平気だったよって人もいるかもしれませんが、いまいち楽しめなかったって人は、たぶんここが最大のネックになっているんじゃないかなって思います。

それにしても、本作のライターは丸谷秀人さんですよね。
ということは、『女郎蜘蛛』のライターでもあるわけです。
『女郎蜘蛛』でもシステム的には似たようなことはやっていたのですが、あの時は全く気にならなかったんですよね。
あっちの方がボリュームがなかったわけですが、その分中身が凝縮されて、それであまりだるさを感じさせなかったのかもしれませんね。
小粒でも優れた作品があったとして、その作品のボリュームを増やせばもっと面白くなるかというと、必ずしもそうでもないわけでして。
規模を大きくすれば他も変えていかなければいけないわけで、そこら辺にもミスの原因が見て取れるように思いますね。

まぁ、いろいろ本筋と離れたことも書きましたが、面倒くさいことはさておき、実際には単純に絵買いですよって人が多かったんじゃないでしょうか。
原画はキリヤマ太一さんなのですが、非常にインパクトがありましたからね。
この絵とキャラで濃厚なHシーンがたっぷりと堪能できる、それだけでも十分に元が取れるってものでしょう。
この部分は十分に長所だと思うのですが、ただ個人的には、想像していたほどには優れてもいなかったのかなと。
もっと強烈に印象に残るのかなと思ったのですが、いざプレイしてみると、そこまでには至ってなかったように感じました。

<評価>

総合では、佳作とします。
プラス部分もあるのですが、マイナス部分もそれなりに大きかったですしね。
一応満足はできたものの、思ったより残るものが少ない作品でした。

でも、こういう作品自体は大歓迎ですし、もっと似た類のゲームが増えてもらいたいものです。
作品の評価は伸び悩んだけどブランド自体は応援したくなる、そんな作品でしたね。

ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2024-05-20 by katan

コメント

  1. SECRET: 0
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    こんばんは。お忙しい所ご恐縮ながら、記事を拝見させて頂きます
    >2002年頃から属性重視やテーマ重視の傾向が強まってからは、
    Hシーンの存在価値の薄いゲームが非常に増えました。
    その傾向はいまだに続いていますよね。
    やはり、近年よりも90年代の方が圧倒的にエロの濃い作品・エロの多い作品が多かったのですね
    FDやCDだと容量は今よりも少ないはずですが、CGの殆どをエロに割いていた、ということなのでしょうか?
    それとも、全てのヒロインに長いHシーンが必ず3回以上はあるとか、そういう方向性でしょうか?
    或いは、実用性に富んだ作品の母数が多かったということでしょうか?

  2. SECRET: 0
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    > としあきさん
    > やはり、近年よりも90年代の方が圧倒的にエロの濃い作品・エロの多い作品が多かったのですね
    こういう書き方になると、ちょっと違うのかなと思います。
    また、CGの量が多かったとか、回数が多かったというのも、ちょっと違うと思います。
    本文にも記載しているように、90年代までの作品の方が、ストーリーとエロが直結していて、安易にカットできるものが少なかった、ゼロ年代以降は、移植のしやすさを考慮しているのかしりませんが、カットしようと思えば簡単にカットできる作品が増えたように思うということです。
    線ではなく点で考え、その場面でのエロの濃さという意味では、ゼロ年代からの属性特化の方が濃いと思います。
    ただ、私のような、流れの中で考える、点ではなく線で考えるタイプだと、ゼロ年代前半の作品は個々のシーンの重みが感じられず、あまりエロさを感じられないということです。

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