『スキズム ~謎めく旅路~』は2001年にWIN用として、ツクダシナジーから発売されました。
オリジナルの『Schizm』も2001年の発売で、本作はその日本語移植版になります。
<概要>
ゲームジャンルはMYST系ADVになります。
日本語で遊べるノベルゲー以外のPCゲーのADVも、2000年を迎える頃にはすっかり数が減ってしまいました。
ADV好きとしては選べる立場ではなく、数少ない出された物を順にプレイするような状況が続いています。
もっとも、2001年から2002年に限っては、ツクダシナジーが頑張ってくれたおかげで、作品の出来はともかくとして、本数自体はそれなりに遊べたかと思います。
というのも、2002年に、ツクダシナジーは何本かの海外のADVを翻訳し移植したのです。
これには非常に驚かされましたし、嬉しかったですね。
でも、実はその2002年にまとめて発売される前年に、1本だけ先に発売されており、それがこの『Schizm』でした。
ゲームジャンルもMYST系ADVになりますが、その何とも不思議で幻想的な世界感もMYSTを連想させます。
<感想>
MYST系ADVの弱点は、大抵はストーリーにあるのですが、本作はSF作家テリー・ダウリングのシナリオを担当とのこと。
本職の人が手がけたのならば、これまた期待できそうです。
また、システム面では、複数のキャラを切り替えるザッピングシステムも採用。
ゲーム性の面でも単なるMYSTの模倣に終わっていない様子。
さらに本作は、DVD2枚組の大ボリュームでした。
今となっては大して凄いとも思えないでしょうが、2001年当時はFF10ですらDVD1枚に収まっていましたからね。
その時期のDVD2枚組なわけですから、2枚も要するって、どれだけ大ボリュームなのかと、本気で考えちゃったのです。
これだけ見れば、どうしても期待せざるを得ませんよね。
本来ならば、海外のゲームの日本語版が発売される場合、既に数か月~数年前に発売され、既にあちらでの評判が分かっているので、それを調べれば、ある程度は事前に出来が予想できます。
しかし本作は、海外での発売後すぐに移植されたので、海外での評判も分かりませんでした。
そのため、期待だけが増えていったのです。
実際にプレイした感想としては、まぁ、期待しすぎた自分が悪かったのかもしれません。
確かに本作は、普通に無難に手堅く堅実に作られた作品でした。
それなりに面白いし、値段分は十分に楽しめるでしょう。
しかし、全ての面で何か今ひとつ足りなかったわけでして。
つまり、事前情報で凄そうに感じた部分はどれもハッタリで、本作は、海外でよく例えられる「MYSTクローン」そのものだったのです。
もう、それ以上でもそれ以下でもないという感じですね。
事前の妄想に比べれば、プレイの感想はいたってシンプルです。
特に叩く所もなければ特に褒めるところもない、そんな作品でした。
まぁ、しいて言うならば、パズルの傾向として理数系の要素が強いと言えるでしょうか。
たとえば、本作では、謎解きで連立方程式を解かされます。
別に大したことのない難易度だとは思いますが、もし仮に、極度の数学アレルギーであったならば、本作には手を出さない方が良いでしょう。
いわゆるMYST系のパズルにも幾つもパターンはありますが、本作は数学パズルといったものが多かったと思います
<評価>
典型的なMYSTクローンということで、あまり個性を感じられなかったことから、総合では佳作とします。
プレイ後の印象は薄い作品ではありましたが、十分楽しめる作品ではありました。
独自性よりも完成度を重視するならば、良作と考える人もいるかもしれません。
少なくとも、この時期にツクダシナジーから発売された一連のADVの中では、おそらく本作が1番完成度が高かったのではないでしょうか。
また、以後、『MYST4』まで日本語で遊べるMYST系ADVがなかったことを考えれば、結構、本作の存在はありがたかったのかもしれませんね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-05-11 by katan
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