雪子の国

2017

『雪子の国』は2017年にWIN用として、スタジオ・おま~じゅから発売されました。

雰囲気の良い作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

商品紹介・・・
山陰の怪談って知ってる?
でるんだってね。
キリンの国、みすずの国の続編、雪子の国。
舞台は風光明媚な地方城下町。
そこでは不可解な連続怪奇事件がおこっていた。
夜な夜な屋根にのぼる、少女の霊。神社に灯る、狐火。人を取り込む、峠の魔。五十年前の神隠し。
全ての謎は、一つのメッセージへと帰結していく。
「俺たちで謎を解き明かそうぜ!」
東京の少年ハルタと天狗の少女雪子がおくる、青春ハートフルラブコメディ+地方都市ミステリー!
やがてくる冬は、最後の冬になる。
少年と少女でいられる最後の時を、鮮烈に駆ける、今を生きる物語。

<感想>

国シリーズの3作目になります。
直接ストーリーがつながっているわけではないので、過去作をプレイしていなくても、本作を楽しむことはできます。
ただ、過去作をプレイしていた方が、世界観など、愛着は深まり、より楽しめるのでしょう。
・・・というか、フリーである過去作や、本作の体験版をプレイして、それで自分に合うと感じた人が、この作品をプレイするのであり、世間での評判にしても、過去作や体験版等を経て、自分は楽しめると考えた人の感想と考えた方が良いでしょう。
詳細はこの後書きますが、作品全体としては人を選ぶと思いますから。

さて、本作の特徴は幾つかあるのですが、まずはストーリーの良さが挙げられるのでしょう。
ジャンルとしては、ジュブナイルというか、怪奇事件を追っていくうちに、様々なキャラたちが成長していくわけで、これは単純に読んでいて良かったです。
ただ、このシリーズ全体という観点からは、天狗の国という設定からくる世界観の良さもあるので、その点がプラスにもなりえるのですが、本作に限ってみるならば、あまり天狗の国が活かされていなかったのかなと。

次に、本作の魅力として、テキストが挙げられます。
キャラを深く掘り下げ、とても丁寧に描かれており、テキストを大事にする人ほど、楽しめるように思います。
まぁ、私はシナリオ重視ですなんていう人には、とりあえずこれやっておけとは言いたくなります。

ただ、それだけに、展開は遅めです。
ジャンルの関係上、仕方ないのかもしれませんが、ゲーム序盤から目的がハッキリしているわけでもないので、話に入っていくのに時間がかかります。

もちろん、それは程度の問題でもあり、これだけだったら、特に気にならなかったかもしれません。
そこにシステムの問題も加わったことから、少し厄介になっていくのです。
というのも、本作は同人ゲームなのですが、その中でもシステム周りは悪いです。
なんか20年くらい前の作品をやっているようなんですよね。
同人しかしない人とかだと、感覚がマヒしていて、あまりわからないかもしれませんが、商業のPCノベルゲーに慣れていると、かなりストレスがたまってしまいます。
作者は、演出等も考えて作っているようですが、そのことで、より強いられたようなプレイになってしまい、作者の波長とプレイヤーのそれとがずれてしまうと、苦痛になってしまうおそれがあるのです。

ところで、本作の魅力はテキストにあると書きましたが、実のところ、テキストだけというよりは、グラフィックや演出、サウンドなどが相まって、全体として魅力を生み出すタイプの作品だと思います。
だからひと言で説明すると、雰囲気の良い作品になると。

グラフィックも、立ち絵の変化も豊富であり、作者の意気込みが凄く伝わってきます。
その点を重視する人ならば、より楽しめるでしょう。
しかし、絵そのものの質や塗りは、決して高水準とはいえません。
サウンドも雰囲気は良いけれど、音声はありません。
つまり本作は、テキストや絵やサウンド等が相まって、その相乗効果で魅力を生み出す作品であり、その事実は確かであるとしても、その一方で、絵やサウンドやシステムからは、昔のゲームかと思わせるような古臭さを感じてしまい、そのために作品全体の魅力にも制限がかかってしまうのです。

この制作者にはシナリオと総監督だけを担当してもらい、どこかのブランド等で、もっと豊富な資金のもと、優れた原画やプログラムが用意できれば、きっと素晴らしい作品になったことでしょう。
その点が、非常にもったいなかったです。

<評価>

総合ではギリギリ良作としておきます。

合う人には合う作品だと思いますし、とにかく丁寧なテキストを重視するのであれば、おすすめできる作品だと思います。
その一方で、それ以外の部分がですね、ちょっと矛盾したような表現になってしまいますが、その他の要素の相乗効果でテキストの魅力を増しつつも、同時に作品全体の魅力も大きく削いでしまっているわけでして。
個人的にはマイナス部分が気になってしまったのと、もう少し良い環境で本作が出せたらなと、このライターに存分に力を発揮できる環境を誰か用意してあげてよ、そうしたら名作ができあがるからさと、もったいなく思った作品でした。

ランク:B-(良作)

Last Updated on 2024-08-20 by katan

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