Geminism ~げみにずむ~

2023

『Geminism ~げみにずむ~』は2023年にWIN用として、CRAFTWORKから発売されました。

CRAFTWORKの約23年ぶりの新作ということで、驚いた方も多かったのではないでしょうか。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
親の因果が子に報い、生まれ出でたるこの姿。
此方彼方に相見[あいまみ]ゆるは、双[なら]び立たざる相似形。
──東京、丑三つ時。新月の下、相似形の少女二人が対峙する。
少女達の手には不釣り合いに見える歪な武器。背後に控えるのは怪しい男達。
男の目的は。少女の夢は。彼等は何の為に戦うのか?
サァサお立ち会い、夜半[よわ]の忌事[おまつり]、はじまりはじまり──。

<感想>

原画の長岡さん自身は、他でも作品を出してはいるのですが、CRAFTWORKとしては、2001年に発売された『さよならを教えて』以来となります。
もうCRAFTWORKからの新作はないと思っていただけに、これには驚かされました。
なんにせよ、長岡さんの新作がまたプレイできて良かったです。

さて、CRAFTWORKの新作となると、狂気であるとか、電波であるとか、そっち系の作品かと思われる方もいるかもしれませんが、本作はそうではありません。
キャラの名前とかみると、凄く厨二っぽくみえますが、テキスト自体はとても読みやすいですし、テンポ良く楽しむことができます。

ただ、ストーリーも楽しめるといえば楽しめるのですが、展開自体は特に凝ったところもなく、やや尻すぼみな印象を受けてしまいます。
したがって、本作に関する私のイメージとしては、珍しい設定のもと、演出に全振りした作品というものになるでしょうか。

本作は、タイトル画面やUIからして凝っています。
また、ゲーム画面においても、立ち絵ではなく、横や縦のカットインを駆使しています。
両側にキャラがいて、真ん中全体にテキストを表示させる手法は、女性向けのノベルゲーでは見かけることもありますが、男性向けでは非常に珍しいように思います。
技術的に難しいことをしているわけではないと思いますが、その使い方が一般的なノベルゲーと明らかに異なっており、設定と相まって、オンリーワンな雰囲気を醸し出すことに成功しているのです。
このような一般的なエロゲとの差異を明らかに意識した作品を、古参のクリエイターが生み出したというところに、ちょっと感動してしまいました。
いや、違うか。
90年代頭からゲーム作りをしていたからこそ、PC98時代の演出も知っているからこそ、それを現代の技術水準で表現することもでき、それが一周回って新鮮に見えるということなのでしょうか。
いずれにしろ、2023年のエロゲの中では、最も新鮮な気持ちでプレイできたように思います。

演出に関しては文句なしですし、プレイ中はグラフィックに何の疑念も持たなかったのですが、冷静になって振り返ってみると、一枚絵自体は特に優れているわけでもなく、長岡さんの一枚絵に期待をしていた人は、もしかしたら消化不良に感じてしまうかもですね。
そのため、グラフィック全体が良いというのではなく、演出だけに優れた作品という印象につながるのでしょう。

<評価>

総合では良作といえるでしょう。

プレイ開始直後は、これ絶対に名作になるだろと思うようなテンションで始まったのですが、そこから盛り上がり切らなかったのが、少しもったいなかったです。
とはいえ、久しぶりにワクワクしながらプレイできたのも事実であり、プレイできて良かったです。

本作については、エロゲ歴の長い方におすすめしますね。
エロゲ歴の浅い方は、新規の今の売れ筋の作品をプレイしても新鮮な気持ちで楽しむことができるでしょうから、本作をプレイしても得られるものは少ないと思います。
他方で、エロゲ歴の長い方だと、最近、評判の良い作品をプレイしても、どれも既視感があって、楽しみきれなくなったという方もいると思います。
本作は斬新にみえるとか、新鮮な感覚でプレイできることに全振りしたような作品ですし、それでいてどこか懐かしさもあるような雰囲気もあることから、エロゲでもう刺激を感じられなくなってきた人ほど、おぉ~まだこんな作品あるのかって楽しめるように思いますね。

ランク:B-(良作)

Last Updated on 2024-12-18 by katan

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