『Pigeon Blood』は2002年にWIN用として、アボガドパワーズから発売されました。
この時期に完全新作の調教SLGがあるってだけでも嬉しかったものです。
<概要>
ゲームジャンルは調教SLGになります。
商品紹介・・・そこは、湖と森に囲まれた美しい館だった。
地位と名誉、そして材を築いた者だけに許された禁断の果実を頬ばる場所。
美しい奴隷に鞭打ち、媚薬を浴び、底知れぬ快楽に酔う。
名の与えられていない歪で美しい常世の楽園。
暗い場所で目を覚ました俺にかしずく2人の女。カオルコとヴァネッサ。
2人は、俺を『お館さま』と呼ぶ。俺は、記憶の大部分を失っている事に気付く。
覚えているのは、俺が性奴を作る調教師という事実だけ。
そして引き合わされる隻眼の女。領主レギーナ。
彼女は6ヶ月の期間、この屋敷を俺に託すという。
俺の調教師をしての腕を見たいらしい。いいだろう、見せてやろう。
素材として選び出されたのは、美しい少女リタ。
俺は鞭を持ち、怯えた奴隷の前に立つ。
おまえに快楽の限りを叩き込み最上の性奴と育てる。
さあ、跪くがいい。神にも与えられぬ歓びを授けてやろう。
<感想>
調教SLGというのは、ある意味それだけでアダルトゲーム足りえる、数少ない貴重なジャンルなのかもしれません。
そのため、個人的には凄く好きなジャンルでした。
しかし、数値を管理し続けることには難しさと共に面倒くささもあるからでしょうか、残念なことにゼロ年代に入る頃から調教SLGは下火になってしまいました。
個人的には、調教SLGは、もともとSLGの中の一部分を特化したジャンルだけに、発展しうる幅も限られており、同系統他作品との差別化がしにくくなって次第に新鮮さが失われていき、それで飽きられていったようにも思います。
いずれにしろ、フルプライスの商業の続編以外の完全新作調教SLGとなると、本当に数が少なくなってしまいます。
SLGのアルゴリズムって、どうしても作り手の癖が出ますからね。
その点も考慮しますと、2002年に出た完全新作の本作の存在は、それだけでも意義があるってものです。
さて、本作はシナリオも普通に楽しめるし、ゲームとしても調教SLGとして十分に水準以上であるのでしょう。
グラフィックにやや癖があることから人を選ぶ可能性があるものの、プレイし出すと案外気にならないので、全く受け付けない人以外は大丈夫かと。
それでいて、攻めるシチュがとにかくハードですからね。
ゲームとしての基本が整った上で、各種のハードな調教があるわけですから、部分的には良くできた作品なのだと思います。
そもそも、優れた調教SLGは古い作品が多いので、中々おすすめしにくい状況になっています。
本作も既に10年以上前の作品であり、十分古いよって思われかねないですが、それでもフルプライス級のボリュームで楽しめる調教SLGとしては、これでも比較的新しい方なんですよね。
そのため、今でも相対的におすすめしやすい作品なのかなと思ったりも。
まぁ今は陵辱とか制限が厳しくなっていますので、とりあえずハードな攻めが好きな人であれば、プレイして損のない作品だとは思います。
というわけで基本的にはというか、部分的に見ると良くできた作品とも思えるのですが、
個人的にはイマイチ楽しみきれなかった作品でもありました。
確かに部分的にはハードな作品なのだろうけれど、何というのか、設定やグラフィックなどが一つ一つは悪くないものの、上手くかみ合っていないんですよね。
その設定ならそのグラフィックではないだろうって感じで。
いろんな要素をとりあえず突っ込んでみたって感じで、上っ面だけの中身の伴っていない作品なんです。
だからなのか、字面上はハードなはずのプレイも、見ていてエロさを感じないのです。
私は割と大雑把にプレイするので、イマイチ楽しみ切れなかったかなって程度で済んでしまいます。
しかし調教ゲームというものに対して、いろいろこだわりのある人ほど、この違和感は大きくなってしまうのではないでしょうか。
作品に対する何かしらのこだわりというよりも、過去の調教SLGの良さそうな部分を切り貼りしたような、表面上は優れていそうなのに妙に纏まりの悪さを感じた作品でした。
<評価>
総合では佳作としておきますが、ハードなシチュの調教SLGは希少ですので、絵柄に抵抗がなければおすすめできる作品だとは思います。
ただ、あまり細かいことを気にしない人なら楽しめるのでしょうが、本作は調教というもの自体の否定にもなっている作品ですからね。
アボガドパワーズが作るだけあって、SLGとして最低限は遊べるものの、調教SLGないし調教というものを理解した人が作った作品とは思えないので、この分野に詳しくこだわりのある人ほど、本作は楽しめないように思ってしまいます。
そういう意味では、調教ゲーは初心者でジャンル的に好きでもないけれど、ハードな陵辱もの自体は他ジャンルで好きでやっているような、そういう人向けなのかもしれませんね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2025-04-20 by katan
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