『オベリスク プロジェクト・オスカーを遂行せよ!』は、1996年にWIN用として、NECインターチャネルから発売されました。
主演:藤谷美紀に加え、オスカープロモーションの女優を何人も起用した、豪華な作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはMYST系ADVになります。
時期的には、マルチメディアという言葉が巷にあふれ、PCのADVとしては、インタラクティブムービーやMYST系のADVが盛んだった頃の作品になります。
本作はその流れに乗ろうとした作品の1つであり、多くの女優が出て来る所に何とも時代の勢いを感じちゃいますね。
というのも、本作はNECとオスカープロモーションが組んで、それで作られた作品なのです。
そのため、本作の主演は藤谷美紀であり、他にも小野みゆきをはじめとして、オスカープロモーション所属の女優が何人も使われています。
しかも、ホテルで記者会見が行われ、制作発表が行われたのですから、もう今のADV市場では考えられないような勢いを感じちゃいますよね。
<感想>
さて、肝心のゲームの中身なのですが、ジャンルとしてはMYST系のADVとなります。
始まりは近未来なのですが、そこからエジプトに飛ばされ、他にもアトランティスやチベットやマヤに赴くことになります。
時空を超越して世界中の遺跡を巡るというストーリーの構造は、この当時のMYST系ADVにわりと見られた設定でしょうか。
特に似た作品としては、『Time Gate』なんかが近いでしょうね。
そのため、設定の大枠自体は、決して珍しいものではありません。
また、MYST系のADVは世界観を重視するあまり、ストーリー自体は薄めな作品が多いです。
しかし、その弱点を克服すべく、中にはストーリー面も強化しようとした流れも出てきます。
本作も『Time Gate』もそうしたストーリー強化路線の作品で、そういう意味でも同じ方向性にあるかと思います。
後は好み次第でしょうね。
ストーリーも強化しようとした狙いは良いのでしょうが、実際に狙い通りに成功した例はほとんどなく、違う面で光る作品が多かったりするのです。
例えば『Time Gate』なんかはパズル部分が秀逸で、それで私も高く評価したものです。
本作にも出てくるエジプトは、この当時のADVに良く使われた題材で、『アンク』なんかはエデュテイメントソフト的側面もあり、そうした教育面や資料的な付加価値があったわけですね。
このように、一見すると似たような路線でも、持っている魅力の方向性はそれぞれに異なるわけでして。
上記の2作品の有する魅力は、確かに本作にはないでしょう。
しかし、ゲームは画面を見てやるわけですからね。
見ていて楽しい方が良いし、美人が出てくれば気分的にも楽しくなってきます。
本作はオスカープロモーション所属の女優が多数出てきますから、キャラの美人度では1番なんですよね。
ファンなら買いだろうし、そうでなくとも決してマイナスにはならないでしょう。
単純に見て楽しいかを重視するならば、本作を選ぶという選択肢もありだと思います。
もう少し細かくみてみますと、MYST系ADVって、キャラが少ないものが多く、プレイしていて、どうしても寂しくなりがちです。
下記の画像のように、本作の場合、複数のキャラが登場して会話する場面があります。
こういう構造って、案外MYST系では少ないのです。
古くからのADVファンですと、キャラ同士の会話が好きだという人も多いと思います。
そういう人は、MYST系はベクトルが反対になってしまい、合わなかったりすることもあるでしょう。
そういう人でも、MYST系の中でも比較的会話量の多い本作は、楽しめるかもしれません。
また、MYST系は途中は楽しいものの、ラストが尻つぼみになるケースも多いです。
本作は、良くも悪くもキャラの個性が出ていて、エンディングも印象的でした。
そういう意味では、他のMYST系とも差別化ができていたように思います。
<評価>
総合では、ギリギリ良作としておきます。
謎解き等、ゲームの作り自体は佳作相当かなと思います。
ただ、女優をたくさん使い豪華さを感じさせることや、キャラ同士の会話や、エンディングのもっていき方等、それが優れているかどうかは別として、本作ならではの個性は出せていたように思うのです。
その点を評価しての良作ということですね。
日本の一般PCにおけるADV市場に活気があった最後の時期の作品ということで、当時の雰囲気を感じたいのであれば、プレイしてみる価値のある作品だと思いますね。
Last Updated on 2024-05-18 by katan
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