『贄狩ノ痕』は2003年にWIN用として、あんくから発売されました。
あんくらしい、復讐劇を扱った作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・時は昭和終期。
資産家・五百旗 雄志郎)の所有する孤島へ二人の客が招かれた。
一人は長身だが目立たない風貌の青年。もう一人は金髪碧眼、明らかに異国の美少女。
青年は、島に家庭教師として招かれたのだが、本当の目的は別のところにあった・・・・。
跡取りでもある病弱な少年。その姉と妹、少年の遊び相手兼話し相手でもある少女。
言葉少なに付き従うクールビューティなメイド。彼女達を見る青年の目が冷たく光る。
ぴったりと寄り添って離れない金髪美少女の、海の色の瞳を覗き込みながら青年はつぶやく・・・・・。
「さあ、復讐を始めよう・・・・・・。」
<感想>
あんくというブランドは、今になってみれば、『百舌鳥ノ贄』に始まり『百舌鳥ノ贄』で終わったブランドでした。
というのも、デビュー作が『百舌鳥ノ贄』で、そのリメイク版を発売した後は、わずかに1作発売しただけで解散になりましたので、ブランドイメージとなると『百舌鳥ノ贄』が強すぎるのです。
『百舌鳥ノ贄』は2000年に発売された作品で、青年主人公による復讐劇を描いた作品でした。
本作は続編ではないのですが、同じく復讐劇を扱った作品ということで、精神的な後継作と言えるのでしょう。
こうした作品は、90年代であればダーク系と分類されていたでしょうか。
こういう系統の作品は、PC98時代なら少なからずあったと思うし、好きなユーザーも多くいたのでしょうが、時代がかわり、ユーザー層もかわりましたからね。
ゼロ年代前半になると、エロならストーリーよりもシチュ重視、ストーリー重視とされる作品でもヒロインとの恋愛ありきで、恋愛要素か厨2的燃え要素のどちらかがなければ人気が得られなくなりました。
だから本作のような、恋愛も萌えもない、少年漫画的な燃える展開もない作品は、そういう内容だと知ってプレイしたような人には高評価なのですが、エロゲユーザー全般で見ると全然注目されなくなってしまいました。
本作もストーリーは十分楽しめる内容でしたし、基本的には良質な作品といえるのでしょう。
同時期に他に対抗馬となる作品もないこともあり、この手の作品が好きな人ならば、プレイして損のない作品だと思います。
ただ、ストーリーに関しては、『百舌鳥ノ贄』と同水準かもしれませんが、後発な分だけインパクトに欠けてしまうのかなと思います。
また、ラストにもう一押しが欠けているという『百舌鳥ノ贄』の問題点は、この作品でも同様でしたしね。
だからリアルタイムでプレイしたような古参ファンだと、やっぱり『百舌鳥ノ贄』の方が良かったとなりやすいでしょう。
他方で、『百舌鳥ノ贄』のオリジナル版は音声がなかったことから、新規ユーザーですと、音声があり、グラフィックも癖がなくなった分だけ、本作の方が馴染みやすいと思います。
<評価>
『百舌鳥ノ贄』の後に本作をプレイすると、ストーリーだけを見ればインパクトが若干減ったと思います。
他方、音声が付き、グラフィックの癖もなくなる等、本作の方がプラスになった点もあり、総合では同程度と考えられますので、良作と言えるでしょう。
オリジナルで音声付きで、こういう路線の作品は、以後もほとんど存在しませんので、今でも貴重な作品だと思います。
萌えゲーや燃えゲーが好きな人には向かないかもしれませんが、PC98時代の作品が好きだった人とか暗い作品が好きな人であれば、本作は十分楽しめる作品だと思いますね。
Last Updated on 2025-08-29 by katan




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