BLACK SHEEP TOWN

2022

『BLACK SHEEP TOWN』は2022年にWIN用として、BA-KUから発売されました。
瀬戸口廉也さんがシナリオを手掛けたことから注目された作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・物語の舞台となる『Y地区』という街は、とにかく雑多な街です!
基地を引き払ったあとの空き地に、様々な国からの移民や、国内の流れ者が住み着き、この街を形成しました。
『Y地区』はけして治安はよくありませんが、人々は自由に暮らし、通りには活気があり、色鮮やかなネオンが輝く繁華街があります。

そこには多様な肌の色を持つ人々と、そして、突然変異によって生まれた特殊な人類が暮らしています。
彼らは超自然的な能力を持っていたり、人間離れした姿形をしており、時に差別を受けることさえあります。
しかし、この『Y地区』の混沌のなかでは、オリジナリティあふれる人々も、他の人類と同じように生活をしているのです。

この非常識な街を支配しているのは警察でも役人でもありません。
『YS』と呼ばれる巨大なギャング組織が、住民達の上に君臨しているのです。
長い間絶対的な権力を持っていた『YS』ですが、ボスである『クリス・ツェー』が持病によって衰弱し、その勢いにも陰りが?えつつあるようです。
物語は、そんなある日に開催された、『YS』幹部が集まる結婚式から始まります。

<感想>

本作をプレイした率直な感想としては、想像以上に「読む」意識が強い作品だなということでした。
ゲームをプレイしているというよりも、小説を読んでいるという感じですね。
本作には音声がないものの、グラフィックとサウンドはありますから、音付きのラノベを読んでいるという印象を受けた作品でした。

さて、実のところ瀬戸口廉也さんの作品の場合、本作に限らず過去の作品も、似たような印象の作品が多かったです。
ただ、過去の作品の場合、読む意識が強い構造の作品のわりに、プレイヤーが読むことに対する配慮が欠けている作品が多かったわけでして。
つまり、テキストだけを取り上げてみてみると良いのだけれど、ゲームとして総合的に見た場合には完成度が低いという判断になってしまい、それで私の評価は低くなりがちでした。
ぶっちゃけ、面白いけど読みにくい小説みたいに感じてしまい、だったら普通に小説で出してくれよと何度も思ったものです。
それに対し本作は、過去の作品以上に「読み物」としての性質を有しているのですが、テキストの表示方法に工夫が凝らされる等により、過去作のようにテキストを読むことを阻害するものがなく、過去作のようなマイナス部分がなくなりました。
個人的には、これは非常に大きいです。

本作のストーリーはノワール系の群像劇になります。
多数の人物が描かれ、ボリュームもあることから、「読み応え」という点だけに関して言えば、2022年の作品の中では最高クラスの作品と言えるかもしれません。
年々、ストーリー重視作品でかつ読み応えのある作品は減っているだけに、本作のような作品は貴重であり、それだけでも好印象です。

他方、瀬戸口廉也さんの作品は、熱烈なファンが一定数いる一方で、あまり知名度が増えていかないように思います。
そうなると、私自身はそれほど癖があるタイプとも思わないのですが、結構好き嫌いの分かれやすいタイプなのかもしれませんね。
本作は、過去作よりもエンタメ要素が強くなっていますので、コアなファンでない人には過去作より入っていきやすいように思います。
そういう意味では、いろいろある瀬戸口作品の中でも、入門作としても向いているのではないでしょうか。
なお、間口が広くなった分、薄味になったとも言えますので、従来からのコアなファンとかですと、少しもの足りなく感じた人がいても不思議ではありません。

<評価>

総じて、最近では珍しくなった読み応えのあるノベルゲーと言えますし、ストーリー重視の読み応えのある作品を求めているのであれば、プレイして損のない作品と言えるでしょう。

他方、本作には音声はないですし、ゲーム性もないですし、ノベルゲーとしては非常に偏った作りの作品であることもまた間違いないのでしょう。
そのため、作品全体として総合的に判断するような人の場合は、あまり過度に期待しない方が良いかもしれません。

個人的には、十分楽しめたのですが、例えば本作が10年前に発売された作品だと言われても、おそらくなんの違和感もないだろうなということで、その辺も考慮して、ギリギリ良作とします。

ランク:B-(良作)

Last Updated on 2024-04-21 by katan

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