『イロヨリドリ』は2016年にWIN用として、人生通行止めから発売されました。
NTR専門サークルの新作は、最近少なくなったタイプの作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
主人公、平田誠人は消極的な性格で、人付き合いが苦手、友達と言える存在も幼なじみのみずきだけで、極力目立たないように日々を過ごしていた。
ある日、ひょんなことから誠人は学校でも有名なヤリチン男である長谷川とクラスメイトの女子のセックスを目撃してしまう。
はじめて目の前で見た同年代のセックスに背徳的な興奮を覚えてしまい、それ以降も好奇心から長谷川のエッチをたびたび覗き見るようになる誠人。
だが 長谷川の魔の手は徐々に誠人の知り合いの女の子たちにも及ぶようになり、ついには幼なじみのみずきまで伸びていく……。
<総論>
本作もこのサークルの過去作と同様に、寝取られモノになります。
ただ、近年の寝取られモノは一般的に、特定のヒロインが間男に寝取られ、その様子を丁寧に描いたものが多いです。
それに対して本作は、多数のヒロインが登場し、そのヒロインらが次々に間男に寝取られていくことになります。
このタイプは一昔前は主流だったのですが、最近では少なくなりましたので、特に最近の同人では珍しいのかなと思います。
なお、複数のヒロインが寝取られるものの、各ヒロインは等価な存在ではありません。
最初に間男とHをしている子のように、限りなくモブに近い子もいますしね。
メインヒロインとして丁寧に描かれているのは、主人公の幼馴染だけになります。
<感想>
これ、こういう作品が出てくると、個人的には判断材料として使えるので便利なんですよね。
例えば誰かの感想を見たときに、その人の経験ってすぐに分からない場合もあるのですが、こういう作品の感想を見れば、すぐに分りますから。
つまり、本作は一昔前にはよく見かけたタイプですので、このタイプを珍しいと思う人は経験が浅く、とりあえず私はその人の感想を、あまり参考にできないのだろうなと思いますから。
さて、一昔前のタイプを今やった場合に、今と昔とで一体何が違うのか。
その最たるものは、昔は不意打ち寝取られがあったけれど、今はそれができなくなっていることなのでしょう。
幼馴染や憧れの女の子、身近な女の子らが、実は既に他人のものになっていたと。
そういう状況を想定していなかった場合には、それぞれの寝取られが衝撃的でありました。
もちろん、ヒロインの数が増えれば、それだけ個々の描写は薄くなります。
しかし、その分のマイナスを踏まえても、ヒロインらが犯されるという個々の衝撃の方が大きく、だから作品として成り立っていたのでしょう。
そう考えると、私は多数のヒロインが寝取られるタイプは好きでしたが、このタイプは不意打ちが許された時代だからこそ、上手く機能していたと言えるように思うのです。
本作は昔と同じようなことをやっているのですが、事前に寝取られモノと分っています。
女の子らが出てきた時点で、もう間男に抱かれていることが決定しています。
そのため、昔のような衝撃はない一方で、個々のヒロインの描写が薄くなるわけですから、あまり現在の状況には適さないタイプなのでしょうね。
う~ん、このタイプはね、個人的には元々は好きなタイプなのですよ。
でも、今そのままやっても、意味がないと思うわけでして。
何かしら現代的アレンジが欲しかったなと。
それにこのタイプは、各ヒロインごとにハッピーとバッドをそれぞれ用意して、その上で各ルートを深く掘り下げた方が良くなりますし、そうなるとボリュームも必要になるわけで、本質的にはフルプライス向きなんだと思います。
だから技術力のある商業ブランドが、フルプライスで演出とかにも力を入れることができたならば、おそらく今でも面白いものが作れると思います。
しかし、同人で作るには向いていないと思います。
どうしても中途半端になってしまいますから。
まぁ本作は、CGもテキストも価格から考えれば多く、そのおかげで作品としての形にはなっていますが、それでもやっぱり無理をしているなという印象の方が強かったです。
それから、本作の場合、間男は一人です。
その間男が次々にヒロインを抱いていく作品ですので、よくある陵辱系作品を第三者視点で見ているだけとも言い換えられますし、その観点からも新鮮さが感じられなかったです。
<評価>
本作の段階では、単に昔の方法を流用しただけであり、新たな一歩を踏み出す段階には至っていません。
フルプライス向きの手法で強引に作品を作っただけで、過去作と比べるとどうしても薄味に感じてしまい、得られるものがなかったということで、総合でも凡作としておきます。
まぁ、一昔前のNTRを知らなければ、もう少し楽しめたかもしれませんけどね。
つまりは、これが楽しめるってのは、NTR歴の短い人に限られるのでしょう。
経験の長い人に私は本作をすすめることはないでしょうし。
もっとも、同じことばかり繰り返しても仕方ないですし、違う方向性を模索すること自体は良いことだと思いますので、次作はもう少し違うアプローチを考えて欲しいですね。
ランク:D(凡作)
Last Updated on 2024-09-07 by katan
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