『クロムパラダイス 銀白色の楽園』は1996年にPC98用として、アシッドプランから発売されました。
SF風バイク便恋愛ADVってわけで、ちょっと雰囲気の変わった作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
まずは簡単な内容説明から入りますと、『クロムパラダイス』の舞台は30世紀のスペースコロニーになります。
主人公はそこでバイトを始めるのですが、20世紀を模した場所で、バイク便の手伝いをすることになることから、近未来が舞台と言いつつも実質的には現代が舞台みたいなものですね。
何でこんなややこしい設定にしたものやら分かりませんが、主人公は6社の中から毎日行く場所を選び、配達の仕事をすることになります。
<感想>
そういうわけでゲームの基本的な流れとしては、毎日6社の中からバイト先を選択する、いずれもバイク便なので相手に荷物を送り届ける、その過程で出会ったキャラと会話し、たまに選択肢を選ぶの繰り返しとなります。
こういう設定ですからね、本作には多くのキャラが登場します。
キャラの数だけならアダルトゲームの中でも屈指の多さでしょう。
そして、この設定部分をどう捉えるのかが、ゲームを楽しめるかの分水嶺となるのです。
というのも、本作は一応は恋愛ゲームになります。
1つの会社に1人のヒロインが対応していますので、特定のヒロインを攻略するには、特定の会社ばかりを訪れば良いのです。
後は選択肢を間違わなければ攻略できるわけですすね。
しかしながら、普通の恋愛ゲームと違って主人公は運送のバイト中ですからね、一人のヒロインとの交流時間よりも、それ以外の他人と接する時間の方が多いのです。
だから「ヒロインとの交流=ストーリーの本筋」と考えるならば、ゲームの大半を本筋以外の部分に費やすことになるわけです。
そしてヒロインとの交流は全体でもあっさりしていますので、とにかくストーリーの本筋を追いたい、そのストーリーの本筋の良し悪しで作品を評価するって人には、本作はかなり相性の悪い作品になると思うのです。
他方で、ここで目先を変えると、中々に味わい深い作品となります。
つまりヒロインと結びつくことはあくまで最後のご褒美であって、荷物を運送する過程で出会う多くの人との交流を楽しむゲームと捉えれば、サブキャラたちはどこかネジの外れた面白い人が多いので、これはこれで結構楽しいんですよ。
こういうADVもあまりないもので、新鮮な感覚でプレイできたものです。
<ゲームデザイン>
上記のとおり、ゲームシステムはノベル系のADVになりますかね。
一日の最初に6社の中から一つを選ぶわけですが、基本的には読み進めつつ、たまに現れる選択肢を選ぶことになります。
選択肢は画面右側に表示され、全体的にレイアウトがちょっと変わったADVでした。
<評価>
総合では良作としておきます。
名作と呼べるほどの強烈な長所もないのですが、中々に新鮮な感覚の伴うゲームでもありましたし、愉快なキャラたちのおかげで終始楽しかったですしね。
ストーリー重視派の人にはもしかしたら相性が悪いかもしれませんが、あれ?何かちょっと違うよなって思わせてくれ、こういうADVもありだよなって思えましたし、良い作品だったと思いますね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-11-12 by katan
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