『贄の匣庭』は2024年にWIN用として、Chatte Noireから発売されました。
コトリバコを題材にした、グロ要素のある伝奇ものになりますね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
昔々、虐げられていた者達は、一人の異邦人によってもたらされた『匣』によって叛逆を成した。
時は流れ、かつて虐げられた者達は七名家として繁栄を極めた。
しかし、七名家筆頭である四季家は男子に恵まれず、世継ぎのため、村の外から一人の青年を迎え入れることとなった。
その青年の名は八坂久朗。
『商品』としての生い立ちから、『人』としての機微に欠ける久朗であったが、四季家の長女、四季叶子との交流を重ねるにつれ、その心を動かされていく。
そして迎えた、婚姻の日–悪夢が生まれた。
<感想>
本作を端的に表現するならば、伝奇+グロとなるのでしょう。
グロ描写はカットすることもできますので、グロの苦手な人は伝奇ものとして楽しむこともできます。
ただ、個人的には、グロ描写もありのままでプレイしてもらいたいかなと思います。
というのも、伝奇ものって、ノベルゲーでも一杯ありますし、その中で本作が特別秀でているかとなると、少し微妙なところもあるからです。
他方で、グロゲーって、ひと昔前ですと、グロ描写があるだけでありがたがられる時代もあったわけでして。
インパクトのあるグロシーンがあるだけでも御の字で、ストーリーなんて二の次、ストーリーも楽しめるグロ作品なんて、ある意味夢のような存在でした。
そんな時代を経験してきた身からすると、本作はグロシーンもしっかりありながら、ストーリーでも水準以上に楽しめるわけで、グロゲーでもこんな作品が普通に楽しめる時代になったんだなと、しみじみ思うわけでして。
だからグロ描写をカットしないで、ストーリーも楽しめるグロ作品としてプレイしてもらいたいのです。
その方が、プレイ後に記憶に残り続けると思いますので。
本作は、同人ゲー扱いのはずですが、グラフィック、特に一枚絵も良かったですね。
これだけで名作たりえるほど突き抜けてはいませんが、ミドルプライス相当の作品であるにもかかわらず、一枚絵はフルプライスのエロゲ並の量があり、客観的な分量の面でも満足度は高いです。
また、サウンドも良く、特に霜月はるかさんの歌う主題歌は、雰囲気があっていて良かったです。
やっぱり、伝奇ものには、霜月はるかさんは似合いますね。
どの要素も水準以上の内容ですし、中には名作と感じる人がいても不思議ではない本作。
ただ、一方でイマイチはまりきれない人もいるのではとも思ったわけでして。
というのも、例えば、本作のキャラは、主人公も含めて狂ったような人ばかりでして。
プレイヤーの中には登場人物に感情移入して読むタイプの方もいると思いますが、そういう方だと、誰にも共感できにくいということで、ストーリーの内容は理解できるけれど、いまいち話に入っていけないという人もいるでしょうね。
また、ラストもすっきりした形で終わる作品ではないので、その辺でも好き嫌いは分かれると思います。
個人的には、キャラや終わり方等も気にはなりましたが、それ以上に気になったのは、エフェクトがうざいということで、それで結構萎えました。
そんな感じで、一つ一つは大した問題でもなく、気にならない人は気にならないレベルなのですが、そういうのが随所に散りばめられていることから、何かが自分の中で引っかかってしまうと、いまいち乗り切れなくなってしまう可能性があるように思います。
実際、私も、良くできているとは思いつつも、一歩引いた目でみてしまい、それ以上に感情面で作品にのめり込んでいくということがなかったです。
<評価>
総合では佳作とします。
気になった点も大きかったので佳作とはしましたが、価格等も考慮して良作扱いでも良いかもしれませんね。
いずれにしても、グロ要素のあるノベルゲーで、グラフィックもサウンドも良好で、それでいてストーリーも水準以上に楽しめる作品が出てきたというだけでも、喜ばしいことなのでしょう。
個人的には、それほど刺さらなかった作品でもありますが、興味のある人は試してみる価値のある作品だと思いますね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2025-01-14 by katan
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