『人間昆虫・覗き』は1997年にPC98用として、ポイズンブレスから発売されました。
覗きに昆虫姦にと、とてもPC98のゲームらしい、癖の強い作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
エログロADVの『TOGE(棘)』で鮮烈なデビューを果たしたポイズンブレス。
ブランド第2弾となる本作は、主人公が昆虫となり人間らの痴態を覗き見るという、オムニバス式のピーピングADVとなります。
<感想>
世の中、知らないでいた方が幸せなんじゃないかってこともあるわけでして。
本作は、スタートと同時に主人公の幼少時の描写がなされるのですが、いじめられたストレスの発散に虫を虐殺しまくっています。
もうこの時点で、精神的にかなりおかしくなっているわけでして。
ハッキリ言って、近づきたくないお子さんです。
その後、場面は主人公が成人した現在へと戻るのですが、舞台は病院の性病科であり、主人公は待合室で隣の見知らぬ人に性病の薀蓄をこと細かく語っています。
ゴメン、これはさすがについていけん・・・
少年時代に輪をかけて、ますます近寄りたくない人に成長しています。
ちなみに、申し訳ないけれど、この手の話は全く分からないので、言ってることが正しいのかどうかも全く分かりません。
でも、たぶん正しいのでしょうね。
しかもこの主人公、虫を虐殺しすぎた呪い(?)だかで、虫に常時攻撃されていますし。ぶっちゃけ嫌すぎですw
いや~これまでいろんな主人公を見てきましたが、ここまで感情移入できないというか、したくない主人公も珍しいですね。
最底辺の人間を見つけたような気分です。
で、この主人公なのですが、虫の呪いにより、ついには自分が虫にされてしまいます。
元に戻るには、女性のあそこに入りこまなければならないということで、主人公は人間の女性を求めてあちこち徘徊することになります。
ここで出てきた要素は2つ。
1つはサブタイトルにある覗きですね。
目的が目的なので、他人のHシーンを求めることになります。
何だかアブノーマルなHシーンばっかりだった気がするのですが、覗き属性とアブノーマルな趣味のある人ならば、おそらく楽しめるのではないでしょうか。
もっとも、この覗きの要素は、どちらかというと従的なものです。
覗きというと私なんかは興奮してしまいますが、覗きについては、あまり期待しすぎない方が良いかもしれませんね。
作品の比重的としては、むしろ昆虫にされた主人公の行動に重きが置かれています。
つまりは、昆虫同士のHシーンとかそういうのですね。
獣属性とか獣娘が好きって人はたまに見かけるのですが、昆虫属性のある人っていうのもいるのでしょうか。
私には正直何が良いのか分からないのですが、ゲームがあるくらいなんだからきっと需要はあるのでしょうね。
昆虫に萌えられるのであれば、おそらく楽しめるのでしょう。
よく分かんないけど・・・
まぁ、何て言いますか、知らない世界の扉を開いてしまったような、不思議な体験をさせてもらいました。
自分の好みとは全然異なるのですが、こういう世界もあるんだろうなってことですね。
新しい何かを見たいという当初の目的は果たせましたし、私は自分の好みに合うか否かは特に点数的には重きを置きませんので、これは強烈な個性として評価したいと思います。
<評価>
さて、そうなると名作として判断したくもなるのですが、中々そうもいかないわけでして。
ボリュームも少ないですし、97年のPC98末期の作品のわりにはシステムも悪かったですしね。
本当にこれ、97年のゲームかって思いましたもん。
長所もあるけれど、短所もそれなりに多いゲームなんですよ。
絵柄も癖があるので人を選びそうですしね。
本作は、設定の奇抜さは評価されて然るべき作品だと思いますが、他方で、ゲームの作りそのものは、かなり粗もある作品だと思います。
そのため、総合では良作ってところでしょうか。
いずれにしろ、間違いなく人を選ぶゲームと言えるでしょうね。
こんなゲームが流行るとも思いませんし、また、流行られても困ってしまいます。
でもね、これこそがアダルトゲームなんだと思いました。
このゲームには派手な演出もトリックも、或いは泣けるような展開もありません。
しかしね、そんなものはアダルトゲームである必要はないのです。
本作には教育的配慮なんてありませんし、子供には絶対見せたくない類の作品と言えるでしょう。
主人公は屑ですが、自分なりの信念に基づいて生きています。
その生き方・内容は、きつく言えば低俗なのかもしれません。
ここで気をつけて欲しいことは、大人向け子供向けと言うとレベルの差と勘違いする人もいますが、決してそうではないということです。
そういう点では、本作はレベルは低いのかもしれませんが、しかし間違いなく低俗ながらも大人向けのゲームなのです。
決して高尚ではないけれど、かと言って漫画に幾らでもあるようなギャグ路線でもない、もっと違う意味での低俗な作品。
そういう大人のための果てしなくくだらない作品ってのも、もっとあっても良いと思うのですよ。
アニメ化?コンシューマー化?
そんなの糞食らえと言わんばかりにアダルトゲームたらんとするゲーム、それは必ずしも抜きゲーだけではないはずです。
本作の個性は確かに際立っていますが、本当は際立っていてはいけないのだと思います。
こういういろんな内容のゲームが一杯市場に溢れかえってこそ、健全(?)なアダルトゲーム市場だと言えるのではないでしょうか。
本作は、ごく限られた選ばれた変態のための作品と言えるかもしれませんが、近年のジャンルの狭さとかエロゲ市場の問題点をいろいろ考えさせられる、そういう作品でもありましたね。
Last Updated on 2024-05-08 by katan
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