ランス・クエスト

2011

『ランス・クエスト』は2011年にWIN用として、アリスソフトから発売されました。

シリーズ8作目。
お祭りランスとして出されたゲームでした。

<感想>

ランスシリーズも長いですが、今回は数字こそ入っていないものの、公式にも『ランス8』扱いです。
もっとも、本来の流れとしては、8はヘルマン編になるはずでした。
その予定が変更され、間にお祭りランスみたいなのを作ると言われたわけで、そうして発売されたのがこの『ランスクエスト』だったわけです。
そのため、8ではあるものの、実質的には外伝に近い位置付けになります。
『ランス6』が2004年で、『戦国ランス』が2006年。
本作が2011年なので、7作目~8作目の間が4年半以上空いているので、今思うと、ヘルマン編を作るのに難航していたのでしょうね。

そういうわけでストーリーのメイン部分に関しては、あまり大きな変動はないだろうと分かっていました。
確かに、『戦国ランス』のラストでシィルは氷漬けになってしまいましたし、これを解決しなければいけません。
しかし、ヘルマン編との同時並行は無理と判断し、それで一本増やしたと私は思っていたのですが、その予想は完全に外れてしまいました。
ちょっとネタバレになりますが、シィルは結局元に戻りません。
ストーリーはカラーの森に行ってリセットが産まれたくらいなもので、他はあってないようなものです。
これまでのランスシリーズのRPGはストーリー重視だっただけに、本編のメインルートに動きがなくても、もう少し何かしら用意されていると思ったんですけどね。
この中身のなさには、ちょっと驚かされました。
挙句の果てにシィルの問題が解決しないのなら、何で予定を変更してまでランクエを挟む必要があったのでしょう。

また、これまでの主要キャラにCGやイベントが乏しいケースが多く、その点でもマイナスでした(ってか、魔想さん…)。
音声がない時代以前の主要キャラにイベントがほとんどないのであれば、いっそのこと完全なる番外編として新しいキャラだけにし、ヒロインだけ音声付にしても良かったように思うわけで、同じ音声なしでも今回の音声なしには必然性を感じられませんでした。

今回はお祭りランスということで、多くのキャラが登場します。
システム的にはこれを次々交代させながらプレイするわけですが、結構いろいろと縛りが多いわけでして。
例えばSLG系でマップとか全部見せて、それで制限された中でやりくりするなら良いと思います。
しかしそれはSLGに向いているのであって、こういう縛りの多さはRPGに向いているとは思えないんですよね。
ダンジョン探索はRPGの醍醐味の一つではありますが、行動に制限があるからどうしても最短ルートを目指してしまいますし、SLGの感覚でRPGを作っているようにしか思えないわけで、この路線が続く限りアリスに面白いRPGは作れないのではないでしょうか。
戦闘とかも単調だし、ユニットの個性もあまりないしで、「ランスシリーズ」に何の思い入れのない人であれば、ゲーム部分に限ってみれば凡作レベルだと思います。
シンプル故に、何だかんだで普通には楽しめるんですけどね。
特徴に乏しくあえてやるまでもないってことですね。
ランスの持つイメージからもこういうチマチマしたものは合わないわけで、多少大味でも良いから、今後はもっと豪快にしてもらいたいものです。

もっとも、ランスに思い入れのある人は少し話が変わってきます。
上記のようにストーリー的に物足りないのは変わらないのですけどね、今回はテキスト自体はわりと良かったのですよ。
どのキャラも活き活きしていましたし、あぁ~久しぶりのランスだ~って懐かしくなれるのは間違いないでしょう。

新キャラではリセットの可愛さがやっぱり半端なかったですし、旧キャラでもコパンドンなんかは急に良い女になりましたね(ここは本来マリアの立場ではとか思うと複雑でもありますが…)。
それと目立ったのは鈴女で、目立った挙句に今回で表舞台から退場します。
この退場の仕方はどうなのかという問題はありますが、これでまたかなみちゃんの出番が増えるかと思うと、かなみファンとしては嬉しい限りです。
※かなみはね、98時代は何でもこなせるのにドジっ子、かわしまくりで強いのに不運って感じで、そのギャップが良かったんです。
それが最近の作品ではヘタレでドジみたいになり、まるで駄目な子扱いで、どうにも残念でした。
今後出番が増えそうなのは嬉しいのですが、鈴女の後押しなしでも強さを発揮してもらいたかったものです。

また、システムは単純なのですが、アイテムとかイベントを逃しても全部再度やり直せます。
つまり取りこぼしを埋めるためにセーブからやりなおす必要がないわけで、長年のランスファンは時間の取れない人も増えているでしょうから、こういう仕様はありがたいですね。
おかげでちょっとした合間にも、あまり深く考えずにチマチマと進められますし。

<評価>

そういうわけで総合的には、ランスに思い入れがなければ佳作~凡作程度だと思いますが、テキストやキャラの良さがありそれで結構楽しめましたので、個人的には良作としておきたいと思います。

またランスを楽しめたという点では満足しましたし、ファンなら買って損はないと思うのですが、良くも悪くもファンディスク的な内容にとどまり、大作・名作を期待するとちょっと残念な結果となってしまうと思います。

ちなみに、現在は『ランスクエストマグナム』というアペンドディスクが発売されています。
これによりイベントも多数追加されていますし、ゲーム部分の改善もなされていますので、ぜひプレイすることをおすすめします。
個人的には魔想さんのイベントがあっただけでも満足でしたね。

ランク:B(良作)


ランス・クエスト
DVDソフトランス・クエスト

Last Updated on 2024-12-16 by katan

コメント

タイトルとURLをコピーしました