Incarnatia (インカーネイティア)

1998

『Incarnatia (インカーネイティア)』は1998年にWIN用として、
ソニー・ミュージックエンターテインメントから販売されました。

ダリの世界観を表現した、MYST系の作品でしたね。

<概要>

本作は、もともと97年の発売予定で、結局発売は98年にずれ込んだように記憶しているのですが、この当時はインタラクティブムービーとか、MYST系のADVが一杯発売されていました。
本作もまた、その内の1本になりますね。

この類のADVは如何に独自の世界を構築できるかが肝ですので、シュルレアリスムとも非常に相性が良いジャンルです。
普通はその世界観を一から作り上げることになるわけですが、下手に素人があれこれ考えるよりも、いっそのことシュルレアリスムの大家の世界観の方が良いだろう。
まぁ、そういう考えが出てきても、不思議ではないですよね。
それでシュルレアリスムを代表する画家ということで、サルバドール・ダリの世界観を表現したのが、この『インカーネイティア』でした。

<感想>

ダリの絵画の世界観を、360度見渡せるCGで再構成。
プレイヤーは、まるでダリの世界にいるかのような気分になれます。
これはもう感覚的な問題ですけどね、この世界観をグリグリと視点を動かしながら楽しむのは、中々に素晴らしいものです。
ダリの絵が好きな人は、間違いなく買いでしょう。
本作はそのためにあるようなものですから。

とはいえ、実は微妙に関係ない要素もいろいろあるわけでして。
まぁ、ダリの絵画だけで構成したら、それこそ独自性がなくなってしまいますし、本作ならではの独自性を入れようという姿勢自体は、ゲームとしては喜ばしいことです。
ただ、皮肉な話になりますが、ダリに関する資料価値だけを求めると、何だこれとなりかねないわけですね。

というか、そもそも本作のCGは、志茂浩和氏が手がけています。
そう考えると、今は、むしろ志茂浩和氏の作品としての資料的価値の方が出てきているのではないでしょうか。

まぁ、私の場合はゲームとしてプレイしているので、ゲームとして優れていれば何ら問題ないのですが、本作は、実はこの部分が弱かったわけでして。
ゲームとしては良くも悪くも典型的なインタラクティブムービーで、ミニゲームやパズルは用意されているものの、ごくごく平凡な作りだったのです。
ダリの世界観を活かした謎解きでもあれば大絶賛だったのですが、そういうわけでもなかったですしね。

まぁ、この頃の私は散々MYST系をやりつくしていた頃ですからね。
優れたMYST系と比較したら物足りないねってだけです。
MYST系ADVの減った今なら、この手のゲームを知らない人には、かえって新鮮に見えるかもしれませんね。

<概要>

私の評価としてはギリギリ良作としておきますが、これは本当に参考程度にしかならないでしょう。

ダリに全く興味がない人には佳作か或いはそれ以下の評価がされても、何ら不思議ではないと思います。

他方、ダリの世界観が好きな人で、志茂浩和氏の作品にも興味がある人とかだと、いくら出してでも欲しいとなるかもしれません。
本作は、そういう作品なのだと思いますね。

ランク:B-(良作)

インカーネィティア

Last Updated on 2024-06-02 by katan

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