『ハルカの国 ~明治決別編~』は2020年にWIN用として、スタジオ・おま~じゅから発売されました。
シリーズ2作目。
この作品からストーリーが動いていきますね。
<感想>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
選択肢や分岐もなく、完全な1本道になります。
あらすじ・・・
明治政府再建の渦中。
剣を取り戻すため、ユキカゼが強大な敵へと挑む、雨中の物語。
<感想>
本作は『ハルカの国』として、全6章が予定されている中の2作目になります。
本シリーズに対する私の基本姿勢については、1作目である『ハルカの国 ~明治越冬編~』の方をお読みください。
本作もまた、基本的な方向性はかわりません。
具体的には、マイナス要素ないし人によってマイナス要素となりえるものとしては、下記のとおりになります。
・キャラ等の原画が上手いとはいえない
・一本道の読みものである
・音声もついていない
・ボリュームも多くない
・システム周り、UIは同人でも最低レベル
未プレイの人は、2作目以降というのは、上記の要素が気にならずに楽しめた人がプレイしたうえでの感想であるということは理解しておくべきなのでしょう。
さて、ハルカとユキカゼを巡る物語は、本作から本格的に動き出すことになります。
ハルカとユキカゼの関係性の変化はもちろんのこと、本作の場合、薩摩隼人の五木が重要人物であり、本作はこの3人を描いた物語といえるのでしょう。
このシリーズ自体、国シリーズの1つといえるわけですが、五木を通して国というものに対しての言及もあり、シリーズとしても動き出したという印象をうけます。
本作のようなヒューマンドラマは、題材的に刺さる人には刺さるけれど、刺さらない人には刺さらないと思います。
もっとも、ジャンル的には、今の同人ゲーを好む層の好きなジャンルだと思いますので、今の同人ゲーが好きな人は程度の差はあれ楽しめるように思います。
合わない人は、1作目の時点で、あぁこういう系統の作品ねということで、プレイしなくなるでしょうし、また、そういう人を引き込むほどの特別な何かまでは、本作にはないと思います。
逆に、1作目で何かしら刺さった人は、1作目以上に楽しめたのではないでしょうか。
少なくとも本作をプレイして、1作目を下回る要素はないでしょうからね。
本作をプレイした私の印象としては、作品として、かなり洗練されたなということでした。
それはストーリーが動き出したことで、キャラが前作以上に活き活きと描かれていたこともあるでしょうし、個人的には演出面の進化、つまり場面に合わせて映像を使い分けることができるようになったことが大きいと思います。
また、本作ではバトルシーンもあります。
エロゲのバトルシーンでは、キャラの全体像を描かずに、顔のアップばかりで、表情とエフェクトで誤魔化している作品が多数あります。
つまり、シーンとして描けていないわけですね。
それに対し本作は、上手い画とは思えないものの、逃げずにきちんとシーンを描こうとしています。
こういうところなんですよね。
本作の制作者は、ストーリーにしてもグラフィックにしても、逃げようとせず正面から真摯に挑もうとしている姿勢が、作品の端々から伝わってくるのです。
そういった姿勢が、プレイした人の心を掴むのでしょう。
確かに、本作の画自体は上手いとはいえないのかもしれません。
しかし、キャラの表情は細かく変化しますし、一枚絵もきちんとシーンを描こうとしているし、加えて画面全体を意識した演出もなされていることをふまえると、キャラが可愛いだけの普通のノベルゲーよりも本作の方が、グラフィック全体としても優れているといえるのではないでしょうか。
<評価>
総合でも良作といえるでしょう。
内容だけならば、名作級の作品だと思います。
ただ、システム周りが酷いので、その分だけ下げての評価となりました。
同人ゲー好きの中には、その辺をほとんど気にしない人もいると思いますので、そういう人であれば、名作と感じることも十分考えられる作品でしたね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2025-01-12 by katan
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