『プルーフクラブ』は1997年にPS用として、ユタカから発売されました。
推理モノは何もADVの専売特許ではないんだということで、推理に焦点を絞ったボードゲームでした。
<感想>
ときどき不思議に思うことがあるのですが、推理したい推理したいという人は結構いるものの、意外とそういうゲームがあってもやっていなかったりするわけでして。
推理ゲームを望む人の需要からすれば、もう少し知名度が高くても良さそうなのになといつも思うのが、この『プルーフクラブ』だったりします。
さて、推理ゲームというとADVがすぐ連想されるところですが、このゲームはボードゲームでした。
流れとしてはサイコロを振ってコマを進め、出た所で調査をします。
そこでの情報が大事だと思えばカードとして手元に残します。
プレイヤーは犯人・凶器・アリバイの3点を推理するわけで、分かった時点で宣言し推理を披露して、見事正解すればクリアとなるわけです。
犯人・凶器・アリバイは毎回変化しますので、何度でもプレイすることが可能な作りとなっていました。
従来のADVの推理モノの多くにあった欠点、総当りとかしらみつぶしにやればクリアできてしまうとか、そもそも推理ではなくプレイヤーがやるのは調査だけであるとか、事件数の少なさに伴うボリュームの少なさであるとか、そういったものはこのゲームにはありません。
また、ルールもシンプルですぐに楽しめるのに、中々に歯応えもあり気の抜けない緊張感も常にありました。
プレイヤーは豊かな発想力も要求されつつ、ボードゲームによる運の要素も絡み合っていたわけで、そこら辺も実に絶妙でしたね。
私は頭を使うゲームは好きなのですが、必ずしも推理である必要はないと考えるタイプです。
だからMYST系とかで十分だったりもするわけです。
でも、事件を推理したいって限定する人も当然いるでしょうし、そうであるならば、これは絶対やれよとも思うわけで、本来ならこんなに埋もれるべきゲームではないと思うんですけどね。
やっぱ何だかんだでキャラの立ったゲームでないと、日本じゃ駄目なんですかね。
あんまり書いてると愚痴っぽくなりそうなのでもう止めますが、地味ではあるものの非常に良質なゲームでした。
本来ならこういうのは名作として推したいところなのですが、視野をもう少し広げると、実はボードゲームの名作『クルー』のアレンジ版でしかないわけでして。
ここは価値観の問題でもありますけどね。
ノベルゲームでも小説では散々見かけるトリックなのに、ゲームではあまりやってないってだけで絶賛する人もいます。
そういう視点に立つならば、ゲーム機にこれと同じゲームはないわけですから、本作は凄い名作なんだという結論にもなりうるでしょう。
しかし、同じことをゲーム機でやっただけのどこが凄いのかと、私はそう考えちゃうんですよね。
もちろんコンピューターゲーム化することでメリットがあれば別ですけどね。
ノベル物の大半はそういう利点がないので酷評することも多いのですが、本作の場合は、プレイする人が揃わなくても楽しめる、盤を設置する手間がかからないなど、一応のメリットはあります。
でも、それによりゲームとしての面白さが増したとまでは言えないように思い、名作扱いに足りうるほどの魅力は感じられませんでしたので、結果的には良作止まりとしておきました。
もう少し世間で評価されて然るべきという思いと、かと言ってゲームとしてはもう一押し欲しかったなという思いで、いろいろと複雑に交差してもいるのですが、大抵の人は新鮮な感じで楽しく遊べるゲームだと思いますし、類似作品も少ないことから、今でもオススメできるゲームではないでしょうか。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-12-03 by katan
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