『ミステリート ~不可逆世界の探偵紳士~』は、2004年にWIN用としてアーベルから発売されました。
『不確定世界の探偵紳士』に続く、シリーズ第2弾であり、長く待たされて、ようやくプレイできた作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
豪華客船「マリア=テレジーア号」の船内のある一室……。
史上最年少クラスAディテクティブへと昇格した“八十神かおる”は、アシスタントの“七尾芹奈”と一緒に、国際的な探偵組織アイドラーから、特別に海の旅へ招待されていた。
旅行が終わったら、捜査を手伝うという条件がついていたものの、悪い旅ではなかった。
船内では、豪華なパーティも催され、大勢の客を乗せて航海は続いていた。
気ままなクルージング……誰もがそう考えていた豪華客船での旅。
しかし、その豪華客船では惨劇が起きていた!
さらに血も凍る○人事件と並行して、航海機能と通信機能を奪われた豪華客船は、現在遭難中!?
“チェン”警備主任の依頼で知恵を貸すことになった八十神かおるは、客室でソファに座りながら、事件報告に静かに耳を傾ける。
彼の脳細胞は、もの凄い勢いで稼働しはじめていた!!
果たして犯人は捕まるのか?そして遭難中の豪華客船の行方は……。
<感想>
この作品は、長く待たされましたね~
前作的な位置付けにある『不確定世界の探偵紳士』の発売が2000年。
それから名前ばかりで、全く発売される気配がなかったですから。
もうお蔵入りなのかなとも思った矢先、ハードを当初予定していたDCからPCに移して2004年に発売されました。
発売前に伝わってきていた情報からは、本作はシステム重視の本格的な推理ADVなのかと思ってたんですよね。
しかしながら、システム関連は後に回しますが、結果的に本作は、ストーリーやキャラを楽しむゲームでした。
ストーリーは、全体を通してみれば未完なのですが、本作自体は5話の短編から成り立っています。
1つ1つは完結していたし、どれもそれなりに面白かったです。
推理ADVが好きな人の多くは『クロス探偵物語』もやっていると思いますが、あれと同じような構造だと思えば良いでしょう。
『クロス探偵物語』も幾つかの短編があって、その一つ一つは完結します。
しかし、最後の黒幕の話が終わってなかったですからね。
『御神楽少女探偵団』もそうですが、何故か近年の推理物にはこういう形式が多いですね。
そうですね、ストーリーの構造もそうですが、キャラが一番の魅力と言う点でも『クロス探偵物語』と似ているかもしれません。
予想外にと言ったら失礼かもですが、どのキャラも非常に個性的で、テキストを読むだけでも楽しかったです。
テキストは基本的に私に合うというのもありますが、本作でも凄く良かったです。
特にラストのあたりは秀逸でした。
あのラストの部分があるかないかで、確実に評価が1ランクかわってくるでしょうし。
結局、その部分なんですよね。
つまらないゲームが未完で終わっても、その続編なんて誰も期待しないでしょう。
本作もシステム面も含めて、途中までなら普通の良作程度だとも思います。
この秀逸なラストで次に引っ張る展開をされてしまったから、だからいつまでも記憶に残るし続編に期待したくもなるんですよね。
そういうわけで、出来るだけ早く続編がプレイしたいのですよ。
まぁ今となっては、それも無理なのでしょうけれども・・・
さて、本作は大雑把なジャンルではADVになります。
上述のように、当初はシステム重視の推理ADVだとばかり思っていました。
おそらくいろいろと構想はあったと思うのですが、制作が難航したみたいで、結局はかなり簡略化された形での発売となってしまいました。
1番の目玉として当初挙げられていたのが、いわゆる「ディテクティブチャージシステム」です。
当初の企画段階では、1つの事件を様々な方法で解決できるという画期的な推理システムになることを目指していたようです。
例えば、現場に残された遺留品から犯人を推理しても良いし、先に容疑者を特定してその人物のアリバイを探る方法で捜査を進めることも可能とのことでした。
これには、凄く期待していたんですよ。
おそらく推理ゲームファンの誰もが望んでいる要素でしたからね。
しかし、直前になって大幅に変更されてしまい、結局は得られた証言や証拠によって事件の核心に近づくと、ポイントがアップしていくというシステムに変わりました。
実際プレイしての感触は、進行度をメーターで表すだけでしかないなと。
当初の企画通りならばとんでもない大傑作にもなりえたでしょうが、企画から残ったのは名前だけで完全に別物になっていましたね。
私以外にもこのシステムに期待していた人は少なからずいたと思うのですが、諦めきれない人にはPS2の『ガーディアンエンジェル』をオススメします。
『ミステリート』がやりたかったであろうことの幾つかを、『ガーディアンエンジェル』は成し遂げていますから。
知名度こそ異常に低いですが、ゲームデザインに関心のある人はぜひやってみるべきでしょう。
閑話休題。
本作は他にも「MAPモード」や、「プルーフターゲットシステム」があります。
「MAPモード」は普通にMAPを徘徊するシステムです。
これは当初のディテクティブ~システムが機能していればこそ必要な要素でした。
前述のようにディテクティブ~システムが機能していない以上、これも削除か簡略化すべきでしたね。
2つは1セットとして扱われることで意味をなすのだから、片方がなくなったら邪魔でしかありません。
こうしたあたりからも、制作の難航具合が伺えますね。
もう1つの「プルーフターゲットシステム」。
これは、ポイント&クリック式のADVを簡略化したものです。
本来のP&C式のような歯応えはまるでありませんが、マウスホイールでホットポイントを選べるので、出来の悪いP&Cにありがちな、クリック場所が分からなくてイライラするという難点は回避できました。
個人的には物足りない気もしますが、アダルトゲームをやる人の多くは難しいのを嫌いますので、それを考えればこのような簡略化は調度良いのかもしれませんね。
また、ディテクティブ~を形骸化した分の埋め合わせですかね、その分、暗号を解く要素が幾つか含まれていました。
そのため、本作に対して、暗号解きゲームのイメージが強いって人も、結構いるのではないでしょうか。
<評価>
そうですね~、ここまで結構辛口にもなりましたが、それは過去のADVの傑作との比較した場合の話ですからね。
私の場合は、海外のADVも含めていろいろやっているので、どうしても比較対照が多くなってしまいます。
でも、大半の人は私が念頭に置いているものをプレイしていないでしょうから、また違った印象にもなりうるでしょう。
それに、2000年以降はノベルゲーばかりプレイするようになり、次第に飽き始めた頃だったので、普通のノベルゲーよりも十分楽しめました。
久しぶりにゲームって感じのADVでしたからね。
それらも加味しますと、システム部分は大きなプラスにはならないものの、だからと言って決してマイナスにもならないです。
ゲームシステムとしては及第点と考えた上で、そこにテキストやキャラが良かったことのプラス分が加わりますので、総合では一応、名作の範疇に含めて良いかと思います。
期待が大きすぎたために拍子抜けした面もありますが、冷静に振り返ってみますと、とても面白いゲームでしたね。
ランク:A-(名作)

Last Updated on 2026-01-20 by katan


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