『けらけら星』は1992年にPC98用として、カクテルソフトから発売されました。
女性が中心になって制作されるということで話題になった作品ですね。
おバカな主人公たちが、見ていて微笑ましくなる、青春ストーリーでした。
<概要>
ゲームジャンルは、コマンド選択式ADVになります。
パッケージには、「センシティヴで、ちょっとHなディスク・コミック」と記載されています。
その記載されたジャンル名にあるように、読むことを意識した作品でした。
主人公は、都内某所の三流男子校に通う高校2年生。
その主人公の通う高校の隣には、超お嬢様学校がありました。
主人公は親友と共に、頻繁に覗きに行ったりするなど、いろいろちょっかいをかけるのですが、基本的にはお嬢様たちに相手にされていません。
そんな主人公の覗きを毎回阻止しにくるのが、お嬢様学校の生徒会長である久美子(カメ子)です。
物語後半では、お嬢様たちに裏切られ傷心状態の主人公に、カメ子が学園祭の招待状を渡し、主人公らは学園祭に乗り込むことになるのですが・・・というストーリーになります。
<はじめに>
この作品の掲載が遅くなったのには、少々理由がありまして。
本作を発売したのはカクテルソフトになります。
カクテルソフトはアイデスという会社の中の、一つのレーベル名になります。
他にはフェアリーテール等がありました。
ちなみに、後に代表格であるフェアリーテールと、カクテルソフトの頭文字をとり、F&Cという社名に変更するわけですね。
そのアイデスは、91年の沙織事件の影響もあり、92年には様々な方向性を模索していました。
そして、従来のような男性主体でゲームを作るのではなく、女性主体でゲームを作っていこうという試みもなされまして、そうして発売されたのが本作なのです。
だから本作の開発インタビューなんかを当時の雑誌で見ると、出てきている人は女性ばかりであり、本作を女性が作ったという部分が強調されています。
もちろん、女性が全部作ったというのであれば、何も疑問はありませんし、私も早々に掲載していたと思います。
しかし、ADVの肝である本作のシナリオを担当したのは、「葛西みなみ」という方でして。
私は、昔はクリエイターの個人名とかに対して、あまり興味がありませんでした。
だから、誰がどういう人とか気にしていなかったんですね。
それで今になって慌てているわけです。
何が問題なのかというと、この葛西みなみさんを調べてみると、後に『SEEK』とかを作った田所広成さんの別名義と解説してあるものがあります。
そうなると・・・本作の肝の部分を作ったのって、おもいっきり男やんって思ったものですから、どういうことなんだと悩んでしまったわけですね。
まぁでも、考えても分らないものは分らないし、ゲームの中身とは関係ない話でもありますので、もう深く考えずに記事を書くことにしました。
<感想>
さて、この作品を田所さんが書いたと考えると、ある意味逆にしっくりくるわけでして。
というのも、本作は基本バカゲーなんですね。
もっとも、いわゆるバカゲーといわれるような、リアリティ無視のぶっ飛んだ内容というのではなくて、主人公とその親友が、おバカでスケベで、いかにも当時いそうな感じの男子高生で、序盤はその色合いが強いのです。
ゲーム中盤では、主人公らの頑張りもあり、お嬢様学校の女子高生とお近づきになることができます。
しかし、お嬢様に対する幻想と現実とは異なるもの。
お嬢様に夢見ていた主人公らは、そのお嬢様らの真実の姿を知ることで、裏切られることになります。
傷心の日々を過ごすことになった主人公を救ったのは、それまで主人公の邪魔をしていたカメ子でした。
そのカメ子との距離が縮まることにより、物語後半は青春路線の色合いが強くなっていきます。
このまま青春路線で貫き通し、爽やかに終わらせることもできたでしょう。
しかし、ここはライターの性分なんでしょうかね・・・
本作には、ライターのコメントもオマケで載っているところ、その中で、悲恋物語である『卒業写真・美姫』に対し、絶賛と非難の投書がたくさんきたと書いてありまして。
『卒業写真・美姫』は素晴らしい作品であり、悲恋(恋愛)ゲーの初期の傑作です。
だから、絶賛のコメントを送る気持ちは十分に分かります。
他方で、『卒業写真・美姫』は、上記のとおり悲恋ものでしたからね、
ハッピーエンドを期待した人からは、非難のコメントが送られてくるのも十分予想はできます。
そういう状況を踏まえたうえで本作が作られたわけですから、非難コメントを減らしたいのであれば、本作ではハッピーな青春路線にしても良かったはずです。
現に、アイデス社内の上からの指示では、そういう作品にしろという指示だったのですが、ライターの選んだ結末は、そうではなかったわけでして。
というのも、主人公は、ハッピーに終わらせるのではなく、恋愛よりも親友との友情を優先させ、全部ぶち壊してしまう行動を採ってしまうんですね。
主人公よ、お前、何でそこでそんなバカな行動とるのかなぁ、でも、お前らしいよな~と、愛すべきバカ主人公に対し、何とも言えない目で見守ったものです。
そのため、本作は、バカで始まり、爽やか青春路線になりつつも、結局は爽やかなバカで終わる作品となるわけです。
したがって、全体としてはバカゲーでも良いのかもしれませんが、主人公が主人公らしさを発揮し、若者としての暴走の結果ともいえるわけですから、一言でいうと本作は「青春ゲー」なんだと思います。
本作のその他の点としては、グラフィックに関しては、一枚絵中心で進むタイプの作品でした。
この辺も、この時期のアイデス作品らしいといえるでしょうか。
<評価>
他の作品にはない魅力を有している本作。
総合でも良作といえるでしょう。
1992年にアイデスから発売された作品は複数あります。
『卒業写真・美姫』にしても、『新宿物語』にしても、そして本作にしても、どれもストーリーのジャンルは全然異なるのものの、それでも一言で表現しようとすると、「青春」と呼びたくなるような作品でして。
92年の時点では少なかった恋愛ゲーも、その後、次第に増えていくようになります。
その大半の舞台は学園であり、高校生の恋愛となると、それこそ青春と言えるはずなのですが、90年代後半以降の恋愛ゲーは、妄想の中の物語としての恋愛であり、あまり青春という言葉が当てはまるようには思えません。
本作を含めた上記三作品とかの方が、なんか当時の等身大の若者達の姿を描いているようで、「青春」という言葉がしっくりくるように思うのです。
この言葉がしっくりくる作品は、今現在はどれだけあるのでしょうか。
ふとそのことが、書きながら気になったものでした。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-08-25 by katan



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