Strawberry Nauts

2011

『Strawberry Nauts』は2011年にWIN用として、HOOKSOFTから発売されました。

PITシステムが特徴の作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

「Laugh,and the world laughs with――」
春独特の陽気に包まれ、穏やかな空気の流れる教室。
女学生が1人立ち上がり、たどたどしい英語で朗読している。
「ふわぁぁ……」
思わず大きな欠伸をしていると、ふいに腕をたたかれ、目を向けると1枚の紙片。
さらに視線をあげると、人懐っこい笑みを浮かべた少女が、「て・が・み・だ・よ」と声を出さずに唇の動きで伝えてくる。
「ふむ」 俺は少女に軽く片手を上げ礼をし、そっと紙片を開く。
そこには――――。

<感想>

簡単に言ってしまえば学園恋愛ものとなるでしょうか。
ヒロインらの好感度が最初から高いですし、今増えているハーレムものという風に捉えて良いのでしょう。

HOOKSOFTの作品は睡眠誘導ゲーと揶揄されることがあるように、シナリオに特に秀でたところはありません。
本作にしても、ストーリー・シナリオだけに着目するならば、ごくごく平凡な作品となってしまうでしょうから。

HOOKSOFTは確かにストーリーに目立った特徴がなく、むしろ眠くなるようなテキストを我慢しながら、キャラに萌えるというのが一般的な認識なのかもしれません。
その部分は否定できないし、実際多くの人が注目するのはキャラなのでしょうけどね。

でも実は、デビュー作の『雨あがりの猫たちへ』の頃から、必ずしも読むというだけではなく、ゲームとしての何かしらの工夫も考えているブランドなのだと思います。
もちろん、メンバーに変動はあるのでしょうが、それでも何か工夫しようとする姿勢は受け継がれているように思うのです。

本作には、PITシステムというものがあります。
これは学園BBSを携帯端末で見るようなもので、主人公が何か行動をすると、それに対する反応が次々に書き込まれるのです。
このPITの更新頻度がかなり高いので、本文を読み進めるのとPITを利用するのを交互に繰り返していると、結構忙しくなってきます。
そういう意味では、今回はちょっと睡眠誘導の汚名返上かな。

PITシステムに関して言うならば、書き込まれる反応が某掲示板風のノリだったりするので、中にはノリが合わない人もいるかもしれません。
というか、私自身がそうなので、楽しさも認めつつも少し複雑な部分もありましたし。
また、ゲームに必ずしも効果的に機能しているとも言えませんし、ストーリーの本筋を追う観点からは弊害にもなりかねません。
つまり、新しいことには挑戦しているのだけれど、必ずしもそれが面白い方向へきちんと作用しているわけではないんですね。
何かいろいろやるけれど、いつも上手くいったとは言い切れない辺りも、ある意味HOOKSOFTの伝統なのかもしれません。
まぁ、この伝統は誰も嬉しくないでしょうから、今後は良くなることを期待したいですし、課題とも言えるのでしょうけどね。

だからゲームとして見た場合に不満を言うことは簡単なのですが、物語内にきちんと携帯端末を組み込んでいることは、即ち現代風にきちんとアレンジしている姿勢は素直に評価したいなと。
まぁ、そんなの当たり前だろという気もしないでもないですが、現状ではそれすらできていない恋愛ゲーが大半ですから。

<評価>

シナリオだけなら若干マイナスもあるのですが、PITシステムが相殺したということで、ギリギリですが良作としておきます。
恋愛ゲーは何年もプレイしていると同じように見えてくるだけに、そうならないためにも時代に合わせた変化は欲しいところでして。
本作は携帯端末が当り前な若い世代への入門作としてはもちろんのことですが、もう恋愛ゲーがどれも同じに見えてやる気が失せてきたというような、ベテランゲーマーにこそプレイしてみてもらいたい作品かもしれませんね。

ランク:B-(良作)


Strawberry Nauts
DVDソフトStrawberry Nauts

Last Updated on 2024-12-18 by katan

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