『亡国のクルティザンヌ』は、2015年にWIN用として、Cosmillicaから発売されました。
十九世紀、第二帝政期のパリを舞台にした、2人の高級娼婦の復讐劇。
コンパクトながらも、とても読み応えのある作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
舞台は十九世紀フランス。
第二帝政期のパリは、ナポレオン三世統治の下、万博の開催に街の大改造と近代に向け慌しく動いていた。
一方、花の都の影では――裏社交界(ドゥミ・モンド)が栄え、高級娼婦(クルティザンヌ)と呼ばれる女たちが文化から政治、経済までに深い影響を及ぼしていた。
一八六一年の或る夏の朝、ラロンド公はセーヌに架かる橋の上で雨に濡れながら裸足で歩く一人の美女を拾う。
だが、その正体は男を狂わせ破滅させる、女装の少年娼婦だった――
<感想>
上記のとおり、本作は十九世紀フランスを舞台にしており、アダルトゲームとしては珍しい作品といえます。
また、単に珍しいだけでなく、史実に則りながらも、史実に違和感なくフィクションを織り交ぜており、その辺りが非常に上手いなと思いました。
同ブランドの他作品をプレイしていても感じたのですが、このライターは本当によく知っているし、調べている印象を受けます。
しかも本作は、テンポ良く物語が展開されていくことから、読んでいてどんどん引き込まれ、一気に最後まで読み終わりました。
また、本作は、前半と後半で主人公がかわります。
前半の主人公であるニナと、後半の主人公であるコレット。
本作は、時代に翻弄され続けた2人のクルティザンヌの、復讐を描いた作品になります。
史実とフィクションの融合が巧みな本作は、ニナの物語を読んでいるだけでも十分な満足を得られますが、そこにコレットの物語が加わるわけでして。
似た境遇の2人ですが、2人の間にある決定的な違いが、2人の結末にも大きく影響してきます。
そうした2人の対比という観点からも読みごたえのある作品でした。
本作は、世界史が好きな人はもちろんのこと、ちょっと毛色が異なる読み応えのある作品を求める人にも、ぜひともやってもらいたいと思える作品といえるでしょう。
<評価>
総合でも良作といえるでしょう。
ただ、名作とするか、ギリギリまで悩んだのも事実であり、限りなく名作に近い良作といえるでしょう。
同サークルの『恋と、ギターと、青い空。』と共に、プレイしてもらいたい作品ですね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2025-01-05 by katan
コメント
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OOPartsでも配信されたようです。
https://oo.parts/title/SUgGqVbatEeUqq5fIaNA
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情報ありがとうございます。
そのような方法もあるのですね。