『幸の天秤』は2014年にWIN用として、Operetta Dueから発売されました。
失恋した女性の復讐劇。
小粒だけど、好きな作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・主人公は地味を絵に描いたような女。
学生時代から付き合っていた彼との幸せな結婚生活を夢見て、働きながらも日々彼に尽くしていた。
しかしその夢は、ある日突然告げられた「別れよう」の一言で終わりを迎える。
まさしく用無しのボロ雑巾のように捨てられた主人公は、降り注ぐ雨の中、希望を失くして呆然と立ち尽くす。
そんな主人公に声をかけて来たのは、親でも友人でもなく、見ず知らずの美しい青年。
青年は天使のような微笑で提案する――
「ありきたりな悲劇のヒロインとして終わりを受け入れるか。それとも僕に協力して、復讐するか」
迎える結末は「ありふれた悲劇」か「復讐」か。選択の日々が始まる。
<感想>
本作は女性向けの、いわゆる18禁乙女ゲームになります。
ストーリーは彼氏と思っていた男性から結婚詐欺にあい、ボロ雑巾のように捨てられた主人公が、謎の美形青年の援助を受けながら復讐をするというものになります。
攻略対象は、この元彼と青年の二人になりますね。
まぁ通常の乙女ゲーと異なり、本作は恋愛成就が目的なのではなく、復讐が目的ですからね。
攻略対象という表現も少し変かもしれませんが。
内容的にはサスペンス要素も混ざってはいるけれど、大雑把なイメージとしては、昼ドラ系って言った方が分かりやすいのかなと。
本作に出てくるキャラはどこか狂っていたりとか、ろくでもないような奴らばかりです。
元カレは主人公を捨てて、出世のために上司の娘と結婚しようとするのだけど、この上司の娘は表面上は清楚なお嬢さまなのに、実はセフレ5人のビッチだし、元カレもそれを知っているどころか実は陰でセフレ要員を用意し、孕むように仕向けていたり。
主人公は男性陣二人のそれぞれとの恋愛ルートがあるのだけれど、バッドでは野郎共がヤンデレ化しますしね。
表と裏の顔を使い分けて、ドロドロした人間関係が展開されますので、昼ドラみたいなと言うのが適しているのでしょう。
このブランドの作品はテキストが良く、本作も部分的なテキスト描写なんかは凄く良いのですが、本作は3000円台の低価格商品であり、価格相当のボリュームしかありません。
そのため、ストーリーの掘り下げは過去作よりも弱いのかなと。
価格からすれば何ら問題はないですし、これでも十分に面白いのですが、フルプライスでもっと濃厚にやってくれれば、もっと楽しかっただろうにと思ってしまいます。
その点は少し勿体なかったですね。
ところで、男性向けアダルトゲームでも昼ドラ系は幾つかあるでしょうが、男向けエロゲとして温くアレンジされているんですね。
ユーザー層に合わせて変化させることは悪くないのでしょうが、本来有する良さを求める人にはもの足りなくなるのは確かですし、またその反応に白ける場合が多くって。
例えば、インド料理の店を日本で出すとして、現地のそのままの味では日本人にうけないから、香辛料を控えめにしてマイルドにして出したとしましょう。
日本人の口に合うように調整することは悪くないですよね。
でも、本来のインド料理の持つスパイシーさを求める人にはもの足りないし、またそれを食べて、この店の料理は最高、こんなスパイシーな料理は世界中どこにもないと言われると、聞いた方は白けてしまいます。
エロゲでも、女性が男性ユーザーに都合の良いように温く設定されているのに、こんな重いシナリオはないとか胃が痛いとか言われると、聞いているだけで醒めてしまいます。
本作には男性ユーザーに媚びて温く設定された女性のようなキャラがいないので、少なくとも男性向けエロゲの昼ドラ系作品よりは楽しめました。
<評価>
名作と呼ぶには、もう少し掘り下げて欲しかったかなと思いますが、それでも十分楽しかったです。
ストーリー重視の作品で、男性でも女性でも楽しめる内容なのですが、女性向けアダルトゲームの中にも男性向けアダルトゲームの中にも、あまりないタイプの作品ですからね。
この手の作品が苦手な人以外には、幅広い層にオススメできる作品だと思いますね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-10-20 by katan
コメント