『クーデルカ』は1999年にPS用として、SNKから発売されました。
開発はサクノスになります。
19世紀イギリスの修道院を舞台にしているのは、RPGとしては結構珍しかったかもしれませんね。
<感想>
サクノスは元スクウェアのメンバーが立ち上げた会社で、このゲームがデビュー作でした。
元スクウェアということからか、グラフィックは非常にレベルが高かったです。
しかも、当時のスクウェアのRPGにはまだ音声がなかったのですが、本作には音声がついていました。
更に付け加えると、主人公の声は堀江由衣さんでした。
ちなみに、ほっちゃんは、後に凄く人気の声優さんになりますが、99年はちょうど「やまとなでしこ」を結成したばかりで、まだまだこれからという期待の新人さんという状況でした。
また、本作には、リップシンクの技術も採用されており、これは日本のゲーム業界では初だったそうです。
さて、私はムービー系のゲームは好きだったのですが、インタラクティブムービーの衰退に伴いムービー系のADVは激減しました。
それに拍車をかけて、この頃には移植物の数も減りました。
RPGではスクウェアが頑張っていましたが、それだけだと本数的に物足りないわけでして。
もっとムービーゲーを一杯やりたかっただけに、このゲームには注目していましたし、発売日に購入したものです。
実際、グラフィック・音声といった演出面総合は、上記のように技術的に新しい面もありましたし、間違いなく名作レベルにあったと思います。
その点では、非常に満足できました。
世界観に関しても、近世って意外とあまりない感じでしたので、終始新鮮な気持ちでプレイすることができました。
問題はゲーム部分ですね。
本作はタクティカルコンバットシステムを採用したRPGで、つまりはSRPGみたいにキャラを動かして戦わせるタイプになります。
動かせるといっても大したことはなく、数マス内という狭い範囲内なんですけどね。
そしてこの戦闘自体、かなり単純だったにもかかわらず、非常にノロノロとしていたわけでして。
まるで88時代のRPGを彷彿とさせるかのような戦闘でした。
私は比較的待たされるのには寛容な方なので何とか楽しめましたが、ロード時間とかにうるさい人にはきついかもしれません。
ちなみに、おもいっきり余談ですが、PS時代になってCDのロード時間が嫌だって次世代機を叩く、懐古主義みたいな層がいましたが、昔はロード時間なくて良かったなんてのは半分本当だけど、半分は嘘ですよね。
ロムカセットだって遅いのはありましたし、仮にそれは良いとしても、ロードがないなんてのはFCとかSFCの話であって、もっと前のPC88とか無茶苦茶待たされましたもん。
それに比べればPSのロードなんて可愛いものです。
FCとSFCだけを取り上げて昔は~なんてひとくくりにするのは、ちょっとフェアじゃない気もしますし、本気で言ってるのならFCとSFCしか知らない程度の若さなんでしょうね。
本題に戻りまして、結局のところ演出面では業界初の技術を駆使してずば抜けていたのに、肝心のゲーム部分で相殺してしまった感じでした。
<評価>
そういうわけで、総合的には良作と判断しておきます。
もっとも、長所短所がなくての良作ではなく、上記のとおり強力な長所と短所が打ち消しあった結果の良作なわけです。
ここの制作陣は後に『シャドウハーツ』(SH)を作っています。
SHはクーデルカの持つゲーム部分の欠点をなくしてきていますので、より万人向けになり遊びやすくなりました。
世間での知名度がSHの方が高いのも、そうした点があるのでしょう。
しかし、飛び出た長所だけを見るならば、『クーデルカ』の方が、より尖っていたと思うわけで。
私は完成度より独自性や個性を重視するタイプですので、穴も減ったけど長所も減ったSHより、この『クーデルカ』の方がより印象深く覚えていたりもするのです。
まぁ、スクウェアを飛び出した人間の作ったゲームが、スクウェア作品の持っていた長所短所を、更に強調したような作品を作ったわけですからね。
一体何がしたくて飛び出したのかなと、とても不思議な気がしたものです。
とは言え、こういう傾向のゲームを作ってくれたこと自体は歓迎なので、どうでも良いことかもしれませんけどね。
総じて、ロード関係で合わない人は絶対に出てくるとは思いますが、ムービー系のゲームが好きな人には、もっと知ってもらいたいゲームでしたね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2025-01-06 by katan
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